なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

マイコプラズマ肺炎

2024年10月08日 | 呼吸器疾患

 10月4日(金)には肺炎の21歳女性が入院した。(担当は昨日記載した先生とは別)経過が長くて、入院を希望されたようだ。

 9月20日から咳があり、26日から37.5℃の発熱もあった。28日には発熱40℃になり、近くの医院を受診した。

 発熱が続いて30日に同医院を再受診している。COVID-19の迅速検査は陰性で、マイコプラズマの検査もして陰性だったが、クラリスロマイシンが処方された。

 10月3日から咳がひどくなり、同医院を受診した。今度はラスクフロキサシン(ラスビック)が処方された。咳と痰が多く、むせるように咳込むということで、10月4日は当院を受診した。

 胸部X線で左肺炎を認めた。CTではair bronchogramを伴う浸潤影とその周囲の斑状影がある。白血球6200・CRP17.7と白血球<10000だった。

 肺炎球菌・レジオネラの尿中抗原は陰性で、マイコプラズマ抗原検査が陽性と出た。マイコプラズマ肺炎としてミノサイクリン(ミノマイシン)点滴静注で治療を開始して、翌日には解熱した。咳はまだ続いているのはマイコプラズマらしいか。

 マイコプラズマ抗原検査が感度約60%、特異度約90%なので、感度は低めだが特異度が高く信頼できる。ミノサイクリン単剤治療で軽快しているので、マイコプラズマで間違いないのだろう。

 クラリスロマイシンは効かなかった(マクロライド耐性)ことになる。キノロンは1日しか使用していないので、効果はわからない。

 

 当院で使用しているマイコプラズマ抗原キットは、富士ドライケム IMMUNO AG カートリッジ Mycoで、検査室の話ではこれが一番いいということだ。

 ただし、入荷できなくなったので残りわずかになっている。その代わりに院内にあるコロナ用の迅速PCRの器械を使用してマイコプラズマのPCR検査ができるので、それで行うことにしたという。

 

 

 以前、「今日の治療指針」のマイコプラズマ肺炎の項には、マイコプラズマ肺炎は肺炎球菌肺炎と併発することがあり、どちらかだけの治療をすると症状が改善しないことがあるとあった。

 また肺炎球菌のカバーを通常のペニシリン(アモキシシリン)で行うと、ペニシリン耐性の肺炎球菌では効かないのでその可能性も考慮するとあった。

 つまりマイコプラズマ肺炎は肺炎球菌肺炎併発の可能性があり、その肺炎球菌がペニシリン耐性の可能性があり、セフトリアキソン+マクロライド(クラリスロマイシン、アジスロマイシン)で治療しなさい、ということ。

 キノロンだと両者カバーできるが、結核が否定できればいう条件が入る。

 

コメント (1)
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