なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

高浸透圧高血糖症候群

2024年09月18日 | 糖尿病

 施設入所中にCOVID-19に罹患した90歳代前半の男性は、隔離解除後も食事摂取が進まなかった。

 末梢静脈からの点滴を続けていたが、むしろしだいに摂取量は低下した。聴覚言語療法士(ST)も経口摂取は難しいとの判断になった。

 高カロリー輸液に切り替えて、昼だけの嚥下訓練を続いてはいた。9月17日の早朝から発熱があり、喀痰が増加していた。嚥下訓練自体が誤嚥性肺炎のリスクになる。

 感染症の評価として血液検査を行うと、炎症反応の上昇があった。ところが、それ以外の異常があり、血糖583mg/dl・血清ナトリウム173・BUN64.6と高値になっていた。

 血液ガスでアシドーシスはなく、尿ケトン体も陰性で、高浸透圧高血糖症候群だった。

 入院時のHbA1は5%台で糖尿病はなかったことで油断していた。血液検査の間隔がちょっと空いていた。

 急速に3時間点滴を行って(超高齢なので規定よりはゆっくり)、血糖は400mg/dl台になった。インスリンは点滴静注も考慮してポンプを用意したが、皮下注を1回して反応をみることにした。夕方には血糖が200mg/dl台まで下がった。

 メインの点滴をソリタT3に切り替えて、(酢酸)リンゲル液を側管から入れて脱水症の補正を行った。18日には血糖が160~180mg/dlで推移した。血清ナトリウムはまだ高く、Na含量の少ない点滴に調整した。

 セフトリアキソンで解熱したので、広域抗菌薬には切り替えないで継続することにした。もともと問いかけにはひとこと簡単な返事をするくらいだが、昨日はもごもごした声で聞き取りにくなっていた。

 病状が落ち着けば、療養型病床のある病院への転院になるが、しばらくは無理なようだ。高カロリー輸液の時は、定期的に(週1くらいは)検査を1か月先くらいまであらかじめ入れておく方がいいのだった。

 

 

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