なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

脳転移の頭部CT像

2021年06月25日 | Weblog

 午前中に市内の内科医院から、施設入所中の82歳女性が酸素飽和度低下で受診して肺炎を認めるので搬送したいと連絡がきた。

 認知症があるが、自力歩行はできて食事摂取もできていた。1週間前から食事摂取が低下して、医院の指示で経管栄養で使用する栄養剤を飲ませていたそうだ。

 2-3日前から痰が絡んでいた。今朝職員が酸素飽和度を測定すると70%台だったので、受診させたという経緯だった。体温は37.1℃だった。

 救急搬入時は酸素吸入2L/分で、酸素飽和度82%だった。5L/分にしても上がらず、酸素10L/分リザーバー付きにしても93%だった。

 胸部X線で見ると、右肺炎はあるが、それほどでもないように見える。胸部CTで確認すると両側肺野に斑状影というかすりガラス様というか陰影が広がっていた(散らばっていた?)。両側肺野の病変なので、酸素飽和度が低下が目立つのだった。

 

 施設職員も家族(娘さん)も肺炎で入院にはなると思っていたようだが、酸素飽和度では重症と伝えるとびっくりしていた。人工呼吸器管理になる可能性ありで診るようになる。

 どこまで治療するか相談すると、とにかくできるだけの治療をと言われた。地域の基幹基幹病院に連絡すると、地域医療連携室の方から、呼吸器科内科の先生は別の電話で出ているので、少し時間をおいてからかけなおしてほしいと言われた。

 先を越された?と思ったが、10分後にかけなおすと、受け入れてもらえた。ありがたく救急搬送でお願いした。搬送前には酸素飽和度96%と出て、酸素吸入と抗菌薬で何とかなるのかもしれない。

 肺炎は治ったが経口摂取できないということで、戻ってくる可能性が高いか。

 

 昨日、肺癌・脳転移の85歳男性が専門病院から転院してきた。画像のCDは来ていなかったので、今日頭部CTと胸部CTで確認した。

 頭部CTでは右小脳と両側の大脳半球(の白質)に転移巣が描出された。CTで限局性の脳浮腫になるが、MRIでみれば転移とその周囲の浮腫がもっとはっきり描出されるのだろう。

 

 脳転移をみることはあまりないが、転移巣の数ではこれまでみた中で一番多いかもしれない。症候性のてんかん発作をきたさないかが心配だった。

 胸部CTでは、左肺の背側に肺炎様の病変があり、腫瘍なのか炎症なのかわからない。血液検査で軽度の炎症反応上昇はあるが、発熱はない(症状もない)。

 来週紹介してきた先生が、当院の呼吸器外来の診療に来るので、その時に相談することにした。下請け的な診療しかしていないが、これで頑張るしかない。

 

 

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