東京里山農業日誌

東京郊外で仕事のかたわら稲作畑作などをしていましたが、2012年4月に故郷の山口県に拠点を移して同活動をしています。

古いSONY製トランジスタラジオ TR-610の修理(5/6)

2013年04月18日 | 古ラジオ修理工房



このSONY製トランジスタラジオ TR-610の修理履歴です。それぞれをクリックしてください。
  修理(1/6) 修理(2/6)  修理(3/6) 修理(4/6)
  修理(5/6) 修理(6/6)

 蚊が鳴くような小さな音のトランジスタラジオTR-610、この音を今回直すことにしました。まず最初に、中間周波段最後の検波後の音声が正常かどうかを確認しました。そのため、自作したシグナルトレーサーの入力を低周波入力に切り替えました。そして、検波ダイオード後段に端子を当てて復調された音をチェックしました。すると、ラジオ放送がちゃんと聞き取れました。

  トレーサーの入力を低周波に切替え       検波ダイオード後段をチェック中
 

 次に低周波増幅段の故障個所を探すことにしました。低周波増幅段の故障で一番多いのは、電界コンデンサの容量抜けです。そこで、このラジオの電界コンデンサがどこにあるか探しました。すると、一番大きな電解コンデンサがありました。しかも、4端子コンデンサです。この4端子コンデンサ、1年半ほど前に直したSONY製トランジスタラジオ TR-714の故障原因でした。このコンデンサに内包されている3つのコンデンサの中で、バイパスコンデンサの容量が不足していると音量不足の原因になります。次に結合コンデンサを探しましたが、なかなか見つかりません。

      3つのコンデンサを内包する電界コンデンサ、これが故障していると厄介


 運よくこのラジオTR-610の回路図が、私の持っている本「トランジスタ活用辞典 昭和38年 第9版」に掲載されていました。その回路図を見ると、低周波増幅段には2つの電界コンデンサが使われていることが分かります。3つのコンデンサを内包しているコンデンサと検波後の信号を受け取る結合コンデンサです。

       左:結合コンデンサ,右下:3つのコンデンサを内包したコンデンサ


 結合コンデンサが何処にあるのか最初分かりませんでした。いろいろ探すと、ボリューム後ろに隠れるようにありました。この結合コンデンサに並列に正常なコンデンサを接続すると、小さかった音が大きくなりました。やはりこのコンデンサが故障していました。
 ところで、ラジオの回路図があると、とても助かります。ほとんどのラジオは回路図が無いので、回路を推定しなければならず悪戦苦闘することが多々あります。

  ボリュームの後ろに隠れたコンデンサ   上:故障のコンデンサ 下:交換用のもの
 

 さっそく故障したコンデンサを取り外して、正常なコンデンサと取り替えました。なお、故障したコンデンサの容量は10μFでしたが、全く同じものが無いため30μFのものと取り替えました。取り替えると、音が正常に大きく出るようになりました。うれしいのは、ボリュームにガリがほとんど無いことです。このラジオは製造後50年以上経っているにも関わらずガリがありません。ボリューム品質が良かったのでしょう。
 次回は、トラッキング調整をした後、ラジオの筐体などを磨いて修理を終えようと思います。

              交換後の電界コンデンサ、これで正常に音が出る

コメント
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