2週間前に施設に入所している92歳男性が両側誤嚥性肺炎で入院した。何度も誤嚥性肺炎で入院しているが、昨年10月の入院が最後で、半年以上は無事だったことになる。
認知症で寝たきり状態ではあるが、簡単な会話はできる(肺炎で高熱・呼吸困難がない時)。家族には、酸素吸入・抗菌薬投与で治療するが人工呼吸管理まではしない、ということで了承された。入院後、ゾシンで治療を開始したが、高熱が続いて肺陰影が悪化した。今回はダメかなと思いながら、抗菌薬をカルバペネム(チエナム)に変更した。
抗菌薬変更3日後に、解熱して胸部X線でも改善してきた。ゾシンが効かなくてチエナムが効くということは、起炎菌は何なのだろうか。あるいは抗菌薬と関係なく肺炎が軽快してきたのか、抗菌薬投与の日数の問題で変更しなくても改善したのか、判断はつかない。とにかく治った。嚥下も何とかできて、ソフト食から全粥刻み食とろみ付きにアップした。
この方はでっぷりと太っていて、体力はありそうだ。丈夫なものだと感心する。来週まで経過をみて、施設に戻れそうだ。(左から右に継時的変化)
皮膚科にDPP4阻害薬による類天疱瘡で入院した77歳男性は、入院日の夜から発熱して酸素飽和度が低下した。翌日相談されて胸部X線を見ると、両側肺炎(誤嚥性)だった。施設に入所しているが、入院前の施設にいる段階で誤嚥していたのだろう。内科転科で肺炎の治療を開始したが、しばらく改善しなかった。
粘って治療を継続しているうちに、やっと改善してきた。炎症反応も改善して、酸素吸入も1~2L/分となったところで、嚥下訓練を開始した。STさん(聴覚言語療法士)が付いて訓練していたが、摂食は数口に留まって、嚥下は進まなかった。昨日STさんから、嚥下は無理ですと言われた。
この方は生まれつき精神遅滞で、施設に入る前は独身の弟さんが世話をしていた(平日の日中は妹さんが訪問)。今日弟さんを呼んで、今後のことを相談した。胃瘻造設は、以前話をした時にも「したくない」と言われていたが、改めて聞くとやはり「しなくていいい」ということだった。「絶食・高カロリー輸液にして療養型病床」という選択もあるが希望しなかった。
このまま当院で点滴(末梢用)を行って、経口摂取は数口だけだとしても継続して経過を見ることになった。それが一番自然な形なのかもしれない。単語だけの発語は少しあるが、年齢以上に老化している印象がある。今回自宅を掃除して(葬儀ができるように)、お墓も掃除しましたという。それは早すぎる。
午前中は内科外来(再来)を診ていたが、聞いたことのない名前の患者さん(50歳代半ばの女性)がいた。その方の両親がそれぞれ入院して主治医になったので旧姓を知っていたが、旧姓に代わっていたのだった。離婚したらしい。2か月に1回の診察で、降圧薬や甲状腺ホルモン薬は2か月分出しているが、その間に1か月分しか処方できない睡眠薬をもらいに来ている。今日は薬だけの日だったが、来月は診察があるので、その話が出るかもしれない。ちょっと驚いた。