なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

「漢方薬を試してみたい」

2024年09月13日 | 糖尿病

 内科外来に通院している60歳代初めの男性は、別の病院の看護師をしている。DPP4阻害薬とメトホルミンにSU薬少量を処方して、HbA1cが7%の前半から後半で推移していた。

 SGLT2阻害薬を勧めていたが、処方の変更(追加)を希望しなかった。キッパリ断るというのではなく、のらりくらりと話を逸らすという感じだった。

 受診のたびに勧めていたので、一時使ってみることになったが、頻尿多尿で仕事にならないと、数日でやめてしまった。飲み始めの症状で少し我慢して続けてみてはと勧めたがだめだった。

 GLP-1受容体作動薬でもインスリンでも、する気になれば職業上すぐにできるはずだが、注射はいやということだった。

 そのうち何かで見たのか使っている人の話を聞いたのか、SGLT2阻害薬を使ってみると自分から言った。外来で2回(2か月処方)だして、HbA1cが7%台前半で推移していた。しばらく継続して、それで改善しない時は、GLP-1受容体作動薬かGIP/GLP-1受容体作動薬も勧めてみる予定だった。

 

 今週外来に来た時は、予約の取り直しをしての受診で、薬は2週間ほどなくなっていたはずだった。HbA1cが7.7%と上昇していた。まずはきちんと再開してと思ったが、別の話が出た。

 通信販売で購入した漢方薬を試しているので、糖尿病薬を中止したいという。漢方薬の名前を訊いたが、通常の漢方薬名ではなかった。「糖尿病でも高血圧症でも何でも効く」と主張する。

 病院の治療に自分で追加するなら構わないが、糖尿病薬を中止するとHbA1cが9%かもっと上昇して悪化すると伝えた。数回繰り返して伝えたが、とにかく一度試してみたいのでと聞き入れなかった。

 高脂血症と高尿酸血症の薬は出していいそうで、それだけ処方して、2か月後(希望で)の外来予約とした。もし高血糖の症状が出る時は予約日前に受診するように伝えた。

 その漢方薬は1か月1万円ちょっとするそうだ。こういうものは、数千円では安すぎて信用されない、といって1か月5万円では購入されない。ちょうどいい高めの金額である1万円から2万円に設定されている。

 

 何代か前の糖尿病の教授は、いわゆる民間薬が大嫌いだった。患者さんがそれを使うというと、もう診察はしないことにしていた。大抵の糖尿病の先生は、病院の治療にプラスして使用する分には黙認というスタンスだろう。

 

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