老いの途中で・・・

人生という“旅”は自分でゴールを設定できない旅。
“老い”を身近に感じつつ、近況や色々な思いを記します。

言葉の語源など  その(32)  ~むべなるかな~

2019年11月26日 21時42分13秒 | 面白い言葉や語源など
(ここの所紅葉狩りに忙しくて、23/25日と京都に出かけたり、大阪にいる時はテニスを楽しんだりで写真の整理が遅れていますので、今回はツナギと言っては失礼になりますが、書き留めていた言葉に関する原稿に少し手を加えました。)


 “いかにももっともだな”とか“確かにその通りだ”というような意味で使う言葉に「むべなるかな」という言葉があります。

 ムベというアケビ科の植物があり、天智天皇がこの果実を食べて「むべなるかな」と言ったとかいう昔話を聞いた様な記憶があったりして、この言葉は植物の「ムベ」から由来するものだと思い込んでいました。

 確かに、天智天皇とこの「むべ」は関係がある様なのですが、私の記憶はその逸話を断片的に繋ぎ合わせたもののようで、正しくない事が判りましたので、この「むべなるかな」の語源を改めて紹介させて頂きます。

◆「ビズキャリ online」などに拠ると、
・「むべなるかな」の語源は、古文単語の「むべなり」と言う単語で、“確かに”“なるほど”と納得する意味があります。
その単語に「かな(〜だなあ)」という詠嘆の意味を表す助詞が付け加えられたのが、「むべなるかな」で“なるほどなあ”“確かにそうだなあ”と納得する様子が表現され、その言葉が今でも使われるようになっています。

・「むべなるかな」を漢字で書くと「宜なるかな」となりますが、「宜」という漢字には「物事を肯定する気持ち」という意味があるようです。
また、「うべなるかな」という言葉もあるようですが、これも漢字では「宜なるかな」となり、「むべなるかな」と同じ意味で使われるようです。


◆「むべ」と天智天皇の逸話については、ムベを商品化しているSET INTERNATIONAL inc のホームページで紹介されている滋賀県近江八幡市の北津田町に伝わる伝説などに拠ると下記の様です。

・琵琶湖のほとりに位置する蒲生野に狩りに出かけた天智天皇がこの地で、8人の男子を持つ健康な老夫婦に出会った。
「汝ら如何(いか)に斯(か)く長寿ぞ」と尋ねたところ、夫婦はこの地で取れる珍しい果物が無病長寿の霊果であり、毎年秋にこれを食するためと答えた。これを賞味した天皇は「むべなるかな」と得心し、「斯くの如き霊果は例年貢進せよ」と命じた。

・その時からこの果実をムベと呼ぶようになり、以後、北津田町は朝廷や幕府からの賦役の免除、献上の道中に帯刀するなどの恩典を受けると共に献上は1982年まで続いた。天智天皇を祭神とする大津市の近江神宮へも1940年の創祀(そうし)以来、毎年献納を続けている。

 ということで、私の記憶とは逆に、天智天皇の言葉から「むべ」という名前が付いたようですが、それまではこの植物に名前が無かったとは思えませんし、偉い人と結びついた伝説などはこのようなものかも知れませんね。


◆尚、植物のムベは暖地の山地に生えるアケビ科の常緑つる性植物で、別名はトキワアケビ(常磐通草)或いはウベです。
果実はアケビ,ゴヨウアケビ(五葉通草),ミツバアケビ(三葉通草))に似ていますが,熟しても裂開しません。暗紫色に熟し,果肉は甘く,食べられますが、果肉には種にしっかり着いており、種子をより分けて食べるのは極めて難しいようです。

 それにしても、漢字では「郁子」とか「野木瓜」と書く様ですが、「野木瓜」は兎も角として、何故まるで女性の名前のような「郁子」となるのか、その由来も調べて見ましたが、これはちょっと判り兼ねました。(まさ)


ムベの果実(庭木図鑑より)