なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

外来で心肺停止

2021年06月03日 | Weblog

 昨日は外来(再来)の受診数が比較的少なかったので、午前1時半に病棟に上がった。中心静脈カテーテル関連血流感染症を来した90歳女性のカテーテルを抜去して、入れ替えた。

 救急外来のエコーを借りていたので、返しに行った。救急外来では内科の若い先生が、外来で心肺停止になった77歳男性を診ていた。気管挿管して人工呼吸器を使用していた。

 呼吸器科外来(大学病院からバイト)に通院している肺気腫の患者さんだった。以前からADLは低下していたが、数日前から食欲不振が続いていた。

 呼吸器外来担当の先生から、内科新患をみていた入院治療をお願いされた、という経緯だった。胸部X線・CTで両側肺野に粒状・斑状影が散在していた。肺炎併発による増悪として入院になる。

 低酸素血症があり、酸素吸入2L/分が開始された(高二酸化炭素血症はない)。入院にあたって、新型コロナの検査と血液検査をしようとしているうちに、心肺停止に陥った。

 心肺蘇生術が開始されて、居合わせた外科医が気管挿管をしてくれていた。アドレナリンを3回投与したところで、自己心拍再開して血圧も測定できた。そのうちに自発呼吸も出て来て、人工呼吸をいったん休止した。

 しかし意識は戻らなかった。3桁の昏睡状態で、瞳孔は散大していないが、対光反射も出ない。短時間だが心肺停止による脳障害を来したと思われた。

 血圧が低下してきて、昇圧薬を開始したが、あまり効果を発揮していない。心電図12誘導を見たが、虚血性心疾患が発症してようには見えない。(急変時、心電図モニターは装着していないので、致死的不整脈が出たかどうかは不明)

 病院には奥さんが付いて来ていた。どこまで治療をするか相談したいと伝えると、家族(息子)が来てから相談したいという。午後1時を回って、午後の予定(COVID-19の新規入院など)があるので若い先生にお任せした。

 

 意識は戻らず、家族と相談の上、そのまま自発呼吸・自己心拍が続くところまで経過をみることになった。病棟の集中治療室(に相当する看護室隣りの病室)に入院したが、夕方に亡くなった。

 肺炎併発による慢性閉塞性肺疾患の増悪だが、酸素吸入後は酸素飽和度は回復していた。何かが加わったようだが、よくわからない。患者さんは本当に「骨と皮」に状態で、余力がなかったのだろうか。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする