庵KM

技術屋OBの環境問題独り言

経済問題。交通問題。健康問題。そして、日本の国創り問題。快適社会問題。

中国はシリアの不安定化が進むと自国の利益になる。

2017-04-08 | 核エネルギー・原子力問題

シリアでの化学兵器による悲惨な犠牲は、トランプ大統領の言い分では、「人類に対する許しがたい」として、何よりも優先し「アメリカの国益を守る」とした。随分と勝手な理屈をつけているが、それを中国との首脳会談の最中に執行した事で、俄かに「北朝鮮問題」への波及が大きな論争の的になってきた。

つまり、アメリカの意向に反して、「核兵器の開発」を強行する北朝鮮を、中国の経済封鎖で中止に追い込む意図は、明確である。

中国の習主席は、「子供の犠牲は痛ましい、アメリカの行動に理解を示した。」と伝えられているが、表面的な外交辞令の範囲であろう。

 

アメリカの理屈では、悲惨な犠牲を生み出す「化学兵器は、禁止されるべき」であり、それを公然と製造して保管しているシリアの指導者は許せない。

今のうちに「無法行為には断固とした対応」をしないと、なし崩しに拡散して、アメリカに敵対する勢力が保有したら、アメリカの安全保障は守れなくなる。

いかなる犠牲を払っても、アメリの国益のためには、一国の決断で進める。

つまり、国際連合では、アメリカの国益を守れないから、「アメリカファースト」で、安全保障を確保するのだ、という決意だ。

これで中国は、一安心をする事が出来る状況で、習主席は心が落ちついたろう。

 

今回のアメリカの爆撃で、【シリア情勢、イラク、IS勢力の紛争】は一層複雑化して、ロシアの出方が、今後の世界の最大関心事になるだろう。

その影響で中国は、「中国ファースト」の政策を着々と進める環境に有利になる。

今回の米中首脳会談では、北朝鮮問題で「中国の優柔不断な姿勢」を、「核兵器を放棄させる」方針を確認して、中国が経済制裁に向かわせる事にあった。

アメリカの意図が、そこまで明確になれば、中国の対応は、いとも容易に実行できるし、中国側には、ほとんど悪影響はない。

それよりも、台湾問題や、【南シナ海での中国の「国際法違反」】を、浮かび上がらせない方針を、達成できた事を、中国は喜んでいるだろう。

 

北朝鮮の核兵器開発は、中国が経済制裁に参加したとしても、じわりとした抑止効果しかないだろう。

トランプ大統領がいくら焦っても、北朝鮮の金正恩委員長は、独裁的権力を誇示する為にも、核兵器の開発に固執する。

経済制裁で北朝鮮の国民が困窮して、餓死者が出たとしても、アメリカの強制的な経済制裁が原因だとして、責任を追及される事はない。

唯一の出口は、アメリカがしびれを切らして、核兵器開発の拠点を、ピンポイントで攻撃して、直接的な損害を北朝鮮に加える手段しかない。

中国にとっては、アメリカの単独行動を非難するだけで、中国政府の「国際法違反」を話題にすらならないくらいに、薄めてしまうことが出来る。

それを見越して、日本はどう対処していくのか。(続)