5月1日の午後の外来担当(その日当直も)は腎臓内科の若い先生だった。これまで大学病院から中堅の先生方が3か月交代で来ていたが、もっと若い先生(内科専攻医)で内科各分野の症例を経験するため1年間の予定で赴任された。(正確には腎臓内科を目指している先生)
午後4時ごろに、COVID-19に罹患してからずっと発熱が続いている31歳女性が内科外来を受診した。4月19日にCOVID-19と診断されているので、13日目になる。
胸部X線・CTで右中葉と左下葉に浸潤影を認めた。血液検査は白血球12500・CRP3.8だった。







腎臓内科の上司に当たる先生に電話連絡したが、当方にも相談するようにといわれたそうだ。その日は午後5時半に帰れて、午後6時半過ぎに通勤の車を停めたところで電話が入った。
悪化した場合は気管挿管になるので、地域の基幹病院に送った方がいいでしょうかという。酸素飽和度は97%(室内気)なので、当院で治療して思わしくない時に相談でもいいのではないでしょうか、と伝えた。
画像について訊くと、浸潤影ですりガラス陰影ではないという。コロナ自体の肺炎ではなく、むしろ二次性の細菌性肺炎だろう。(コロナの陰影が器質化した可能性もあるが)
抗菌薬はセフトリアキソンを考慮していますかと訊くと、そうだというので、その日はセフトリアキソン2g投与で治療が開始された。次の日は大学病院から呼吸器外来に先生が来るので、そこで相談しましょう、ということにした。入院は個室になった。
翌5月2日に胸部X線・CTを見ると、確かに浸潤影だった。呼吸器科の先生と相談すると、やはり二次性の肺炎が併発したと考えられるという。若いので非定型も検査・カバーが必要かもしれないこと、痰がでなければ尿中抗原を検査すること、などをご教示いただいた。
肺炎球菌尿中抗原が陽性で肺炎球菌肺炎だった(レジオネラ抗原は陰性)。セフトリアキソン単独の投与でいいようだ。(キノロンをかぶせればさらに効くかも)
インフルエンザは二次性細菌性肺炎で悪化する。COVID-19は当初はウイルス性肺炎そのもので悪化したが、その後は減少して、高齢者では二次性に細菌性肺炎(誤嚥性肺炎)を来たして悪化するようになって来た。
若い患者さんのCOVID-19罹患後の二次性細菌性肺炎(肺炎球菌肺炎)は初めて見た。