「カウントダウン・メルトダウン」(船橋洋一著、上/下巻、文藝春秋)よりの引用を主にして、福島原発事故に関わる原子力ムラや政府の対応などについて5回にわたって触れさせていただきました。
原発推進に否定的な立場の私としては、原発関係のニュースには非常に敏感ですが、ここ1週間程の間にも色々な原発関連のニュースが報じられていましたので、少し長くなりますが纏めてご紹介します。(毎日新聞ほか地方紙などを参照しました)
◆鹿児島県知事が川内原発の一時停止を申し入れ
先般の知事選で当選した三反園知事が、8月26日に九州電力に対して川内原発の一時停止を申し入れされたようです。
この要請の背景は、“熊本地震を受け、県民から原発の安全性に不安の声が多く、一旦止めて再点検・再検証をしてほしい”とのことで、併せて施設・設備の安全性、周辺の活断層の調査、自治体の避難計画への支援体制強化、更に万一の場合の情報公開などを求められたようです。
九電側は検討を約束したものの、停止要請には応じない方針のようですが、1/2号機は、それぞは10月初旬/12月中旬から定期検査に入る予定で、その後の運転再開が大きな焦点になりそうです。
◆原発基準地震動に対して地震調査委員会が異議
7月29日のこのブログでも、関電の大飯原発の安全性に関して、
“原子力規制委員会の前委員長代理の島崎氏が、同原発での想定される地震の揺れ(基準地震動というようです)について、「計算結果が過小評価されている」と指摘したが、原子力規制委員会の事務局が再計算の結果「過小評価ではない」として7月13日に了解された”旨をお伝えしました。
これに対して、政府の地震調査委員会は“基準地震動に関しては、従来の計算方式では「地震の規模や揺れを小さく見積もる恐れがある」として2009年に新方式を採用したが、原子力規制委員会や電力会社は依然として旧方式を採用している”として、疑問を突き付けたようです。
そもそも、国民の立場に立って原発の安全基準を審査すべき、原子力規制委員には地震動研究の専門家がいないようで、専門家の厳しい意見をもっと素直に受け入れるべきでないでしょうか。
◆高浜原発で避難訓練
以前にもお知らせしたように、関電の高浜3・4号機は大津地裁の仮処分決定で運転を停止していますが、昨年12月に政府が了承した広域避難計画の実効性を検証するために、国と福井・京都・滋賀の三府県などは8月27日に広域防災訓練を実施しました。(また翌28日には、関電大飯原発での過酷事故を想定した福井県の原子力防災総合訓練を行われたようです)
若狭湾沖で震度6弱以上の地震が発生し、同原発から放射性物質が外部に放出されたとの想定で、原発30km圏内にある12市町の住民ら約9,000人が参加する大規模な訓練で、屋内退避や、自家用車・バスや福祉車両、自衛隊車両などを使った避難、更に熊本地震を教訓に崖崩れで県道が通行できなくなったと想定した復旧訓練もしました。
また、県外避難も想定し、230人が高速道路を使って兵庫県宝塚市や三田市へ移動しましたが、舞鶴若狭自動車道を使い、県などが手配したバスや公用車などで最大130kmを移動し、途中の京都府綾部市では車に放射性物質が付着していないかを調べるスクリーニング検査も実施した。
大きな混乱やトラブルはなく、福井県知事は「訓練として意味があった」と述べたようですが、マスコミ報道では、色々な問題点も指摘されておりました。
・悪天候のため、船による避難は全て中止すると共に、ヘリコプターによる避難の一部も見合わせ、バスに切り替えた。
・各自治体が、この訓練を何とか成功させたいとの意向で、色々な準備対策が取られていたようで、一時避難場所には訓練開始前から並んでいた住民がいたとか、小浜市では国の住民避難に関する指示事項にない「避難準備指示」を発令したとかいうような記事もありました。
・万一の事故時には、マイカーでの避難が基本となるが、参加者の多くが用意されたバスに乗り、マイカーでの参加は約30台にとどまり、事故時に大勢の住民が自家用車で避難した場合の渋滞の検証にはならなかった。
実際に地震や津波などにより、突然に原発の過酷事故が起こるとすれば、天候などの保証はないし、道路状況などは最悪の状況になるでしょうし、原発以外にも色々な災害が併発する恐れもあり、このような事前に周知された訓練通りになるとは全く考えられません。
一般的には“万一に備えて訓練する”というのはベターな策だと思われるでしょうが、上記の様な訓練の裏側を知ると、この訓練の効果は文字どおりには評価できません。
以上、3件の原発に関係したニュースですが、国民が安心・納得できるような情報は全くなく、如何に規制基準を厳密にしたといいながらも、完全に安全性が確保されたのではなく、立地県の首長が一時停止を要請したり、或いは万一に備えて避難訓練もせざるを得ないような原発の存続そのものを見直す時期のように思えます。
まさに、高浜原発の避難訓練時に原発反対派の人が掲げていたプラカードの“防災とは訓練をすることではなく、原発をなくすことだ”という言葉が、非常に浸みてきました。(まさ)
原発推進に否定的な立場の私としては、原発関係のニュースには非常に敏感ですが、ここ1週間程の間にも色々な原発関連のニュースが報じられていましたので、少し長くなりますが纏めてご紹介します。(毎日新聞ほか地方紙などを参照しました)
◆鹿児島県知事が川内原発の一時停止を申し入れ
先般の知事選で当選した三反園知事が、8月26日に九州電力に対して川内原発の一時停止を申し入れされたようです。
この要請の背景は、“熊本地震を受け、県民から原発の安全性に不安の声が多く、一旦止めて再点検・再検証をしてほしい”とのことで、併せて施設・設備の安全性、周辺の活断層の調査、自治体の避難計画への支援体制強化、更に万一の場合の情報公開などを求められたようです。
九電側は検討を約束したものの、停止要請には応じない方針のようですが、1/2号機は、それぞは10月初旬/12月中旬から定期検査に入る予定で、その後の運転再開が大きな焦点になりそうです。
◆原発基準地震動に対して地震調査委員会が異議
7月29日のこのブログでも、関電の大飯原発の安全性に関して、
“原子力規制委員会の前委員長代理の島崎氏が、同原発での想定される地震の揺れ(基準地震動というようです)について、「計算結果が過小評価されている」と指摘したが、原子力規制委員会の事務局が再計算の結果「過小評価ではない」として7月13日に了解された”旨をお伝えしました。
これに対して、政府の地震調査委員会は“基準地震動に関しては、従来の計算方式では「地震の規模や揺れを小さく見積もる恐れがある」として2009年に新方式を採用したが、原子力規制委員会や電力会社は依然として旧方式を採用している”として、疑問を突き付けたようです。
そもそも、国民の立場に立って原発の安全基準を審査すべき、原子力規制委員には地震動研究の専門家がいないようで、専門家の厳しい意見をもっと素直に受け入れるべきでないでしょうか。
◆高浜原発で避難訓練
以前にもお知らせしたように、関電の高浜3・4号機は大津地裁の仮処分決定で運転を停止していますが、昨年12月に政府が了承した広域避難計画の実効性を検証するために、国と福井・京都・滋賀の三府県などは8月27日に広域防災訓練を実施しました。(また翌28日には、関電大飯原発での過酷事故を想定した福井県の原子力防災総合訓練を行われたようです)
若狭湾沖で震度6弱以上の地震が発生し、同原発から放射性物質が外部に放出されたとの想定で、原発30km圏内にある12市町の住民ら約9,000人が参加する大規模な訓練で、屋内退避や、自家用車・バスや福祉車両、自衛隊車両などを使った避難、更に熊本地震を教訓に崖崩れで県道が通行できなくなったと想定した復旧訓練もしました。
また、県外避難も想定し、230人が高速道路を使って兵庫県宝塚市や三田市へ移動しましたが、舞鶴若狭自動車道を使い、県などが手配したバスや公用車などで最大130kmを移動し、途中の京都府綾部市では車に放射性物質が付着していないかを調べるスクリーニング検査も実施した。
大きな混乱やトラブルはなく、福井県知事は「訓練として意味があった」と述べたようですが、マスコミ報道では、色々な問題点も指摘されておりました。
・悪天候のため、船による避難は全て中止すると共に、ヘリコプターによる避難の一部も見合わせ、バスに切り替えた。
・各自治体が、この訓練を何とか成功させたいとの意向で、色々な準備対策が取られていたようで、一時避難場所には訓練開始前から並んでいた住民がいたとか、小浜市では国の住民避難に関する指示事項にない「避難準備指示」を発令したとかいうような記事もありました。
・万一の事故時には、マイカーでの避難が基本となるが、参加者の多くが用意されたバスに乗り、マイカーでの参加は約30台にとどまり、事故時に大勢の住民が自家用車で避難した場合の渋滞の検証にはならなかった。
実際に地震や津波などにより、突然に原発の過酷事故が起こるとすれば、天候などの保証はないし、道路状況などは最悪の状況になるでしょうし、原発以外にも色々な災害が併発する恐れもあり、このような事前に周知された訓練通りになるとは全く考えられません。
一般的には“万一に備えて訓練する”というのはベターな策だと思われるでしょうが、上記の様な訓練の裏側を知ると、この訓練の効果は文字どおりには評価できません。
以上、3件の原発に関係したニュースですが、国民が安心・納得できるような情報は全くなく、如何に規制基準を厳密にしたといいながらも、完全に安全性が確保されたのではなく、立地県の首長が一時停止を要請したり、或いは万一に備えて避難訓練もせざるを得ないような原発の存続そのものを見直す時期のように思えます。
まさに、高浜原発の避難訓練時に原発反対派の人が掲げていたプラカードの“防災とは訓練をすることではなく、原発をなくすことだ”という言葉が、非常に浸みてきました。(まさ)