老いの途中で・・・

人生という“旅”は自分でゴールを設定できない旅。
“老い”を身近に感じつつ、近況や色々な思いを記します。

若い人の保守化とリベラルなどについて その⑧  ~余話~ 

2021年01月31日 19時17分47秒 | その他

 長くなりすぎた拙文にお付き合い頂きありがとうございました。
7回で終わるつもりが、つい伸びてしまいました。


 ややもすれば、日常の流れに身を任せがちな生活を送っている身には、約1年が経過した今回のコロナ騒ぎは自分や社会のことを見つめ直すのに絶好の機会でした。

 人類の進歩(?)ということを大命題として、他の生物の生活環境や地球の環境破壊に気付かないふりを続けている人類の傲慢さというものに改めて気付かされましたし、我が身さえ良ければ良いという世界や日本の政治の方向性の危うさを身近に感じました。

 そんな中で、特に日本における切実な問題として予てから気になっていたのが、若い世代の人たちと我々高齢者世代の間にあると感じられる大きなギャップです。
このままでは、この日本という国が目的地もないままに、漂流を続けて難破に到ることは、避けられないでしょう。       

 そのことは、世代を超えて、誰もが予感しながらも、お互いが自分達の世代には責任はなく、かえって被害者だと思っているのでしょう。

 こんなことを考えて自分なりの好き勝手な考えで書き込んでいる内に、つい纏まりのない長い駄文になってしまいました。


 改めて振り返ると、我々高齢者はある意味では恵まれた環境で生活していたのでしょう。
確かに戦争の被害を直接或いは間接的に受け、壊滅状態だった焼土の中でのスタートとなりました。

 周りには戦争で働き手を亡くした家庭や、外地から引揚者たちや在日朝鮮民族も沢山いましたが、それ以外の人も殆どが貧しくて貧富の差と言う事はあまり意識せずに、皆が辛抱して支え合うことが当り前の世界で、何となく一種の連帯感のようなものがあったと思います。

 そして、衣食住も不十分な中で、新しい憲法と民主主義制度という輝くような衣を纏って、格差のない平和な世界を夢見るようになりました。


 その夢の多くは、間もなく青春期に直面した安保闘争の中で、幻想だったとの現実に向き合うようになるのですが、多感な時に否応なく社会の仕組みや政治の在り方に向き合う経験をし、それなりの進路を決めたと思います。

 幸いにも当時の日本は復興に向う成長期で、現在と異なり失業者も少なくて、ましてや非正規雇用というようなものもなく、消費社会とは程遠い世界で、ある程度気自分の信念に従って勉強し、社会に出ても何とか信念に恥じない様な生活を送ろうと苦労した人が多かったでしょう。

 そして、青春時代に感じた思いは、朱夏/白秋/玄冬と引きずって生きてきました。(青春/朱夏/白秋/玄冬については、1月14日のブログを参照下さい)
それは、ある意味では不器用で余り融通の効かない高齢者という立場になっても、何とか世の中のことを考えて若い世代に引き継ぐのが義務だと思い込んでいる年代なのかも知れません。

 しかし一方で、このような国にしてしまったこと、特に国の借入金増加の結末を後の世代に任せざるを得ないのは、我々世代を含めて国民が、激しい抵抗もせずに目先の利益を優先する施策を受け入れてきた結果であり、我々高齢者も相応の責任を負うべきものであることははっきりと自覚すべきでしょう。

 

 最後に、そのような高齢者の中の私が、未だに忘れていない歌を紹介しておきましょう。

 1966年にフジテレビで放送された連続テレビドラマの主題歌で、両親を亡くした5人兄弟(田中邦衛、山本圭、橋本功、佐藤オリエ、松山省三)が、友情・恋愛・確執などを繰り返しながらも逞しく生きていく姿を描いていました。

 今でもこれを時々知らず知らずに口ずさんでいる時がありますが、そうするとまだ自分が青春時代の真中にいる様な気がするのです。

「若者たち」  
   作詞:藤田敏雄、作曲:佐藤 勝、歌:ザ・ブロードサイド・フォー

  君の行く道は 果てしなく遠い
  だのになぜ 歯をくいしばり
  君は行くのか そんなにしてまで

  君のあの人は 今はもういない
  だのになぜ なにを探して    
  君は行くのか あてもないのに 

  君の行く道は 希望へとつづく
  空にまた 陽が昇るとき
  若者はまた 歩きはじめる

(※ このドラマの1966年9月23日放送予定の第33話「さよなら」は、在日朝鮮人に対する日本人による差別を描いていたのだが、その直前に平新艇事件が発生したため、放送が中止された上、9月30日をもってドラマ自体も打ち切られた由です)

 長期にわたってのお付き合いありがとうございました。(まさ)

 


若い人の保守化とリベラルなどについて その⑦  ~世代間ギャップを埋める為に 後篇~ 

2021年01月30日 19時03分20秒 | その他

 検討すべき国家のあるべき姿の主なポイントについては、私的には概略下記のような、日本の将来像を設定する事ではないかと思います。

◇資源小国の自覚の下に、自然エネルギーに頼る国造りと、環境保護のリーダーを目指す
・風力・水力・波力・地熱・太陽光・水素エネルギーの活用 
⇒ 原発/火力発電の廃絶と、発電/蓄電技術の開発

・環境保全のリーダーを目指す。
⇒ 二酸化炭素問題としてのエネルギー源としてだけでなく、地球汚染の大きな要素となる回収不可能な石油化学製品の原料としての石油からの脱却、自然と共生するイノベーション

・増え続ける世界人口に向き合うために、食品ロスを減らすシステム作り


◇国民の幸福を優先する施策
・産業/金融界よりも国民生活優先の施策
⇒ 金融緩和に拠る株価維持や、企業保護よりも、国民の幸せを優先する施策
 人口動向を考慮した、将来に亘り安心できる年金制度の見直し(基金の運用方法も含めて)

・素材製造メーカーや化学技術利用の業者(含、原発)に対して、生産品に対する製造者責任と共に、製造過程や製品利用に伴う廃棄物や排出物(例えば、車両や設備稼働に伴う排出されるガス類なども)の完全に安全な処分や無害化を義務づける。

・基地や原発(含、核のゴミ処理施設)など、住民の負担を強いる施設の地域偏重を見直す、自然災害への対策強化


◇格差のない社会造り
・高額所得者や企業の内部留保などへの課税強化、非正規雇用者の減少、大学授業料を含めた教育費の軽減

・パートタイマーや非正規雇用者をも対象とした労働組合の在り方検討や、社会保障制度の見直し
 社会を支える職業(看護/介護/保育/配送/収集/保安など)従事者への配慮

・社会的弱者(貧困家庭/高齢者/子供/学生/各種難病患者/片親世帯/LGBTなど)への充分なる配慮


◇国家財政健全化策の明示=プライマリーバランス均衡への方策と道筋
⇒ 収入に見合った支出と、累積する借入金の軽減案
・歳入の拡大策:富裕層からの増税や企業優先策の廃止

・歳出の減少策:根本的な見直し⇒ 色々な管理費の大幅削減による小さな政府
(何よりも議員歳費/各種助成金/防衛費などの根本的な見直し)


◇議会制民主主義政治や官僚のあり方の再認識
・真に国民の幸せを目指すための、議会運営と議員のあり方の見直し。(含、選挙制度)
・野党からの法案提出を支援する策
・議員は国民への奉仕者であることの自覚 
  ⇒議員特権の見直し、議員手当てや政党交付金など先ずは自ら身を削る改革案を
・公務員は公僕であることの徹底


◇国際的な平和協調を目指すリーダーを目指す
・核兵器廃絶へのリーダーシップ、米国の核の傘からの脱却と、近隣諸国との友好性優先
・自衛隊のあり方検討と、自然災害への対応策検討


 これらの事がある程度明確に方向付けされれば、若い世代の人たちも日本の将来像をイメージしやすくなるとともに、政治の在り方をよりチェックしやすくなるでしょうし、高齢者も少しでも若い世代によりそって既得権利の縮小に協力できるような環境になるのではないかと期待します。

 更に一番希望したいことは、今の若い世代は閉塞感に満ちた環境で充分に考える時間もないのかも知れませんが、自分達の老後だけでなく、子供たちが生きる将来の日本を担う主役は現在の若い世代であるとの自覚で、日本の在り方を決める政治にもっともっと関心を持って関わって欲しいという事です。

 世界的に見ても、若い世代が国のあり方や地球の将来に向けて様々な声を発しており、その多くに高齢者の世代も好意的な反応を示していると思います。(まさ)

※ これで終了予定だったのですが、後1回追加となりました。

<続く>


若い人の保守化とリベラルなどについて その⑥  ~世代間ギャップを埋める為に 前篇~

2021年01月29日 19時23分13秒 | その他

 以上、見てきたように高齢者と若い世代では、その置かれた環境が違う為に、考え方に大きな相違が生じ、これが政治などに関する考え方の世代間ギャップとなっています。

 今一度、整理してみますと

若い世代の人は、
・確かに金融緩和やIT進歩などに拠って、恵まれた環境を楽しんでおられる人もいるでしょうが、これらの人はごく少数で、多くの人は経済成長も余りの望めない環境下で、中流階級の夢も追えないままに格差社会の悲哀を味わい、或いは非正規雇用という立場から抜け出せないなど、閉塞感に包まれていて、将来に対する夢も描けない人が多く、多くは自分達の老後の生活については絶望的にならざるを得ないのが事実でしょう。

・そんな環境下では目先の経済安定が至上課題となり、現在の政治の在り方に対しては無関心な人が多い。

・更に、「高齢者は保守的で、改革に協力せず、自分たちが持っている既得権は手放そうともしない。墓場まで持っていくつもりだ」と思っている人が多いようです。


◆一方、高齢者は高齢者で、
・少し前の世代の高齢者が享受した様な優雅な余裕のある老後を愉しめる環境ではありませんが、それでもまだ高齢者の多くは、正規雇用者として定年まで勤めた結果として、何とか年金などで暮らせている人が多く、自分達は中流階級だとかっての余り格差の無かった時代の幻想に埋もれています。

・リベラルと言う考え方を理解し、現在の政治の在り方に大きな不満を持っているが故に、自分達が持っている経済的な基盤を手放す気は毛頭なく、往々にしてかって自分達が批判した前の世代のように「保守的」な立場に立つ人が多い。

・更に、「自分達は、戦争の中でより苦労された上の世代に対して精一杯尽くしてきた(根性論)」のに、「若い人達は、やる気がなく従順で、現在バイアスを掲げる政権に迎合するだけだ(若者ヘタレ論)」と思っている人も多い様です。


◆世代間の基本的な立場の理解。
この様にお互いが理解し得ないままで、お互いが背を向けて状況は何とも不幸で、何の進展もないでしょう。


 何とかこの日本という国を少しでも良い方向に持っていくためには、高齢者世代が同意できるとともに、若い世代が将来への希望を持てるような経済政策を含めた国家の目標を一緒になって構築すべきだと思います。(まさ)

<続く>


若い人の保守化とリベラルなどについて その⑤   ~リベラルの本質と保守や改革などについて~

2021年01月28日 19時08分11秒 | その他

 以上見てきたように、不幸にも私たち高齢者と若い人達の間には、政治や経済に関する考え方や、リベラルというものの考え方に大きなギャップがあるように思いますので、まずこれらの言葉の定義を確認しておくことが大事でしょう。

◆まず、「リベラル」と言う言葉に対する理解です。
・リベラル(英: liberal)は、「自由な」「自由主義の」「自由主義者」などを意味する英語で、政治思想の分野では社会的公正や多様性を重視するリベラリズム(自由主義)やリベラリスト(自由主義者)というように使われます。

・自由主義者は自由主義に基づいて多様性を重んじる世の中を支持します。
政治的に左翼思想と混同されることが多いですが、本当の意味では左翼思想と直接的な関係がありません。
 基本的にリベラリストは反戦主義であり、その為日本国憲法の第九条にも肯定的であり、結果的に、護憲派と呼ばれる人々の中にはリベラル層が多いのは事実です。

・また、大切なのは、自己の正しさを不断に疑い、他者の多様性を認める姿勢です。異なる見解の人に対してバッシングをするのではなく、話し合いによる合意形成を重んじ、現実的な解決を目指す態度こそ重要でしょう。これこそが「リベラル」の本質でしょう。

リベラルの対義語は「保守」といわれてきましたが、そうではなくて「パターナル(paternal= 権威主義、或いは父権主義)」でしょう。
パターナルでは、権威が絶対的な力とみなされます。そして、主従関係が肯定され、目上の者が目下の者に介入し、支配することが肯定されます。
 また、パターナルにおける権威は往々にして世襲制あるいは指名制で、本人の能力に関係なく受け継がれているケースも多く、個人の自由を認めるリベラルとパターナルは大きくかけ離れた概念です。
更に、レイシズム(racism=人種差別主義)や、ファシズム(fascism=結束主義)もリベラルの対義語になるでしょう。


◆一方、「保守」については、
・一般的には“従来からの伝統・習慣・制度・社会組織・考え方などを尊重し、革命などの急激な改革に反対する社会的・政治的な立場、傾向、思想”などとされ、通常、対義語はリベラル、進歩、革新なとされていますが、上で見たようにリベラルは正確な意味では対義語でないでしょう。

・また日本におけるややこしさは、現在の憲法や民主主義への評価の違いがあるため、保守が改憲派で、リベラルが護憲派ということでしょう。

・更に「保守」が全て悪いのではなく、国の理念などどうしても護らねばならないものもあるわけで、必要な保守もあることを認めざるを得ません。
私的に言えば、日本国憲法もそうでしょうし、「恥の文化」とか「自然との共生」「義」「誠」と言うような日本に伝わる精神の中にも、護るべきものが多いと思います。

・何れにせよ、一般的には保守は国の秩序や愛国心、自己責任を重視するのに対し、リベラルは個人の権利や多様な価値観を尊重し、共助、共生などの助け合いを大事にするという傾向もあります。


◆次に「改革」と言う言葉についてです。
・理想の社会に近づけるためには、「改革」ということは絶対に必要ですが、「改革」と言う名が付けば全てが前向きでリベラルなものではなく、復古や自分達の利益誘導の為に「改革」という誤解を与えやすい言葉が使われる場合が多い事も留意する必要があるでしょう。
「改革案」なるものが何を目的としたものかをしっかりと吟味した上でなければその改革案には同意すべきでないでしょう。


 これらの理解を共通の基盤だとすれば、世代の違いに関わらず、多くの人の意見の差異が整理できて、共通の目標も見いだせるのではないでしょうか。(まさ)

<続く>

 


段々と春の気配が・・・

2021年01月27日 19時21分37秒 | 散歩中に見かけた風景

(少し硬いテーマが続いていますので、気分転換もあり中休みです。)

 少し雨が続き外出機会がなかったのですが、今日は買い物前に少し足を延ばして、河川敷のワンドの近くや城北公園にも立ち寄りましたので、見かけた風景をお届けします。(まさ)


淀川堤防のツクシ(スギナ科)は沢山出ていました

ホトケノザ(シソ科)も、もう群生です

同上

同上 まるで着飾った3人姉妹です

同上

紅梅

白梅

ワンドで見た鳥。 バンの幼鳥のようです

同上

同上

ワンドのヒドリガモ

城北公園の見かけたカワセミ。 慌てて撮ったので少しボケています

同上