3月13日(水)の当直は腎臓内科の若い先生だった。循環器の専門病院から外傷の72歳男性が紹介されてきた。
脳出血を来して、当院の脳神経内科(当時)に入院したことがある。幸い保存的治療で軽快して、右半身不全麻痺はあるが、ADL自立で仕事を続けていた。その後、胆嚢や大腸の手術も受けたが、乗り切っていた。
自宅の階段から下に転落した(高い位置からではないのだろう)。その後から背部の激痛があり、本人は整形外科疾患ではなく、大動脈疾患と思ったそうだ。
救急要請して循環器の専門病院に搬入されたが、大血管は問題なかった。左肩甲骨の骨折があり、階段転落時の骨折と判明した。体動困難で保存的治療でも入院を要する。そちらの病院には整形外科はないことと、当院に関わりがあるということで、搬送されてきた。
頭部CTも撮影されたが、特に病変はないと判断したようだ。当院に搬送後、CT像確認で硬膜外出血と脳内出血が疑われた。頭部CTを再検して矢状断・冠状断の像も作成した。急性硬膜下出血があり、脳挫傷も疑われた。
受けた先生は、地域の基幹病院脳外科に連絡した。保存的治療でそのまま経過をみていいとされたが、何かあったら(悪化したら)搬入も考えるともいわれたそうだ。
翌日に頭部MRIを行うと、CTで予想したよりははっきりしなかったが、やはり脳挫傷疑いありとされた。脳浮腫の治療も追加となった。急性期の悪化は今のところなさそうだ。