老いの途中で・・・

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原発廃炉の課題  その②  ~原発廃炉の流れ~

2019年11月21日 21時55分11秒 | 原発関係
 原発廃炉の一般的な作業工程や、それに伴って発生する放射性廃棄物などについて調べて見ますと、

(1)一般的な廃炉作業の流れ
第1段階:(解体準備)使用済み核燃料の搬出や汚染状況の調査など
第2段階:原子炉の周辺設備の解体
第3段階:原子炉などの解体。放射能レベルの高い中心部などは10年ほど掛けて減衰させる
第4段階:建屋の解体(放射性物質の飛散を防ぐために、最後の作業となる)
 ※ 大体30~50年程掛かると言われています
 ※ 東海原発は、現在第2段階の作業中ということです

(2)原発廃炉作業に伴う放射性廃棄物の区分と、処理方法
経済産業省の資源エネルギー庁の資料では下記の様に定められています。

<低レベル廃棄物=原発の廃炉などによって発生する放射性廃棄物>
レベルⅢ [L3]:コンクリート、配管など放射性物質濃度の極めて低い放射性廃棄物。(約84%)   
  浅地中トレンチ埋設=70m以上の安定した地下に直接埋設。管理期間:50年程度

レベルⅡ [L2]:圧力容器など比較的放射性物質濃度の低い放射性廃棄物。(約14%)
  浅地中ピット埋設=地下10m程度の浅地中にコンクリートピットなどの人工構築物を設置して埋設する。管理期間:300年

レベルⅠ [L1]:制御棒など比較的放射性物質濃度の高い放射性廃棄物。(約2%)
  中深度埋設=建造物の基礎や地下鉄、共同溝などの一般的な地下利用に対しても十分に余裕をもった深度に、コンクリートでトンネル型やサイロ型の建造物をつくり、廃棄物を埋設処分する。
  地下70m以上の人工構築物の中に埋設。管理期間:数百年間(詳細は未策定)

※ 東海原発で発生する放射性廃棄物の総量は、計2万6,900トンに上る見通しです。

※ 処分主体者は電気事業者で、電力大手でつくる電気事業連合会(電事連)が中心になって処分場を探す方針です。
また、処分場の規制基準が決まっても、処分先の選定には地元自治体の了解が必要で、処分場の建設には規制委の審査も通過しなければなりません。


<高レベル廃棄物>
 使用済み核燃料の再処理における溶解に使った硝酸を主とする廃液及びその固化体物については、電気事業者ではなくNUMO(原子力発電環境整備機構)が処分することになっています。
 地下300mより深い地下に埋設する処分方法(地層処分)とされていますが、細かい基準は未策定です。

 原発の最も大きな課題である使用済み核燃料には超寿命核種である超ウラン核種や大量の核分裂生成物などが含まれており、その危険性と処理の困難さのため、その処理・処分が世界的な問題となっています。

 しかし、日本では使用済み核燃料は再処理をして再利用するという建前になっているので、直接廃棄を考慮しないという極めて不思議な理論を立てていてその直接処分問題は排除されています。
 但し、肝心の再利用方式がまだ確立していませんし、世界的にもリサイクルの困難さが認識され、地中への埋設検討が進んでいます。

 別な見方をすれば、日本では使用済み核燃料の処分方法やコストを敢えて無視して、再利用できるとの余りにも甘い期待の下に原発事業に突き進んできたともいえるでしょう。(まさ)