日本の経済成長が鈍化してから、かなりの長期間にわたって「日本政府は成長戦略」をうちだしてきたが、成果はほとんど生まれていない。
その期間には、中国政府やインド、ブラジルなど、それぞれの国の特質に沿った「国の経済成長」の方針に、先進国の技術導入で著しい成果を生んできた。
日本が高度経済成長時代の始まりには、欧米の成功した先進技術を導入した上で、日本独自の創意を反映した「改良技術での価値向上」を図って、発展した。
中国は膨大な人口による「労働力の安さを売り物にして」先進国の技術導入で、安価な大量普及商品の輸出に特化して、経済成長を遂げてきた。
この輸出攻勢も、アメリカやその他先進国での、「労働価値を引き下げる」悪影響が蔓延したので、今後は労働力価値を下げる貿易アンバランスは槍玉に上がる。
アメリカのトランプ大統領は、中国の安価な労働力と、為替操作による「安値輸出を問題視」して、これからは、一方的な貿易赤字を減少させるだろう。
その政策として、保護貿易の手法を一方的にでも押し出して、アメリカの労働者の賃金水準を高めに維持する国策を打ち出してくる。
日本は賃金水準の引き下げを20年以上も続けてきた上に、製造業の海外流出が止まる兆候もなく、非正規雇用社員を増やして、消費力を低下させ続けた。
経済成長を先進国が取り戻すことは、容易な政策では実現しない。
それなのに、安倍政権は、【超金融緩和を実施】すれば、企業が利益を上げて「従業員の給料アップ」を実施してくれるものと安易に期待をしていた。
ところが、グローバル化した世界経済では、儲けた利益は、資本収益率の良い国への投資に回すだけで、日本の経済成長に貢献するような投資には回さない。
その上に、新技術開発や新規事業への投資は、失敗のリスクが大きいとして、経営者の挑戦意欲が減退するばかりである。
いざという時のために、「内部留保を積み上げる」だけで、安全運転しかできない経営者ばかりが増えてしまう。
もっとも、東芝のような「愚かな外国企業を買い取る」よりは、まだましだが。
だが、今の大企業のような安全運転では、確実に国民の労働価値を引き下げて、生活水準が徐々に下がり続けてしまう。
それなのに、新技術や創造的な新事業への投資促進は、政府の官僚の石頭ぞろいでは、育成すらできない状態だ。
地方創生の掛け声だけでなく、地域の特性を生かした「地方発の新価値創造」の事業に、もっと粘りつよく投資を続ける政策を実行すべきである。
以前の民主党政権が実施したような、新技術も新事業の経験も無い【政治家や識者が判断する事業仕分け】をするようでは、日本はじり貧になる。
思い切って、その上に粘りつよく「新価値の創造に力を入れる」ことで、日本の先進国の地位を保つ産業政策だけが、唯一の道である。(続)