なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

悪性リンパ腫

2024年10月01日 | 血液疾患

 80歳代後半の男性が、1週間前から続く発熱で9月16日(祝日)に救急外来を受診した。ふだんは陳旧性心筋梗塞・うっ血性心不全・高血圧症で内科外来に通院している。

 当直は腎臓内科の若い先生で、肺炎疑いとして胸部X線さらに胸腹部CTを撮影した。すると以前からの軽度の間質性肺炎像はあるが、細菌性肺炎らしい陰影はなかった。

 予想外だが、縦隔・肺門リンパ節腫脹を認めた。腹腔内や表在リンパ節の腫脹はなかった。後で出た放射線科の読影レポート(遠隔診断)はリンパ腫の疑い・サルコイドーシスの疑いとなっていた。

 泌尿器科外来に通院していて前立腺癌の治療歴があるが、血清PSA値は正常域で推移していた。通常高齢者の発熱の多くは肺炎か尿路感染症なので、肺炎がなければ尿路感染症という判断だろう。尿混濁が軽度にあり、尿路感染症疑いで抗菌薬内服を処方した。

 発熱が続き、食事摂取困難・体動困難となって、9月18日に内科外来を受診した。抗菌薬(レボフロキサシン)には反応していない。尿培養は感受性のある大腸菌だった。尿路感染症なら軽快してきていいはずだった。

 血液培養2セットと尿培養再検を提出して、入院治療となった。最近は外来でも大腸菌などのESBLが検出されたりもするので、広域抗菌薬に切り替えたが、反応はなかった。

 可溶性IL-2受容体抗体を提出すると高度上昇を呈していた。生検はできないので画像と腫瘍マーカーだけの判断になるが、家族には悪性リンパ腫と思われると伝えた。

 そのうち、肝機能障害と腎機能障害が進行して、急性肝炎様の所見になってきた。薬剤性肝障害を疑って休薬したが、肝機能は変わらなかった。

 血液培養と尿培養再検は陰性だった(抗菌薬投与後にはなる)。腫瘍熱なのかもしれず、ステロイド投与を検討することになった。

 

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