sigh of relief

くたくたな1日を今日も生き延びて
冷たいシャンパンとチーズと生ハム、
届いた本と手紙に気持ちが緩む、
感じ。

映画:92歳のパリジェンヌ

2016-11-13 | 映画


ああ、またこのひどい邦題。
安楽死と家族の問題の、難しいフランス映画なのに、何なのこの邦題。
ほんと腹立つ。(米大統領戦結果の八つ当たりではありません)
しかもパリらしき場面はほとんど出てこない。本当ににパリなのか?
主役の老人はバリバリの活動家で、奔放に恋もしてきた人だけど、
パリジェンヌらしき部分も全くない。
お粗末すぎる邦題。
原題は、フランス語で、直訳すると「最後のレッスン」
いい訳がありそうなのにねぇ。ため息。

92歳の女性が、2ヶ月後に死ぬと宣言することで起こる家族の葛藤。
一言で言うとそういう映画です。
主に娘との関係が出てくるけど、その息子(つまり孫)が、いい子なのよね〜。
こういう映画で、親があたふたして、反発したり受け入れられなかったりの時に、
孫だけが祖父母の良き理解者になって助ける、みたいな設定は、ありがちだけど
まあ、悪くはないです。

ビジネスで成功している息子は母の決意に怒りまくり、
暴力的な態度で母親の隠していた薬を奪う。
一方娘は母親とはいい関係だったのだけど、やはりなかなか受け入れられずに悩む。

自分は死というものを、そんなに特別なもののように思えないので
こんなに騒ぐ気持ちはよくわからないんだけど、
まあ世間的には大変なことで、こういう感じなんだろうなとは想像できます。
一つ、根本的なところでわからないのは、
安楽死の決意を家族に宣言して、受け入れさせようとする母親のこと。
若い頃は助産婦をしながらも活動家だったということで、
自分の意思を貫き、戦っても相手に認めさせるような人だからでしょうけど、
どんなに年を取っても何もできなくなっても生きていてほしいと願う家族に、
それを受け入れさせるのは酷なことなのではないかと、わたしなら思う。
家族に安楽死を受け入れ認めてもらっても、散々苦しんで味方になった家族に
自殺幇助的な罪悪感を抱かせ、苦しめることになる可能性もあるし
理解してくれ、味方になって手伝ってくれと言うのは、勝手なワガママだよねぇ?
わたしなら、黙ってやる。
勝手な理解を求めないけどなぁと思って、そこはこの母親に共感できないです。
でもまあ、映画だからそこでの葛藤をドラマチックに描くしかないんだけど、
同じ安楽死のテーマでも、
このような何かを乗り越えるドラマチックさや愛と感動の物語ではない
「母の身終い」の方が、個人的には好みです。
「92歳のパリジェンヌ」は生きたいように生き、家族に恵まれ愛され
幸せな人生だった女性の話だけど
「母の身終い」はさほど幸せでない人生の終わりに脳腫瘍になり、
苦しむ前にもう終わらせたいと願う女性の話。こっちは結構辛い話だった。