東京里山農業日誌

東京郊外で仕事のかたわら稲作畑作などをしていましたが、2012年4月に故郷の山口県に拠点を移して同活動をしています。

別所小学校5年生による稲刈りと脱穀

2008年10月28日 | 農業体験

 28日朝、別所小学校の5年生達が田んぼに稲刈りにやって来ました。6月に自分達が田植えした稲を今度は稲刈りしました。ほとんどの子供達は稲刈りが初体験です。しかも、お手伝いをお願いしたお母さん方も稲刈りは始めてのこと。
 田植えの時と同じように、子供達が稲刈りする前にお母さん方に稲刈りの方法を覚えてもらいました。私一人ではとても教えきれないため、お母さん方にも子供達に教えてもらいたかったからです。

     さあ稲刈りの開始、おぼつかない手でカマを使って稲を刈り取る


 田植えと違って稲刈りでは刃物であるカマを使います。絶対に事故があっては困ります。このため、最初にカマの使い方や人への渡し方、置き方を何度も教えました。そして、刈る時の姿勢や稲の刈り方も教えました。

      初めてカマを使う子供達         しっかり腰を落として稲刈り
 

 私が子供の頃、10歳(小学4年生)になるとほとんどの農作業を大人に混じってこなしました。田植え,稲刈り,カマ研ぎ,風呂たき,木材の切り出しなどです。農業機械もまだ少なく、牛を使って農作業する姿も珍しくありませんでした。

    二人並んで仲良く稲刈り        一人が稲を持ち、もう一人が刈る
 

 稲を刈り取ると、今度は刈り取った稲を束にしてワラで縛ります。このワラで縛ることが小学生にはやや難しいようです。稲が乾燥しても解けないように、きつく縛らなくてはなりません。

              子供達同士で教えあいながら稲を縛る


 稲は乾燥すると縮んで束に隙間ができてしまいます。きつく縛っていないと、その隙間から稲がするすると抜けるように脱落してしまいます。そして、稲束がバラバラになってしまいます。

             稲を縛っている子供達、うまく縛ることができたかな


 稲をいり取るカマは各組に4個しかありません。このため、稲刈りは常時4人しかできないことになります。稲を刈り取った子供自身が、その刈り取った稲を束ねて縛るととても時間がかかります。このため途中から稲刈りする子供と、稲を縛る子供のグループに分かれました。一種の分業です。これで稲刈りの進行がやや早くなりました。

     刈り取った稲を並べる          縛った稲束を積み重ねる
 

 刈り取った稲をワラで縛ると、その稲束を竹ざおに架けて干します。稲束をX字型にして穂が下になるように竹ざおに架けます。このときにちゃんと稲をワラで強く縛っていないと、稲がバラバラと抜けたり外れたりします。

             縛った稲束を竹ざおに架けて干す


 稲を干して乾燥させる事は、稲を収穫するために欠かせないとても大切な工程です。ちゃんと乾燥されていないと、脱穀がきれいにできなかったり、精米時に熱を持って固まってしまい精米機が故障することがあります。
 今では乾燥機があるため乾燥に時間をかけることが少なくなりました。しかし、竹ざおに稲を架けて天日で干す風景は、日本人には昔からなじみ深い光景です。いつまでも日本に残したい情景です。

        お母さん方に稲束をチェックしてもらって竹ざおに架ける


 1組は刈り取って束ねた稲束を一箇所に積みました。ある程度集まると、今度はみんなで竹ざおまで運んで架けて干しました。稲を刈り取る人,稲を束ねる人が分かれて作業しました。そして、みんなで協力して竹ざおまで運びました。

     稲束がだいぶ高く積まれました、そろそろ竹ざおに運ぶ時


 各組は稲刈りと脱穀の二つのグループに分かれました。一つは、稲を刈り取って束ねて干す係り。もう一つは、干された稲束を脱穀する係りです。脱穀する係りはブルーシートに置かれた二種類の脱穀機を動かして脱穀を体験しました。
 なお、今回脱穀した稲は先日ボーイスカウトが稲刈りして干したものを使いました。今日稲刈りして干した稲は、後日別のグループが引き継いで脱穀します。

            ブルーシートの周りでは二種類の脱穀を体験


 脱穀では二種類の脱穀作業を体験しましたが、一つ目は江戸時代に発明された千歯こぎを使った脱穀です。櫛のように等間隔に並んだ数十の鉄杭の間に、稲穂をひっかけて籾だけを取る方法です。

        千歯こぎの歯に稲穂をひっかけるように通して籾を落とす


 鉄櫛の隙間は、稲ワラは通しますが籾は通ることができない間隔になっています。一度に稲を通すととても力が要るため、少しずつ稲を通して籾だけを落とします。稲を通す人、千歯こぎを押さえる人が協力して作業しなければうまく脱穀できません。

            少しずつ稲を千歯こぎに通して脱穀します


 最初はお母さんに手伝ってもらいましたが、要領が子供達に分かると途中から子供達にバトンタッチしました。千歯こぎは微妙に力加減が必要です。この微妙な力かげんを子供達は楽しんでいたようです。

     声をかけ協力しながら脱穀      「気合だあ!」の声で脱穀(笑)
 

 この千歯こぎは日本独特の脱穀機でしょうか。外国ではあまり例を見たことがありません。東南アジアでは、稲刈りではなく穂刈りが多いからなのでしょうか。古い時代の日本も稲を刈るのではなく穂を刈っていました。鉄製のカマができてから稲刈りに変わったようです。稲を刈り取ることができるようになってから、稲ワラを草履,籠,縄などに利用するようになったのではないかと思います。

              楽しそうに千歯こぎを使って脱穀


 大きなブルーシートを広げて、千歯こぎと足踏み式の脱穀機を置きました。脱穀する人はブルーシートを囲むように並び、脱穀機を押さえたり脱穀する籾を集めることはブルーシートの中に靴を脱いで入りました。

             脱穀体験する人はブルーシートの周りに順番に並ぶ


 もう一つの脱穀機は足踏み式の脱穀機です。この脱穀機はつい50年ほど前までに使われていました。私も子供の頃に見たことがあります。「ガーコン、ガーコン」と音をたてながら脱穀している光景は今でも思い出します。

            お母さんも初体験の足踏み脱穀機を体験


 この足踏み式脱穀機は、ペダルを足で往復するように強く踏み込んで脱穀ドラムを回転させて使います。最初、この往復の要領を覚えるのが大変のようでした。脱穀する稲をドラムに当てると回転が落ちるため、回転が落ちないようにさらに強く足で踏む込む必要があります。この足踏み作業と脱穀作業を同時にしなければならないのが、子供達には大変のようでした。

         足踏みしながら同時に回転ドラムに稲を当てて脱穀


 稲を取られないように強く握る        回転が落ちないように足踏み
 

 千歯こぎも足踏み脱穀機も一度に一人しか体験できません。このため、稲を手に持って並ばなければなりません。待つ間、みんな脱穀機の方を興味津々で見ていました。生まれて初めて見る不思議な機械はとても興味を引くのでしょう。

              脱穀機を見つめながら並んで順番を待つ


 脱穀されて稲から取れた籾はブルーシートの中に飛び散ります。すると、待機していた子供達がその籾を手ですくい取ってふるいの中に入れました。ふるいを持った子供がそのふるいをゆすって籾だけを選別しました。そして、選別された籾を米袋に入れました。これでお米の収穫ができました。

           脱穀して飛び散った籾を、手で集めてふるいに入れる


 去年は稲刈りや脱穀の他に縄ない機械も体験してもらいました。動力脱穀機も用意しました。しかし、今年は天候不順などで機械を用意できませんでした。しかし、去年のものより新調した足踏み脱穀機は今の農業機械であるコンバインにも内臓されている基本的な機械です。それを体験できたことは良かったと思っています。

     5年1組の生徒、少し疲れて学校に帰って、給食は美味しかったかな


      5年2組の生徒、いつも食べているお米、少しは見方が変わったかな

コメント
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