原作は井上靖の私小説ですから、ある程度は本当の話なんでしょうねぇ。
主人公伊上の母が、壊れ始めてから14年にわたるお話なんですけど、伊上と母・伊上と娘といった関係が細かく描かれていてしっかりとした作品です。それよりもなによりも、演じるメンバーの凄さっていったら・・・役所さんはもちろんですけど、樹木さんの凄さっていったらもう・・・だんだんと変化していく老婆をちゃんと演じていて14年の年月の経過がしっかり解るし、呆けていながらも子供を思う気持ちを表現してる・・・こんな演技を樹木さんにされたら、どんな役者も敵わないんじゃないかと思いますよ。宮崎あおいも相変わらずの天才ぶりを発揮していますけど、今の段階ではまだまだ樹木さんには敵いません・・・。他の方々・・・南果歩、ミムラ、キムラ緑子さんたちも素晴しい演技でしたし、よくこのメンバーの中で菊池亜希子も頑張っていたと思いますし、真野ちゃんにいたっては今までのイメージとは違っていて最後までわからなかったですけどね・・・。
ちゃんとした原作、しっかりとした役者、奇をてらわない演出があれば立派な作品が出来るという好例です。最近の邦画の中でも良質な作品でした。