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なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

うつ病

2022年03月02日 | Weblog

 昨年12月に隣町の病院からリハビリ目的で転院してきた69歳男性が、自宅退院になる。

 

 昨年6月に同病院から地域の基幹病院に糖尿病で紹介された。HbA1cが14%で悪化していたが、インスリン強化療法で6%台まで改善していた。

 11月ごろから食欲が低下して、ほとんど食べなくなった。転倒打撲したこともあり、基幹病院を受診した。検査では特に硬膜下血腫や脳梗塞はなかった。

 そのまま帰されたが、食欲低下は変わらず、また家族が病院に連絡した。入院を要するが、糖尿病として悪化しているわけではないので、紹介先の町の病院に入院治療が依頼された。

 入院依頼の診療情報提供書に「アルコール多飲が判明した」という記載があったが、それは若い時の話でその時にはそういうことはなかった。

(町の病院から当院への診療情報提供書には、「アルコール多飲が判明した、老衰かもしれない」と入院を依頼されたとあった。老衰?。)

 地元の町の病院に入院して点滴をしているうちに、食事摂取はできるようになった。糖尿病もDPP4阻害薬1剤のみで、HbA1c6%台を保っている。ただ、ベット上の生活になっていて、ADLが低下していた。

 そこで困って?、「当院ではリハビリスタッフはいないので、貴院転院でリハビリをお願いします」という依頼が当院に来た。現在そこの病院の院長になっている先生からだった。(昔、勤務していた病院に大学病院からバイトで何度か来た先生で、顔と名前は知っていた)

 転院してくると、意欲の低下が感じられたので、家族にあまりリハビリには乗らないかもしれないと伝えた。それでもリハビリを行っていると、トイレ歩行くらいはできるようになった。

 しかしその後、リハビリの途中に「疲れた、腰や膝が痛い、下肢がしびれる」と言ってやめてしまうようになった。日中も布団をかぶって横になっていた。症状を訊くと、便が出にくい、食欲がわかないと弱く訴えた。

 意欲がない性格ではなく、うつ状態と判断された。抗うつ薬を開始することにした。SSRIのセルトラリンを25mgから開始して、50mgにすると、しだいに良くなった。

 ベットサイドに行くと座位になって話をするようになった(それまでは寝たままだった)。元気な感じは受けないが、暗い表情は(明るとはいえないが)普通の表情?にはなった。不眠はデジレル25mgから50mgにして、改善した。

 そのうち自分から退院後の通院の話をするようになった。自宅からは町の病院が近いので、退院後はそちらに通院することになった。

 現在の処方は、セルトラリン50mg/日・デジレル50mg/日だが、それぞれもう少し増量はできる(前者は100mg/日、後者は75mg/日まで)。

 本人が同意すれば精神科に紹介した方がいいが、郡部では適切な医療機関が少ない。(かかりやすい精神科クリニックは遠方になる。精神科の単科病院はあるが、結構受診に抵抗があるようだ。)

 町の病院の先生がうつ病の治療をどの程度してくれるかわからない。決まった処方で問題なければ継続してくれると思うが、当院に戻されるかもしれない。

 

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