老いの途中で・・・

人生という“旅”は自分でゴールを設定できない旅。
“老い”を身近に感じつつ、近況や色々な思いを記します。

「もんじゅ」の廃炉に思う。

2016年09月30日 20時19分17秒 | 原発関係
 9月最後のブログは、やはり原発関係です。
高速増殖炉の原型炉である「もんじゅ」の問題点については、このブログでも再三触れてきましたが、政府は9月21日の原子力関係閣僚会議で廃炉の方向で検討することになり、地元などとのスリ合わせの後、具体的な方策は年内に取りまとめられることになったようです。

◆“やっと”という気持もありますが、今までほとんど稼動しないまま20年で1.2兆円も空費し、今後更に廃炉に要する30年3,000億円ということを聞くと、改めて「サンクコスト効果の罠」を思わずにいられません。余りにも責任感のない、無責任なプロジェクトの代表と言えるでしょう。

◆更に問題なのは、この「もんじゅ」を廃炉にするにも拘わらず、この根本にあった核燃料サイクルはギブアップせずに、今後は文部科学省に代わって、経済産業省が主導して推進するということです。
しかも、今までの「もんじゅ」が原型炉として位置づけられていたのが、これよりも1段進めた「実証炉」という段階で継続するということです。

 そもそも「もんじゅ」は核燃料サイクル政策の一環として位置付けされており、原発の使用済み燃料を再処理し、抽出したプラトニウムとウランを混ぜたMOX燃料を加工して原発で再び使用するサイクルの中核として位置付けられていましたが、「もんじゅ」の廃炉にもかかわらず、この燃料サイクルを見直しできない理由は、次のようなことが考えられます。

・もしこのサイクル自体を否定するとなると、青森県と結んだ協定に反して、六ヶ所村が核のゴミ捨て場になりかねず、使用済み燃料の持ち込み先がなくなってしまう。
・日本が現時点で保有するプルトニウムは約48トンとも言われており、これは核兵器にも使用出来るので、今まで政府が繰り返してきた“余剰プルトニウムは持たない”との発言や、米国との間に結ばれている「日米原子力協定」の兼ね合いもある。
というような事情で、政府としては核燃料サイクル政策の継続を表明せざるを得ないのでしょう。

 しかし、この核燃料サイクル技術は相当に難しいようで、まだ世界に確立された施設はなく、欧米各国はこの計画からは撤退し、僅かにフランスだけが研究継続をしているようです。
このような状況を考えれば、日本は核燃料サイクルを継続すべきではなく、使用済み燃料の処理方法が未解決な原発そのものからの撤退と、いままでに生じた使用済み燃料を含む原発廃棄物の根本的な処理にまず取り組むべきでないでしょうか。(まさ)

国立國際美術館の「始皇帝と大兵馬俑」展

2016年09月29日 20時40分00秒 | 全般
 大阪中之島にある国立国際美術館にて「始皇帝と大兵馬俑」という特別展が開催されています。
余り中国好きでない私ですが、中国を初めて統一した秦の始皇帝の歴史や、その陵墓に8,000体もの陶製の軍団「兵馬俑」が埋められたという事実には大変興味を持っていて、暦所などにも目を通しました。

 偶々大阪で特別展が開催ということで、是非とも観てみたいと思いながら、何かとバタバタしており、気がつくと期間は残り僅か…
昼前から小雨になったのを幸いと、急遽出掛けました。

 私と同じような考えで来られた人が多いのか、また学生さんの団体も多く、沢山の人でした。
今回の音声ガイドのナビゲーターが壇密さんということで楽しみにしていましたが、これも順番待ちということであきらめました。

 館内の最初の方の展示は、多数の秦王朝成立期の生活用品や装飾品などでしたが期待以上でした、その後の広いスペースに兵馬俑がありました。
勿論展示されている兵馬俑の数は10数点だけですが、その迫力ある造形美、特に顔の表情は素晴らしいものでした。
最後のブースには約60体のレプリカが並べられており、ここは撮影OKというのも、このような展示会で付きまとうストレスが溜まらない、新しい展示方法だと思いました。(まさ)

国立国際美術館の外観

以下は、撮影OKスペースのレプリカ作品ですが結構迫力ありました。







最後の写真はレプリカと背景の写真の組み合わせです。

福島県のダム底に高濃度セシウムが堆積

2016年09月28日 20時16分48秒 | 原発関係
 9月25日付の毎日新聞によると福島県第1原発周辺の10ヶ所のダム底に高濃度セシウムが堆積しているのが環境省の調査で判明したとのことです。
いずれも、除染されていない森林などから川に流れ込んだものがダムの底に堆積したもので、国の食品への基準値(飲み水/牛乳/一般食品で、1kg又は1ℓ当り各10/50/100ベクレル)は勿論のこと、指定廃棄物の基準値(1kg当り8,000ベクレル)をも遥かに超えているとのことですが、周辺部の森林などが除染されていないので、この数値は今後もますます増え続けるでしょう。

 環境庁の担当者は各ダムとも表層の水は飲料水基準を下回っており、浚渫をすれば巻き上がり下流へ汚染水が流れ出すリスクもあり、「このままダムに閉じ込めておくのが現時点では最善策」とのことですが、余りにも安易な考えではないでしょうか。

◆前にもふれたように福島の原発事故で放出された放射性セシウムは、半減期30年のセシウム137と2年のセシウム134が主だと言われており、セシウム137は仮に120年たっても現在の水準の16分の1位は残ることになりますが、岩部ダムについては現在の堆積土の放射性セシウムは60,000ベクレル以上と推定されており、今後まだまだ増加することを考えると、国の指定廃棄物の基準値に達するには何百年かかるのでしょうか。
このような状態で放置すれば、下流住民への健康への悪影響は勿論のこと、福島県産の食品に対する消費者の安全信頼は定着しないでしょう。

◆また、本来ダムは水資源の有効利用や水害からの防災が目的のはずで、高濃度放射性廃棄物の貯蔵を目的としたものではなくそのような構造にはなっていないはずです。
このままでは人間に対する危険がなくなるのに、今後何百年かかるか判らないのですが、この間地震によるダム崩壊やダムの干上りによる堆積物の露呈などに対するリスクもあり得るでしょう。

 住民の真の安全を考えれば、現在のダム底堆積物の除去と共に、その前に周辺森林などの除染なども絶対に必要でしょう。
その為には、必要とあれば除染期間を区切った上で、その間の住民の集団移住を国と東電が責任を持って対応する以外に無いでしょう。

 また、これに対する費用について、東電だけで負担できないというのであれば、“今後はこのようなリスクのある原発からの撤退”ということを表明した上で、今まで「安い電力」というまやかしの恩恵を受けてきた(?)産業界や消費者にも負担をお願いする以外にないでしょう。

 これが、事故により長期にわたる放射能汚染を引き起こして,“美しい国日本”の大事な国土を汚染した当事者の根本的な対応なのではないでしょうか。
非常にリスクがある原発を経済性優先で推進してきたことに対する、真の謝罪と反省だと思います。
(まさ)

サンクコスト(埋没費用)効果の罠

2016年09月27日 23時30分16秒 | 政治・経済・環境・核兵器など
 先日の毎日新聞の記事で高速増殖炉もんじゅの廃炉問題に関して、「サンクコスト効果」(SUNK COST=埋没費用)という言葉を知り、調べて見ました。

 サンクコスト(埋没費用)とは、事業や行為に投下した資金・労力のうち、事業や行為の撤退・縮小・中止によって戻って来ない投下資金・労力を言い、これらのコストを考えることで、その後の意思決定に悪い影響を与え、合理的な判断ができなくなってしまう心理のことを「サンクコスト効果」と言うようです。即ち、過去の投下コストが現在の意思決定能力を鈍らせることを言うようです。

 例えば、12万円で買ったノートパソコンの調子が悪く修理に出したら液晶画面の取替えで3万円払ったとしましょう。暫くパソコンは快調に動いていたが、今度はCPU/ハードディスクなど次々悪くなり、店に相談したら8万円かかると言われました。
こんな時、多くの人は先に要した3間年は諦めて、もう少し足して新しいパソコンに替えようという選択をすると思いますが、逆に最初に8万円をかけて修理したパソコンの調子が再度悪くなり今度は3万円必要と言われた場合は、多いに悩むことでしょう。

 このようなサンクコストのためにやってしまいがちな身近な失敗といえば、恋愛と投資だと言われます。民間の事例では笑い話、或いは警告として済むかもしれませんが、困ったことには我が国では色々な国の政策についてもこのサンクコスト効果が数多く見受けられることです。


 商売上手で知られるユダヤ人は、始めた事業の将来性が難しい事がわかると、損してでも中止し(損切り)、新たな事業に向うと言われていますが、これに反して日本人には「もったいない」思想が根付いていることもあり、簡単に過去の損失を切り捨てるというのは難しいことなのかもしれません

 その結果、国策としての事業の推進にあたっても、
・途中で状況が変わり、完成しても当初に期待した通りの効果が望めないとわかっても、これまでかけてきた努力を考えると引き返すことができない。
・面子にこだわって従来のやり方を変更することができなかったり、仕様を変更しすぎて当初の予定より多くのコストがかかるようになってしまうことがわかっても中止できないというケースが多く見られます。
殆どの場合、これらの事業を推進しているのが、誰も責任を取らない官僚組織ということで、STOPを言い出す人がおらず、ダラダラと継続することになってしまったということのようです。

 例えば、今回やっと廃炉に踏み切りそうな「もんじゅ」がそうですし、アベノミクスを支える日銀の金融政策、オリンピックの施設や各種準備や色々な公共事業、更に東京都の市場移転に伴うドタバタ劇などもそうでしょう。
更に、今後原発事業そのものがこの轍を踏む可能性も非常に大きいと思いますし、我が国の色々な政策をこの点から見直す必要があるようです。
 
 今挙げた例では、当初の検討が甘かったことが大きな要因でしょうが、更に最大の元凶としては国の予算編成の在り方があると思います。
選挙での票獲得だけを考えて、大きな借入金を前提としたバラマキ予算を組み、更に一度承認された事業では、「親方日の丸」で当初の予算など無視した事業推進する体質のツケがここに集約されているのでしょう。

 国民の大事な税金を有効に使い、国民の安全を守り、将来の国の在り方を考えれば、
・貴重な税金を使う事業に対しては、「もったいない」精神は非常に大事で、当初の立案に際しては、極力のコスト削減を図る
・また、事業推進に対するリスク評価と、もし計画通りの進行が難しいと気付いた時点での、早めの立ち止り検討(中止も含めて)
という柔軟な対応が絶対に必要です。

 要するに、政策遂行者はサンクコスト効果に陥らないためには
・「もうお金を使っているから、今やめたらもったいない」「どうせ自分の腹は傷まないし、自分は直ぐに担当から外れるから、この件で責任を問われない」と言う発想を止めること。
・日本人にありがちな、下記のような発想に束縛されないことが必要でしょう。
     乗りかかった舟
     毒を食らわば皿まで
     石の上にも3年
(まさ)

秋分の淡路島

2016年09月26日 20時05分22秒 | 旅行/色々な風景
 9月24日は義父の通院付き添いを兼ねて淡路島へ行きました。
病院が割合早くに終わったので、南淡路市の畑をぶらついたりした後帰路につきましたが、時間の余裕があったので、高速の上り線側のパーキングと、近くのハイウェイ・オアシスに立ち寄りました。
パーキングエリアでは、本四連絡橋が直ぐ近くに見える絶景を楽しめましたが、ハイウェイオアシスでは裏側にあるガーデンなどもあって、一杯の観光客でした。(まさ)


南淡路市の田の縁でもヒガンバナが満開でした

淡路パーキングから本四連絡橋を眺める。少し靄がかかり少し見にくかったです。

ハイウェイオアシスの外観

同上内部

裏側にあるガーデン

駐車場から、下り側のパーキングエリアの観覧車と明石海峡を見る