最後に、二輪の一発試験について書いてみます。
(内容に関してはMTの試験前提なので、ATで受験される方には当てはまらないものが一部あります。)
当然ですが、合格するには、
・バイクをきちんと操れること
・法規走行がきちんとできること
これが一番に求められます。というか試験はこれでしか合否判定は出来ません。
技能試験は持ち点100点から始まる減点方式です。
70点以上で合格です。
ネットで検索すると、70点以下で不合格とか30点以上の減点で不合格、など「
以上」とか「
未満」の使い分けができていない誤った説明の記事が多々ありますのでご注意を。
以下は警視庁の運転免許技能試験実施基準についての通達から抜粋しました。
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第10 合格基準
試験の成績は100点満点とし、免許の種類ごとに次に掲げる得点のものを合格とする。
1 第二種運転免許は80点以上
2 第一種運転免許、準中型仮免許及び普通仮免許は70点以上
3 大型仮免許及び中型仮免許は60点以上
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とあるように、最低70点あれば合格です。「以上」なので70点も含まれます。
ただし、
次に掲げる事項に該当したときは、試験を中止するものとする。
1 危険行為等
採点基準に定める次の事項に該当したとき
(1) 場内試験
逆行(大)、発進不能、指定速度到達不能、急停止区間超過、暴走、転倒、通過不能、脱輪(大)、接触(大)、右側通行、安全地帯等進入、後車妨害、
信号無視、進行妨害、横断等禁止、指定場所不停止、安全間隔不保持、踏切不停止等、追越し違反、割込み、安全運転義務違反
の危険行為をしたと判断されてしまえば間違いなく不合格です。
採点基準によると、上記の
危険行為に該当する項目、
20点、
10点、
5点減点の項目があります。
さらに詳しく言うと、
特別減点細目(1回目は減点を保留するが、2回以上該当した場合は、さかのぼって1回目からそのすべてを減点する。)というのもあります。
やりがちな例えを挙げれば
エンストが該当します。
仮に2回のエンストをしてしまったら、1回目のエンストも減点対象にされてしまうので、エンストについて計10点減点されます。
3回のエンストなら15点減点されます。
1回だけのエンストなら減点は保留されるという仕組みです。
冒頭で長くなりましたが、試験を受けるうえでは合格(採点)基準は重要なので、書かせていただきました。
減点項目をすべて羅列したいところですが、したら大変長い記事になるので、そこはご自身でお調べください。
まず、受験に関してですが、
バイクに一度も乗ったことが無い方にはお勧めできません。
私も自動車学校の試乗体験でちょっと乗っただけで普通二輪の一発試験を受けましたが、まぁ話にならないレベルでした(笑)
アクセルを開けすぎて暴走して事故することもあるかもしれないので、初めての方は危険です。
私の経験からして、普通自動二輪もしくは小型二輪の免許を既に持っていて、普段も乗っている方が、大型二輪の一発試験を受ける
というのであれば、比較的合格はしやすいと思います。
要は、バイクに乗り慣れているかどうかが試験の走行に関わってきます。
もし二輪に乗ったことが無い方が一発試験を受けるのであれば、
事前練習は絶対必要です。
望ましいのは、広~い舗装された庭があって、試験車に近いバイクをいつでも乗り回せる という環境ですが、そんなのはほとんどないです…
あとは自動車学校の自由練習ですね。
(これも自動車学校によってはできない所があります。というかできない所がほとんどでしょう)
バイクにも乗ったことが無い、事前練習もできないという方は相当な回数の受験が必要になるでしょう。
ここまで結構長くなりました。
ここからは、バイクにも少しは慣れた、練習もある程度できる という方向けの話になります。
試験で難易度が高く感じるのは、やはり低速走行です。
一本橋、(波状路)、クランク、S字などは低速走行の技術が要されます。
コースによっては右左折の際に低速で曲がる必要があります。
コツとしては、
ニーグリップをしっかりし、
リアブレーキでの速度調整をしながら、常に
半クラで動力を後輪に伝え続けることです。
半クラで進みながらリアブレーキを少し掛ければ安定します。
エンストしないように、アクセルは少々多めに開けても良いです。
半クラで走りすぎたから減点というのもありませんので、半クラはとことん使って問題ないです。
できるだけ、緊張しすぎて肩に力が入らないようにしましょう。
低速走行がクリアできれば、あとは法規走行ですね。
右左折する交差点の
30m手前までに
進路変更をしておかなければいけません。
さらに、進路変更するには
3秒前に方向指示器で合図を出す必要があります。
順序として覚えやすいのは、合図(ウインカー)を出して、
1、ミラーを見る
2、後方を振り返って目視確認
3、前を向く
この3つを三秒間かけて行うと良いです。
テンポよく、1、2、3秒のリズムで行い、しっかりと前を向いてから進路変更しましょう。
声に出しても良いですし、心の中で3秒数えながらやるのが一番です。
これを、曲がる交差点の30m手前までに行っておかなくてはいけないので、進路変更の合図を出すタイミングも重要です。
目安としては、一本橋の長さが15mなので、それのおよそ2本分の距離までには進路変更しなくてはいけません。
もし、次に曲がる交差点まで30mもない所では、あらかじめ進路変更後の走行ラインに入っておいても良いです。
↓例えばこんな感じ。
赤色のラインのように走るより、下の青いラインのように走った方が良いみたいです。
あと重要なのは安全確認ですね。
これは採点する試験官によっても差が出てきます。
それでも、どの試験官にも
この人はちゃんと見て確認したと判断してもらうには大げさに確認する必要があります。
あごを肩に当てるくらいの首ふりをすれば見ていないとは思われないでしょう。
実際には、そんなに首を振らなくても目だけを動かせばある程度は確認できますが、
試験官から遠くにいる人の目の動きまでは見えないので、しっかり頭を動かして
ちゃんと見たぞとアピールしてください。
実際には確認していても、試験官から確認しなかったと見られるのは非常にもったいないです。
前方の交差点の左右を確認するにも、真横に顔を向ける勢いで行いましょう。
さらに、乗車前の周囲の安全確認の時は、指差しで行うと良いでしょう。
何なら大声を出して試験官に聞こえるように言っても問題はないです。
「後ろよ~し!」とか。
乗車前から発進までの手順としては、
1、周囲の安全確認をする。
2、フロントブレーキを掛けてハンドルを真っ直ぐにして車体を起こす。(発進までの停まっている間もブレーキは常に掛けておきます)
3、サイドスタンドを払って後方を目視確認して素早くまたがる。
4、右足をつかないままリアブレーキを踏んで、左右のミラー調整をする。(動かす必要が無くても、触って調整しているフリをします)
5、キーを回してONにする
6、ニュートラルランプが点くことを確認する。(ここでも指差しや声出しをして確認したことをアピールします)
7、クラッチレバーを握り、スタータースイッチを押してエンジン始動。
8、フロントブレーキを掛けたまま、右後方を目視確認して右足につき変える。
9、ギアを1速に入れて、左後方を目視確認して左足につき変える。
10、周囲を目視確認して安全であれば発進の合図を出す。
11、左後方、前方、右後方をしっかり目視確認したあと、しっかりと前を向いてから徐々に発進する。
意外と忙しくて発進まで時間が掛かりますが、これをきちんとすれば発進するまでの間で減点はないでしょう。
停車する時は必ず左足だけついてください。
停まっている間はリアブレーキとフロントブレーキを掛けておきましょう。
ご存じと思いますが、試験車、教習車共にギアが何速に入っているか、フロントorリアブレーキのどちらを掛けているか、エンストしたか、指定の速度(40km/h)に達したかというのは、前後にたくさん付いているランプで試験官からお見通しです。
万が一、ギアが1速になっていないまま停まってしまった場合は、焦らず、発進時のように右後方を目視確認してから、右足につき変えてギアを変えてください。
ギアを変えて左足をつく時も後方確認を忘れずに。
あと、細かい点では、ブレーキレバー、クラッチレバーは
4本指で握ってください。
2本指だと減点のようで、3本指なら減点にならないみたいですが、4本指で握った方が無難です。
普段は2本指で握っている方だと、癖で2本指になってしまう事があるので、気を付けてください。
それと、ステップに足を乗せた時に、つま先が大きく外を向かないようにしましょう。
足は常にシフトペダルの上に置いておきましょう。
シフトアップする時はシフトペダルの下に足を入れっ放しにしないように注意です。
普段もバイクに乗って乗り慣れていることは運転技術の面では役に立って良いのですが、
自己流の癖がついていたりするとそれをついやってしまって減点になったりすることがある というのが難しいんですよね。
変な癖がつかないうち
つまり、自動車学校を卒業してすぐ一発試験を受けるという方が良い面もあります…。
あとは、イメージトレーニングです。
試験の走行コースは必ず暗記してください。
何通りかコースがあるはずですが、少なくともその日試験で走る時までには完全に覚えておきましょう。
コースを覚えられていない状態で、完璧な走りができるはずがないと私は思います。
「どこを曲がるんだったっけ?」と考えながらだと合図や進路変更のタイミングだとかが絶対おかしくなりますし、コースのことで頭がいっぱいになってミスだらけになります。
万が一コースを間違えても、間違えたこと事自体では減点になりませんが、本来のコースに復帰するまでの間でも採点は続いています。
余計に走る距離が増えて減点が膨らむ可能性があるので、コース間違いは避けたいものです。
試験前のコース開放で実際の走行ルートを歩きながら、走行ライン、進路変更のタイミングも確認して、時間内で思う存分コースを歩きましょう。
試験場には余裕をもって着くようにしておく方が気が楽です。
私は毎回、受付開始前には試験場に到着して、コース開放の時間を全部使って、コースを歩き回ってイメージトレーニングをしていました。
最後に少しまとめますが、
・一つ一つの動作は、テンポよく大げさ(明確)に、しっかり区切ってから行う方が試験官からも分かりやすいです。
交差点で曲がる時は、必ず曲がるまでに減速と安全確認(巻き込み確認も忘れずに)を済ませることです。右左折時は徐行です。
曲がりながら安全確認をしたり、後方目視確認をしてまだ前を向いていないのに進路変更したり などせず、しっかり動作を区切りましょう。
カーブを曲がりながらの減速もNGです。カーブに差し掛かる前にポンピングブレーキで減速を済ませましょう。
・停車時は左足をつき、常に前後ブレーキを掛けておきましょう。
・慎重になり過ぎて、ゆっくり走り過ぎるのも加速不良で減点対象になる場合があります。
交差点もない直線では加速できるところは加速し、減速しなければいけない所では減速する等、メリハリのある運転も求められます。
要はダラダラと常に同じ速度で走らないように、という感じです。
どれも大事なので、書き出したらキリがないんですが、皆さんが意外と陥りやすいものを選びました。
試験が終了したら試験官からアドバイス(講評)があるはずです。
何を言われても、文句を言ったり、態度を急変したりせず、冷静に受け入れましょう。
試験官から見た素直な意見だと捉えましょう。
もし不明な点があればここで質問するのも手です。(試験官が答えられる範囲での回答になると思いますが)
残念ながら、試験が中止になった方は不合格ということです。
それに、合格発表がある前に申請書を返却された方も不合格です。
仮に不合格だったとしても、試験官のアドバイスを参考にして、指摘された箇所を修正すれば良いんです。
「
次はあれを完璧にして走ってやる」とプラス思考でいきましょう。
試験官に「この人なら免許を与えても大丈夫だ」と思わせれば勝ちです。
最後になりましたが、
あきらめないこと、失敗を生かして次の試験に臨むことが大切になります。
合格した時の喜びは言葉で表せないくらいのものです。
ぜひその喜びを味わってください。
そして念願のバイクに乗りましょう。
ちょっと記事が長すぎた上に、意味が分からない文になっているかもしれませんが、少しでも参考になる点があれば幸いです。
(というか、ここまで長くて細かい内容の記事を読んで理解してくださった方は、きちんと準備されて試験に臨む方だと思いますので、大丈夫でしょう)
皆様の合格を願っております。
くれぐれも試験で怪我をしないように、安全第一で!