「微生物検査の新技術」 1)培養検査自動化(塗布・培養・感受性検査) これはすでに広く(当院でも)導入されている。間違いもあるので、チェックは必要。検体培養を行わないCulture-Free Microbiologyも始まっている。2)質量分析 MALDI-TOF MSで菌が生えれば、そのまま自動的に同定・感受性検査までできる。これは今のところ高額すぎていったん病院での導入は無理。ただし、地域の一か所に導入してそこに検体を集中させる連携の可能性がある。3)遺伝子検査 培養困難な菌の検出・特殊な培地を要する菌の検出・発育に長期間かかる菌の検出に適応がある。重症感染症での同定を迅速にすることができる(結核は4時間で同定)。欠点はターゲットとして微生物しか検出できず、感度が高すぎてコンタミを拾ってしまう。
「小児4種ウイルスのワクチン」 1)麻疹 2015年に日本は麻疹排除状態にあると認定された(WHO)。2015年に麻疹に罹患したのは35人で、小児はワクチン未接種で成人は接種不明。診断のIgM抗体は発疹が出て4~5日で提出する。海外で感染して日本に戻って発症する。海外に行く時はMRワクチンを接種する。2)風疹 (ワクチン接種の問題で)今は成人男性の病気になっている。先天性風疹症候群は中学生女子のみへの接種では予防できず、1995年の幼児と中学生の男女に接種してから減少した。3)水痘 2014年10月1日から定期接種になってから減少した。1~2歳時に3か月以上空けて2回接種する。成人がかかると重症化する。4)ムンプス 定期接種になっていない。
「ヒトメタニュウーモウイルスとボカ(パルボ)ウイルス」 2001年に発見されたが、昔からあったウイルス。上気道感染から重症の細気管支炎・肺炎まで起こす。5歳までにすべての小児が感染する。RSウイルスは秋から冬にかけて0~2歳で発症。その後インフルエンザウイルスが冬の年末から年明けまで幅広い年齢でかかる。。hMPVは冬から春にかけて0~2・3歳が発症するが、少し大きくなってからもある。症状は発熱・咳・鼻汁で、細気管支炎になると喘鳴も。4~5日の潜伏期を経て、発熱が4~5日、咳と鼻汁は1~2週間続く、発熱が5日以上続く時は下気道感染を来たしている。迅速診断キットは発症から4日以内で90%検出する(ウイルス量が多い)が、その後は50%になる。ボカ(パルボ)ウイルスは4~5歳までにかかる。キットはない。
「感染症のバイオマーカー」 プロカルシトニンは全身の臓器から産生され、重症の細菌感染症で増加する。敗血症では2ng/ml以上になる。0.5~2ng/mlの時は12~24時間後に再検して確認する。プロカルシトニンはウイルス・真菌・抗酸菌・寄生虫ではあまり上がらない。また健常者と敗血症患者の値が重ならない。プレセプシンは1000以上で予後が悪い。健常者と敗血症患者で値がかぶってしまう。プロカルシトニンはその日に(すぐに上がるので)測定する。プレセプシンは長く異常が続く。CRPは半日で上昇してくる。プロカルシトニンとプレセプシンは末梢白血球数・腎機能障害の影響を受ける。
胸部画像の診かた(講師の診断力がすごかった)、統計学の基礎、βラクタマーゼ、微生物の分類学などもあった。細川先生や上原先生が近くにすわっていた。ここ2年、夏にあるこの学会のセミナー(東京で開催)に日帰りで行っている。今年も東京開催なら行きたい。学会は明日まであるが、病院の日直なので行けない。
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