老いの途中で・・・

人生という“旅”は自分でゴールを設定できない旅。
“老い”を身近に感じつつ、近況や色々な思いを記します。

ややこしい日本語 その(63) 連綿語(或いは連綿詞)

2024年06月23日 19時31分55秒 | 面白い言葉や語源など
 先日の「滂沱(ぼうだ)」についてですが、初めて聞いた言葉なのでこの言葉の語源や由来が判ればと思って調べている時に、「滂沱」は中国語の“「連綿語(れんめんご)」或いは「連綿詞(れんめんし)」に属する言葉”という説明があり、語源や由来に関しては何ら判りませんでした。

 中国語については全く知識がなくて意味が判りませんでしたが、更に「連綿語」(或いは「連綿詞」)について調べてみると、下記に様な説明があり、ぼんやりとながら意味が推測できるようになりました。

 先ず、<毎日のんびり日本語教師>に拠ると、【中国語における単純語のほとんどは単音節語(漢字一字に相当)ですが、中には複音節語もあります。この内、二音節からなる単純語を連綿語(联绵词 liánmiáncí)と呼びます】とありました。

 即ち、【単独では意味をなさず、2字が揃わないと意味をなさない】言葉を言うようで、元々ある言葉なので語源や由来はないようです。

 また、<WIKIPEDIA>では、上記の<毎日のんびり日本語教師>の説明に加えて、現代の日本語で用いられることのある連綿語として、下記のような多くの言葉が列記されていました。(まさ)

靉靆(あいたい):雲のたなびくさま。
曖昧(あいまい):疑わしいさま。
齷齪(あくせく):何かをするのに気をもみ急ぐさま。
軋轢(あつれき):まさつ。
慇懃(いんぎん):人に接する態度が丁寧で礼儀正しいさま。
饂飩(うどん):食べ物の名。
臙脂(えんじ):色の名。
鸚鵡(おうむ):鳥の名。
膃肭(おっとつ):膃肭臍(おっとせい)の一部として用いる。元来膃肭のみで動物をさす。
邂逅(かいこう):出会う。サ変動詞として用いる。偶然性や一回性を強く暗示。
開闢(かいびゃく):天地の始まり。
傀儡(かいらい):原義はあやつり人形。比喩的にだれかにあやつられている人、国などを指す。
矍鑠(かくしゃく):老人が壮健であるさま。
翡翠(かわせみ):鳥の名。
飢餓(きが):うえる。
欷歔(ききょ):すすり泣くさま。
拮抗(きっこう):互いに張り合うさま。
僥倖(ぎょうこう):思いがけない幸運。
狡猾(こうかつ):ずるいさま。
恍惚(こうこつ):我を忘れてぼんやりとするさま。
荒唐(こうとう):話が際限なく大きいさま。「荒唐無稽」=でたらめなさま。
滑稽(こっけい):本来は巧みな表現で人を言いくるめるさまを表す。日本では話がおどけていて、おもしろおかしいさま。
琥珀(こはく):化石の名。
炬燵(こたつ):暖房具の名。
顳顬(こめかみ):もみあげの上部。
混沌(こんとん):上下左右、全体と部分など、概念的な区別がなくとらえどころがないさま。現代の日本語ではやや転じて「無秩序」や「混乱した状態」を指す。
嵯峨(さが):山が高く険しいさま。
珊瑚(サンゴ):生物の名。
蹉跌(さてつ):失敗すること。
惨憺(さんたん):いたましく見るに忍びないさま。
忸怩(じくじ):きまりが悪くて恥ずかしいさま。
桎梏(しっこく):束縛となるもの。
嫉妬(しっと):ねたみそねむこと。
鞦韆(しゅうせん):ブランコのこと。
蹂躙(じゅうりん):ふみにじること。
逡巡(しゅんじゅん):あとずさりするさま。同じ場所でうろうろする。
憔悴(しょうすい):疲れ切った顔つきのさま。
逍遥(しょうよう):めぐり歩く、散策する。サ変動詞「逍遥する」として用いる。
鶺鴒(セキレイ):鳥の名。
齟齬(そご):くいちがうさま。「連絡の齟齬」のような名詞の用法しかなく、動詞また形容動詞としては用いられない。
咀嚼(そしゃく):食物を噛み砕くこと。
魑魅(ちみ):「魑魅魍魎」の一部として使われる。得体のしれない化け物、妖怪。
躊躇(ちゅうちょ):何かを行うのをためらうさま。サ変動詞として用いられる。
丁寧,叮嚀(ていねい):人への応対を軽んじないさま、作業がぬかりのないさま。
觝触(ていしょく):法に触れること。
唐突(とうとつ):突然なさま。
蟷螂(とうろう):カマキリ。
髑髏(どくろ):頭の骨。
徘徊(はいかい):あちこちを歩き回るさま。サ変動詞として用いられる。
跋扈(ばっこ):横暴にふるまうさま。
醗酵(はっこう):糖の分解によりエネルギーを得る過程。
溌剌,溌溂(はつらつ):原義は(地上におかれた魚が)はねるさまだが、現代の日本語では元気のあるさまの意味で用いる。
贔屓(ひいき):原義では力を用いるさま、勇敢なさまを表す。日本語では力添えする、という意味に用いられる。
翡翠(ひすい):宝石の名。
篳篥(ひちりき):笛の一種。「篥」が「りき」という不規則な読みは、すでに平安時代からある。
誹謗(ひぼう):他を悪く言うこと。
葡萄(ブドウ):植物の名。借用語に由来。
辟易(へきえき):たじろぐ。
霹靂(へきれき):激しく鳴り響く雷。物事が突然起こることのたとえ。
鳳凰(ほうおう):想像上の鳥。
咆哮(ほうこう):大声で叫ぶさま。人がすごむさま。
彷徨(ほうこう):あてもなくさまよい歩くこと。
彷彿、髣髴(ほうふつ):原義はぼんやりと見えるさま。現代の日本語では「(~を)彷彿/髣髴とさせる」の形で用い、「何となく~を思わせる」「~を連想する」意味で用いる。
滂沱(ぼうだ):泣くさま。
匍匐(ほふく):はう。
酩酊(めいてい):非常に酔っているさま。ものの様子を表すという意味上の理由から、連綿語の多くは古語においてはタリ活用の形容動詞であるが、現代の日本語での「酩酊」は、様子を表しているが例外的にサ変動詞として「酩酊する」の形で用いられる。
瑪瑙(めのう):宝石の名。
魍魎(もうりょう):「魑魅魍魎」(ちみもうりょう)の一部として用いられる。得体のしれない化け物、妖怪。
朦朧(もうろう):ぼんやりとしているさま。現代の日本語では意識についていうことが多い。
模糊(もこ):「曖昧模糊」とも。あいまいなさま、どろどろしたさま。
揶揄(やゆ):からかう。
猶予(ゆうよ):原義は「短時間」だが、現代の日本語では何かが行われるのを留保された(短い)時間を言う。
駱駝(らくだ):動物の名。
磊落(らいらく):気が大きくて、小さなことにこだわらないさま。
爛漫(らんまん):花が咲き乱れるさま。光り輝くさま。
林檎(リンゴ):植物の名。りむごむ>りうごう>りんご となったもの
瑠璃(るり):宝石の名。
怜悧(れいり):賢いさま。
狼狽(ろうばい):窮地に追い込まれ切羽つまる。進退きわまるさま。
轆轤(ろくろ):器具の名。





ややこしい日本語 その(62) 「滂沱(ボウダ)」 

2024年06月21日 19時31分54秒 | 面白い言葉や語源など
(いよいよ大阪でも梅雨入り。暫くは鬱陶しい天気に付き合いましょう。)
 
  昨日PC作業をしながらTVを掛けていると、確かニュース番組だったと思うのですが、その昔原子爆弾開発を主導したオッペンハイマーが、日本の被爆者と面談したことがあるとのニュースの中で、その会談の通訳をしたとかいう人がその時の様子を話していたのですが、その中で「オッペンハイマーが被爆者を前に<涙をボウダした>」と言われているのを耳にしました。

 その時は、涙をボロボロ流したということを言い間違えたのかなぁという軽い気持ちで聞いていたのですが、どうも“ボウダ”という言葉が気になり、調べてみました。

 全く知らなかったのですが、「滂沱(ボウダ)」という言葉がありました。

 <goo辞書>によると、「滂沱(ボウダ)」とは、
1 雨の降りしきるさま。
2 涙がとめどもなく流れ出るさま。
3 汗・水などが激しく流れ落ちるさま。

 という説明があり、日常生活で「滂沱の涙を流す」という言い回し以外の表現はあまり見受けられません。
尚、「滂沱の涙」については、「滂沱」という言葉自体に「涙を流す」という意味があるので、「滂沱の涙」は重語になり誤用だという説もあるようですが、完全な誤用とは言えないようです。

 また、この「滂沱」については、尾崎紅葉の「金色夜叉」では「はらはら」と読ませているようですし、汗が流れ落ちる様を表す「流汗滂沱」という、熟語もあるようです。

  尚、今日は歯医者の治療を受け、余り固いものは控えるようにとのことだったので、何を食べよかと天満市場に寄ってみると美味しそうなタイの刺身が格安で買えましたので、近くのウナギ専門店で鰻巻きを張り込み、久しぶりに和食コースの豪華な夕食になりました。(まさ)


今日の夕食

鰻巻き

タイの刺身



ややこしい日本語 その(61) 「はばかる(憚る)」 

2024年06月14日 21時51分53秒 | 面白い言葉や語源など

 昨日書き込んだ「たばかる(謀る)」に発音がよく似た言葉に「はばかる(憚る)」があります。

Goo辞書に拠ると
(1) 差し障りをおぼえてためらう。気がねする。遠慮する。
(2) 幅をきかす。増長する。いばる。
(3) いっぱいに広がる。はびこる。

とあり、通常では(1)の意味での使い方が多く、「人目を憚る」(他人に見られるのを恐れる。世間に知られないように心を配る)というような言葉もかなり使われているように思います

 また、「憚り乍ら」というお馴染みの言葉もありますが、これも
1)遠慮すべきことかもしれないが。恐れながら。
2)不肖ながら。
と、上記の(1)の意味の言葉です。


(2)と(3)については、(1)とは全く異なったというか、ある意味では真逆の意味の言葉ですが、いろはカルタに「憎まれっ子世にはばかる」というのがあります。

 どうやら何時ごろからか「はびこる(蔓延る)」と「はばかる」が混同されるようになっていたようですが、まだ詳しく調べきっていません。

 また、名詞形の「憚り」については、
1 はばかること。遠慮すべきこと。
2 差し支えること。差し障り。
3 《人目をはばかる所の意から》便所
とあり、「憚る」の(1)というニュアンスの言葉だけで、(2)(3)に関する説明は見当たりません。
更に、祖母などがトイレのことを「はばかり」と言っていたのを思い出しました。

 尚、昔人間には馴染みがないですが、兵庫県出身の人気シンガーソングライターのあいみょんに、『憎まれっ子世に憚る』というアルバムがあるようです。


先日のシチリア旅行では、チーズやハム類は沢山食べましたが、肉そのものという食事はなく、久しぶりに肉が食べたくなり、今日は、久しぶりにステーキとしました。(まさ)


今日の夕食 ステーキ/野菜炒め/刺身コンニャク/冷奴

野菜炒め ジャガイモ/エリンギ/大葉

刺身コンニャク

ステーキ(勿論ながら、豪州産の肩ロースです)


ややこしい日本語 その(60)  「はかる」

2024年06月13日 19時47分05秒 | 面白い言葉や語源など

 日本語は、同じ発音でも漢字表現すると全く違った言葉となり、非常に難しい言葉ですが、その中の一つに「はかる」があります。

 即ち、「計る」・「量る」・「測る」・「図る」・「諮る」・「謀る」、全て「はかる」なのです。

 この中でも特にややこしいのが「謀る」で、これは「はかる」だけでなく「たばかる」とも読みます。

<goo辞書>で「謀る」の説明としては、
1 計略をめぐらしてだます。たぶらかす。
2 計画・方法などを思いめぐらす。工夫する。
3 相談する。

 とありますが、「たばかる」の「た」は接頭語で、元々は「はかる(謀る)」と同じ意味の言葉で、「たばかる」も「はかる」も、平安初期から使われていた言葉と考えられています。

 また、現在では、悪いニュアンスで用いられることが多い「たばかる(謀る)」、「はかる(謀る)」は、元々は悪いことに限らずに使われていたようです。

 現在では、何かネガティブな感じの言葉になっていますが、同じ「謀る」という字を使っても、「はかる」と「たばかる」では少しニュアンスが違うように思えます。


<Hi Native>に面白い説明がありましたので、紹介しておきます。
・「はかる」と「たばかる」、辞書的に言えばどちらも大差ありません。
・「たばかる」と読む場合には、基本的に人を対象とします。
・一方で、「はかる」と読む場合には人だけでなく、事物も対象としますね。特に悪事や謀叛など行動計画を対象とする事が多いです。

なるほどです。(まさ)


ややこしい日本語 その(59) 「やつす」と「やつれる」

2024年05月19日 19時15分22秒 | 面白い言葉や語源など

 先日ジムで風呂から上がり、少なくなった髪を整えたり手足にスキンクリームを塗っていると、風呂仲間が「えらいやつしてるなぁ、どっか飲みに行くんか?」と声を掛けてきました。

 「やつす」という言葉は余り使わないのですが、大阪では<化粧する>というような意味で使う言葉なので、「ちゃうやん! 歳とったら体のあちこちが痒くなるので、乾燥せんようにクリーム塗り込んでるんや!」と答えたものの、「やつす」という言葉が妙に引っ掛かり、帰宅後調べてみました。

<goo辞書>に拠れば、漢字では俏す/窶すと非常に難しい字ですが、
1 目立たないように姿を変える。また、みすぼらしい姿にする。
2 やせるほど思い込む。顔形が変わるほど、一つのことに夢中になる。
とあり、<化粧する>というような意味は記載されていませんでしたので、更に調べてみると、

<WIKIPEDIA>や<ジャパン・ナレッジ>に下記のような記載がありました。
 原義は、<見すぼらしい様にする、姿を変える>であったが、江戸時代中期から京都や大阪などの上方を中心にやつしの意味が多義化し、次のような場面で用いられるようになった。
・略す
・行儀をくずす
・常と違える
・姿をみすぼらしく変える
・擬装する
・化粧したり、身なりを飾る

そして、この連用名詞形が「やつし」となっているとのことだとありました。


 ここで気になったのが現在で良く使われる「やつれる」という言葉との関係です。
<goo辞書>に拠れば、漢字では「窶れる」と「やつす」とおなじ漢字を使い、意味としては<病気・心労などで、やせ衰える。>とありあました。

 こうなれば、「やつす」と「やつれる」は同じ意味かと思いましたが、少しニュアンスが違うようなので更に調べてみると、<https://hohoemashi.com/>に下記のような記述があり納得できました。

・「やつす」「やつる」の「やつ」は、現代語でいう「やつれる」の「やつ」と同根であり、「目立たない姿になる」「みすぼらしくなる」という意味においては、現代語「やつれる」に通じる意味を持ちます。

・ただ、古語「やつる」を「やせ細る」という意味で用いることはまずありませんので、そこは現代語「やつれる」とは異なるところです。
根本的には「太いものが細くなる」とか「大きいものが小さくなる」という意味ではありません。「目立つものが目立たなくなる」とか「派手なものが地味になる」ということです。

 因みに、「痩せる」とは全く関係がないようです。日本語は本当に難しいです。(まさ)