東京里山農業日誌

東京郊外で仕事のかたわら稲作畑作などをしていましたが、2012年4月に故郷の山口県に拠点を移して同活動をしています。

古いSONY製トランジスタラジオ TR-610の修理(4/6)

2013年04月12日 | 古ラジオ修理工房

このSONY製トランジスタラジオ TR-610の修理履歴です。それぞれをクリックしてください。
  修理(1/6) 修理(2/6)  修理(3/6) 修理(4/6)
  修理(5/6) 修理(6/6)

 小雨が降って農作業できないため、休んでいた古いトランジスタラジオの修理を再開することにしました。まずは、まったく音が出ない原因を探しました。スピーカーに耳を当てて、雑音でもよいので音が出ていないか確認しました。しかし、全く音が出ていません。電源が何らかの原因で入っていないようです。次にボリュームのスイッチを入り切りします。スイッチの接触不良で電源が入らない故障が少なからずあるためです。しかし、何の反応もありません。そこで、イヤホン端子をチェックしました。たまにイヤホン端子の接触不良でスピーカーから音が出ない故障があるからです。

          ラジオのイヤホン端子を取り外す、コ型の紙は何のためでしょう?


 イヤホン端子の接触不良を確認するため、イヤホン端子を取り外しました。取り外していると、金属ワッシャーの間にコ型の紙がはさんでありました。何のためでしょうか?絶縁用にも見えないし、イヤホン端子が容易に外れないためのバネワッシャーの代わりではないかとも思いますが私には分かりません。当時、バネワッシャーは無かったのでしょうか。イヤホン端子にこのような紙部品を挟んでいる例を見たことがありません。
 イヤホン端子の接触を確認するため、実際にイヤホンを差し入れしてみました。見かけ上はまったく正常に見えます。念のため、接触箇所を尖ったドライバーで擦って磨いてみました。すると、蚊の鳴くような小さな音がスピーカーから出るようになりました。音が出ない原因は、音声電流をイヤホンからスピーカーに切り替えて流すための接点不良でした。接点に積年のゴミが詰まったためだと思われます。

    イヤホンを挿入すると接点が開く           閉じた時に接触不良
 

 少し音が出るようになったため、電子回路が正常かどうかのチェックをすることにしました。私は、電子回路を大きく三つのブロックに分けてチェックします。1つ目は周波数変換部、二つ目は中間周波数部、3つ目は低周波増幅部です。
 最初にSGで1000HzでAM変調した電波を出しました。そして、自家製のシグナルトレーサーで各部を調査しました。すると、どの場所でも音が出ませんでした。初段の周波数変換部が故障しているようです。続いて455KHzの電波を出して、中間周波数部の先頭に注入してみました。すると、検波後にきれいな変調音を確認できました。中間周波数部は正常のようです。次に低周波増幅部に音を入れてみましたが、スピーカの音は小さいままです。低周波増幅部も故障しているようです。結合コンデンサやバイパスコンデンサに使われている電解コンデンサの容量抜けが一番に考えられます。

              シグナルトレーサーで電子回路の各部をチェック


 次に、故障していると思われる周波数変換部の周りを細かく目視チェックしました。すると、ロウで固定してあるはずのアンテナコイル末端四本の線がもつれてショートしているように見えました。そこで、ろうの部分に熱を加えてアンテナコイルの末端が重ならないようにほどきました。そして、再びシグナルトレーサーで確認すると、今度はきれいな1000Hz正弦波の変調音が出ました。やはりアンテナコイルのショートだったようです。 念のためオシロスコープで中間周波を確認すると、中間周波455KHzが1000Hzできれいに変調されている波形が出ました。

    アンテナコイル末端部分を加熱          きれいな波形の中間周波
 

 あとは低周波増幅部の故障を直せば良いことになりますが、その前に受信周波数範囲を正確に測定してみました。すると、1,650KHz~480KHzでした。規格の1,605KHz~535KHzから少しずれています。特に低い方がよりずれていました。今のところ、その原因は不明です。
 次に、低周波増幅部の修理をしようと思います。

    高い受信周波数1,650KHz              低い受信周波数480KHz
 

コメント
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