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昼空と夕空、淀川堤
朝日新聞天声人語 2013.07.28.
日替わりの絵が楽しい「しつもん!ドラえもん」はいま、かんきょう編が続いている。先日は、水道を1分流しっぱなしにすると約12リットルの水が無駄になると教えられた。蛇口をひねれば水がほとばしる便利さは、無駄と表裏一体だ▼先の小欄で「みずばち」について書いたら、幾つも便りを頂いた。「水を雑に使うと水罰があたって水に不自由する」という戒めである。ある女性は水だけでなく「火罰」や「紙罰」があたるから粗末にするなと、親から教えられそうだ▼農民作家の和田伝が戦前戦前に書いた随筆を送ってくださった方もいた。随筆には、女中さんの性格は井戸端で水を使わせれば分かる、とある。締まりなく使う者は一事が万事で、味噌でも醤油でも同じだという。現代人にも当てはまりそうな、鋭い観察である▼「湯水のように使う」という表現に、和田は異を唱えている。田舎の人は惜し気もなく水を使うことはなかった。時は流れて今、日本人は1人1日平均で約300リットルの生活用水を使うようになった▼水から目を転じれば、まだ食べられるのに捨てられる食品が、国内で年に500万~800万トンにのぼるという。
食料の過半を海外に頼りながら、こうも粗末にする国は、今に「食罰」があたりそうで怖い▼何にしても、ものが有限であることへの謙虚な畏れ(おそれ)を失いたくないものだ。地球にはいま70億の人間がひしめく。「もったいない」に通じる「罰」の感覚は、古いがモダンだ。埃(ほこり)を払って磨きたい。
皆さん一読あれ~~
チャリンコ漫遊