なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

頻脈性心房細動~ビソノテープ

2021年06月15日 | Weblog

 月曜日に救急外来当番の神経内科医から連絡がきた。施設入所中の95歳女性が食欲不振で救急搬入されたという。

 来てみると、37℃台の発熱があり、型通りに新型コロナとインフルエンザの抗原迅速試験を行って陰性だった。血液検査は出したが、あとはどうすればいいかと訊かれた。

 内科再来をみているので、通常は他の外来のない内科医に連絡する。しかし月曜日の朝に、内科の同僚の先生から連絡が来ていて、前日に父親が亡くなったので数日休むということだった。

 また内科の若い先生(女性医師)は1歳半のお子さんが先週末に入院していた。画像検査を入れてもらって、外来の合間に診に行きますと答えた。

 患者さんは心房細動・心不全の入院歴があった。2016年には以前にいた循環器科医が診て、ハンプ・ラシックス・サムスカで治療して軽快退院していた。

 その後循環器科がなくなり、別の循環器科医が来た2019年にも入院した。またサムスカを使用して軽快退院していた。頻拍性心房細動に対しては、使用していたビソノテープを4mgを8mgに増量して、さらにベラパミル120mg/日分3を追加して、心拍数90/分前後にコントロールしていた。

 救急室に行ってみると、心拍数が170~180/分になっていて、神経内科医がジゴシン0.25mgを静注していた。心拍数は変わらない。

 循環器科のクリニックで出している処方を確認すると、ビソノテープとベラパミル内服は中止になっていた。ベラパミル0.5Aを静注すると、心拍数は100~110/分になった。ビソノテープ4mgを貼付した。

 頻脈時(心拍数140~150/分以上)の時は、ベラパミル0.5A静注としていたが、その後は100/分前後で推移している。ベラパミル内服も併用になるかもしれない。

 脱水症でもともとの慢性腎臓病が悪化している。といっても慢性心不全なので、輸液の調整が難しい。軽度に肺炎の陰影もあった。

 

 βブロッカーの貼付剤ビソノテープは便利だ。当初は8mg(メインテート内服5mg相当)と4mg(メインテート内服薬2.5mg相当)が院内採用となっていた。その後2mg製剤が出て、循環器科で4mgと2mgを院内採用とした(そして循環器科はなくなった)。

 「循環器治療薬ファイル」によれば、慢性心房細動のレートコントロールには、1)β遮断薬、2)カルシウム拮抗薬(ベラパミルかジルチアゼム)、3)ジギタリスで、この順番でレートコントロールの力が強い。(β遮断薬が第一選択で、ジギタリスは積極的には使わない)

 

 先週の木曜日に誤嚥性肺炎で入院した92歳女性は、土曜日に頻脈性心房細動になった。金曜日の夜間に透析を受けている患者さんが、透析終了後に回転性めまいしたので、土曜日に診に来た。心電図モニターで入院時は正常洞調律だったが、土曜日の朝から頻拍になっていた。

 心拍数140~150/分で、ベラパミル0.5A静注で心拍数は一時的に100~110/分になったが、また140~150/分に戻ったりする。血圧が80~100mmHgなので、不整脈薬が使いにくい。

 血圧の問題と超高齢という問題があるので、ビソノテープ2mg貼付して経過をみていた。その後、うまい具合に正常洞調律に戻った。血圧は100~110くらいで推移している。

 頻脈性心房細動になると、血圧が低下するので、レートコントロールをした方が血圧は改善するのだろうが、あまり低いと使いにくい。それでもビソノテープ4mgと2mgは使いやすくて重宝している。

 

 今日は自分の内科再来の訳あり外来だった。通常の内科再来で診ると時間がかかる(疾患の管理または性格的な問題で)患者さんを少数入れている。葬儀で休んでいる内科の先生の外来の分と、発熱で休んだ呼吸器内科医(外部の専門病院から)の外来の分も診ていた。(救急当番もしながら、入院患者さんの内視鏡もしていた)

 「病状が変わりない時は処方と次回予約だけにします、希望があれば診察しますが、相当待ちます。」と外来看護師さんに伝えてもらった。

 午後は保健所依頼のPCR検査をして、新型コロナの新規入院患者さんの胸部CTを診て、発熱外来2名の検査を出して結果待ちをしている。

 

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