なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

エンレスト

2024年10月10日 | 循環器疾患

 10月9日(水)に、コロナになってから初めての製薬会社の医局説明会があった。会議室でのweb講演で、昼休みに30分の講演を2回流す。(お弁当付きなので利益供与にはなる)

 講師は山下武志先生だった。心臓血管研究所名誉所長となっていたので、定年になったのだろう。これまで心房細動や心電図の著書を購入してきた。今回はARNIのエンレストの話(宣伝)だった。

 

 内容は以下の通り。

 高血圧症の治療で適正な血圧まで下げているのは3割くらいであとは、何となく130台とか140くらいに下げているだけが多い。目標についてはわかってはいるが、実際はそうなるようにしていないという臨床イナーシャclicical inertiaに陥っている。

 血圧は160/90とされた時代から140/90、130/80と以前のintenviveが次のstandardになるという形で目標が下げられてきた。心血管イベントを改善するには、高血圧治療ガイドラインでも示されている正常血圧120/80未満が好ましい。

 できるだけ単剤での治療が望ましいので、血圧を10mmHg低下させるARB(または10mmHg下げるCa拮抗薬、5mmHg下げる降圧利尿薬)を使用する。

 それで目標に達しない時は、ARNI単剤(エンレスト)に切り替える。それでも高い時は、ARNIにCa拮抗薬、降圧利尿薬を追加していく。こういうシンプルな治療ができるということだった。

 エンレストは慢性心不全では1日2回投与で、高血圧症では1日1回投与になっている。エンレストの半減期は12時間で、その点では1日2回の投与になる。

 しかし高血圧症で使用する1回200mgは、翌日には血中濃度が低下してくるが、それでもまだ治療域にあるので1回でよいそうだ。(1回100mgで開始することが必要な患者さんもいる)

 脳血管障害の予防には130/80未満でよいが、心不全の予防には120/80未満が必要で、それが心不全パンデミックを避けることにつながる。

 

ARNIとSGLT2阻害薬についてシンプルにまとめてみました: 新時代の心不全治療に向けて

人生100年時代の循環器診療

 

 実際には、80歳以上の高齢者で血圧120前後ではふらつきがあり、少し緩めて130くらいにすることが時々ある。

 

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