どうも私の地頭(じあたま)が悪い所為か、一度読んだだけでは書いてあることを理解できていないことが多い。
近現代史においては、木戸幸一の『木戸日記』と原田熊雄の『西園寺公と政局』は必須の史料である。しかし、原田の本は、内容は解りやすいのだが、年月日が明確でないために、ただの報告や噂として見過ごしてしまうことがある。
原田の日記は別冊も含めてほとんど揃えてあるのだが、実は五巻だけ買ってなかった。
アマゾンにも、「日本の古本屋」でも品薄で値段が高かった為である。たぶん二・二六事件の頃を扱っていたので人気があっただろう。
春ごろに「日本の古本屋」で500円の本を見つけて、やっと買い求めて読んでいるのだが、色々違った見方ができて面白かった。
残念なことに、原田は木戸からの事件勃発の報告を受けて、身の危険を考えて、2月26日以降3月2日までジッと身を潜めていたようである。従って、この本の二・二六事件の現場情報は殆どが木戸から得たモノであった。
昭和天皇は最初から「暴徒」と決めつけていた。多少は反論した本庄繁侍従武官の意見も全く取り合わなかったそうである。最初から、この二・二六事件は「単に暴徒の叛乱という国家の扱い」を運命づけられていたのかもしれない。(次回に続く)