毎年この季節になると、ふる里の溪に立ちたくなる。
大きな流れに思いっきりラインを伸ばして本流の夏ヤマメと格闘したいという欲望に駆られる。
トルクフルな本流ヤマメのパワ-を知ってしまったら、
そのしびれるような快感の呪縛から逃れられなくなってしまうのだ。
午前7時入溪。
気温27度、すでに汗ばむほどの暑さになっていた。
先行者の釣り人に追いついて話を聞いた。
たった200メ-トルの間に、すでに8尾のニジマスを釣り上げて左手にぶら下げている。
『ヤマメはどうですか?』『この川にはもうヤマメなんていないよ』。地元の人さえこうである。
『ゆっくり釣り上がるから先に行っていいよ』。そう言われて先行させていただいた。
今日は管釣りからの落ちヤマメは相手にしない。
最初からポイントを6箇所に絞ってこの川本来のヤマメと対峙するのだ。
ふる里の夏祭りで偶然幼なじみと再会した。
ひとつ下のK君は小学生の頃から鮎釣りと鮎のひっかき漁の名手であった。
この川でボクたちは、小学生の頃から夏休みの毎日を日がな一日過ごしたものである。
日中は素潜り漁と鮎釣り、夕方はウナギのはえ縄を仕掛けて、それを早朝に引き上げに行く。
6人の仲間のうちで今でも釣りを続けているのはボクとK君だけになった。
夏祭りの夜、K君が切り出した。
『あそこ釣ってる?』『えっ、あそこって?』『冷たい湧き水のとこだよ』
『いや、釣ってないよ』『なんで?』『なんかさあ、ヤマメの聖域を犯すようでさあ』
『実はオレもそうなんだよ、なんか、ねえ』『あそこ、今でもいるかなあ?』
途中、大岩を巻く。
大岩の中にはボクたちが川遊びの基地にしていた岩屋がそのままの姿で残っていた。
『あの湧き水の場所はすごかったよね』。K君が言った。
確かにすごかったんだ。素潜りするとヤマメがウジャウジャいて、岩陰に隠れたり流れの中にユラユラ漂っていたっけ。
川床にはカジカがいっぱいへばり付いていてその間を縫うようにモクズガニがのそりのそり歩いていたものである。
『一度だけ探釣してみようか?』。ボクが提案した。
『一度だけね。一度様子見てあとは手をつけないでおこうよ』。彼も気になっていたんた。
ここは殆ど枯れている。
ここもダメだった。
ここは勢いよく噴出していた。川床からはもっと噴出量が多かったと記憶している。
やはりここの湧き水は生き残っていたんだ。
キズひとつない美しいヤマメがヒットした。泣き尺。
体高のある尺ヤマメもいた。
フライをひったくると一気に下流に走る。この瞬発力にしびれてしまうのだ。
32センチのヤマメ。
すさまじいファイトであった。フライのボディが食いちぎられて跡形もなく消滅している。
ヤマメの聖域を保ってくれている湧き水は2箇所だけになっていた。
2箇所とも川床から湧き水が噴出している
ちょっと痩せてはいるが23センチのヤマメが小さく見えてしまう。
今回最大の34センチ。
まるでシャケのような風貌をしていた。
あの頃は、こんなヤマメが当たり前だったんだよな。
6箇所あったヤマメの聖域は2箇所になっていた。
ちょっと寂しい気もするが、でもあの頃のヤマメは確実に生き残っていてくれた。
それが確認できただけでも積年の想いが晴れたような気がする。
ヤマメたちはこの場所で細々と生き残っているのだろうか?
あの頃と同じように沢山のヤマメやカジカがこの聖域で生を謳歌しているものと信じたい。
この川も少しずつ衰弱が進んでいる。
ボクたちが遊んだあの頃の健康な姿に戻ることは決してないのだろうが、
川も溪魚もできる限り長生きして欲しいと願ってやまない。
あの場所ではもう二度と竿を出すまい、そう心に誓った。
大きな流れに思いっきりラインを伸ばして本流の夏ヤマメと格闘したいという欲望に駆られる。
トルクフルな本流ヤマメのパワ-を知ってしまったら、
そのしびれるような快感の呪縛から逃れられなくなってしまうのだ。
午前7時入溪。
気温27度、すでに汗ばむほどの暑さになっていた。
先行者の釣り人に追いついて話を聞いた。
たった200メ-トルの間に、すでに8尾のニジマスを釣り上げて左手にぶら下げている。
『ヤマメはどうですか?』『この川にはもうヤマメなんていないよ』。地元の人さえこうである。
『ゆっくり釣り上がるから先に行っていいよ』。そう言われて先行させていただいた。
今日は管釣りからの落ちヤマメは相手にしない。
最初からポイントを6箇所に絞ってこの川本来のヤマメと対峙するのだ。
ふる里の夏祭りで偶然幼なじみと再会した。
ひとつ下のK君は小学生の頃から鮎釣りと鮎のひっかき漁の名手であった。
この川でボクたちは、小学生の頃から夏休みの毎日を日がな一日過ごしたものである。
日中は素潜り漁と鮎釣り、夕方はウナギのはえ縄を仕掛けて、それを早朝に引き上げに行く。
6人の仲間のうちで今でも釣りを続けているのはボクとK君だけになった。
夏祭りの夜、K君が切り出した。
『あそこ釣ってる?』『えっ、あそこって?』『冷たい湧き水のとこだよ』
『いや、釣ってないよ』『なんで?』『なんかさあ、ヤマメの聖域を犯すようでさあ』
『実はオレもそうなんだよ、なんか、ねえ』『あそこ、今でもいるかなあ?』
途中、大岩を巻く。
大岩の中にはボクたちが川遊びの基地にしていた岩屋がそのままの姿で残っていた。
『あの湧き水の場所はすごかったよね』。K君が言った。
確かにすごかったんだ。素潜りするとヤマメがウジャウジャいて、岩陰に隠れたり流れの中にユラユラ漂っていたっけ。
川床にはカジカがいっぱいへばり付いていてその間を縫うようにモクズガニがのそりのそり歩いていたものである。
『一度だけ探釣してみようか?』。ボクが提案した。
『一度だけね。一度様子見てあとは手をつけないでおこうよ』。彼も気になっていたんた。
ここは殆ど枯れている。
ここもダメだった。
ここは勢いよく噴出していた。川床からはもっと噴出量が多かったと記憶している。
やはりここの湧き水は生き残っていたんだ。
キズひとつない美しいヤマメがヒットした。泣き尺。
体高のある尺ヤマメもいた。
フライをひったくると一気に下流に走る。この瞬発力にしびれてしまうのだ。
32センチのヤマメ。
すさまじいファイトであった。フライのボディが食いちぎられて跡形もなく消滅している。
ヤマメの聖域を保ってくれている湧き水は2箇所だけになっていた。
2箇所とも川床から湧き水が噴出している
ちょっと痩せてはいるが23センチのヤマメが小さく見えてしまう。
今回最大の34センチ。
まるでシャケのような風貌をしていた。
あの頃は、こんなヤマメが当たり前だったんだよな。
6箇所あったヤマメの聖域は2箇所になっていた。
ちょっと寂しい気もするが、でもあの頃のヤマメは確実に生き残っていてくれた。
それが確認できただけでも積年の想いが晴れたような気がする。
ヤマメたちはこの場所で細々と生き残っているのだろうか?
あの頃と同じように沢山のヤマメやカジカがこの聖域で生を謳歌しているものと信じたい。
この川も少しずつ衰弱が進んでいる。
ボクたちが遊んだあの頃の健康な姿に戻ることは決してないのだろうが、
川も溪魚もできる限り長生きして欲しいと願ってやまない。
あの場所ではもう二度と竿を出すまい、そう心に誓った。
そうだよね、あの頃は日本中の子供が皆そうだったんだね。
お金はなかったけど、仲の良い友達がいっぱいいて、
道具なんて全然なくても工夫して遊びを作り出してた。遊びだって食い物だって自然児そのもので子供なりに生活力も備わってて。
やっぱり我らはいつまでも子供の頃の遊びを楽しんで人生を送って生きたいですね。
これからも是非是非宜しくです。
豊かな自然の片隅に専用の小さな秘密の遊び基地。
しかも使い勝手がいいように自分達でいろいろデコレートして、夢を増幅させしばし想いに耽る。
他人に発見されないようにいじらしくもカムフラージュまでして・・・・・・・
田舎の子供達の遊びには欠かせない事でしたね。
遊びのネタをさがし、人に負けまいと工夫する毎日。
清流には魚がワサワサいて、獲物は焼いて食べたり、デザートには木苺やスグリやグミ、こけ桃、サル梨にアケビや山ブドウetc...採りきれないほどに豊穣な自然の恵み。
少年時代は楽しかったですね!そんな思い出のある人は幸せです。(何たって子供は遊ぶのが仕事)
セイタカさんも良い少年時代を過ごせましたね!
いい大人になった今でも相も変わらず似たようなことをしているせいか、アウトドアや釣り仲間はときどき、自然の中にいると私を少年のようだと評します。
せっかく自然の中に行くんだから楽しんだほうが勝ちですよね。でないと時間が勿体ないです!
でもそれって成長してないってことかも?(笑い)
そのまんま中間がなくていきなり先祖がえりなんてことに・・・・・・
ま、お互い大いに自然に親しみましょう。
お金には代えられませんですよね、思い出は!
インタ-ハイに出場するのは『関塚』という選手です。
どこにも行けないなんて、それは贅沢というものですぞ。
インタ-ハイに出る息子をテレビで見られる。
なんと幸せな事か。オイラも見るからね。
毎日見たければ息子を芸能人にしてしまいなさい。
キミの息子はみな良か男じゃから結構いけるかもね。
(業務連絡)
皆さん、私の出来すぎた後輩の、そのまた出来すぎた息子が栃木県代表でインタ-ハイに出場します。
ウェイトリフティング77㎏級です。
8月8日午前9時から、多分NHKで放送されると思います。平日仕事の手を全面的に止めてご覧になってくださいませ。アレ、高校野球とカブっちやう?
今年は、子供たちの都合が合わずに、毎年家族で繰り出していた、お盆後の海にも行けそうもありません。
定宿のご主人夫婦にブドウでも送ってお詫びしようと思っています。
それでも、お盆が過ぎたら お疲れのカァちゃんと自然と出会いにお出かけしたいなぁ~
人間はみな自分の原体験の中で生きているのかも知れませんね。
昔は山も川もホントに良かった。
でも、これからもずっと守って行かなければなりませんね。美しい流れと美しいヤマメやイワナといつまでも遊んで居たいと思います。
たろうさんのレポ、楽しみにしています。
確かにこのポイントだけは手が入ってないので
ヤマメはみなウブですね。
私も30年ほど竿を出さなかったのです。
ウブな魚はよかですね。
この川、昔はもっとずっと良かったんですよ。
今でも良いのですが、この川をとことん知らない人はニジマスしか釣れないのです。
この川自体は秘密ではないのです。
昔からヤマメが生息している場所だけ秘密なのです。
№2の場所は、泳いで行くか高巻くかなんですが
淵が異様に深いので潜り漁の向いているのです。
暗くて深くて怖いですよ~。
考えて見ますね。
それより野呂へ突入しませんか?
またご連絡しますね。
旧友との再会・秘密基地・湧き水とヤマメ。素晴らしい原体験をお持ちですね。
何度も日記を読み返し、一人唸ってしまいました。
連綿と世代を重ねている渓魚と素晴らしい渓相は、今後も残ると思いますし、出来る限りいい状態を保つのは、私達の世代の責務かと考えます。
美渓とヤマメに乾杯です。
写真をUPするとすぐに絶滅。。なんて。
魚影が濃いと皆が来るので、あそこはだめだなあ、と言う位のほうが生き残る確率が高かったりすると思いますね。だめだめと言いふらしましょう。
そして、そっと地図を書いて、送ってください。
いいとこですね。聖域をお持ちで羨ましいです。
私も早くそんなとこを作ってみたいです。
№.2の場所は連れてってもらえるんでしょうか?
楽しみにしております。
あの通らずはね、左岸を超えるつもりで40メ-トルのザイルや下降用具一式を担いで行ったんだ。
でもね、最終地点だし暑さにバテちゃってて、あの高い岩壁をよじ登ってまた降りるのかって考えたら一気にやる気が失せちゃった。
向う側の暗いドン深の淵には今でもでっかいヤツが居るはずだよね。ホントに今度二人で潜ってみたいね。
湧き水のヤマメも元気だったし、もう言うことないよ。K君のお陰ですっきりしたよ、アリガトネ。
確かに慣れ親しんだ田舎の溪で過ごす時間は格別ですね。今回は気にかかっていたヤマメの生息が確認出来たのでなおさら格別です。
もっともっと溪魚が蘇ってくれればいいのですが。
もうやったんだ。
やっぱり居たね。
あの2箇所の湧き水の在処は誰にも分からないから
このままにしておきたいね。
ヤマメが居ることが分かったから俺はもうやらなくていいや。一回潜って様子を見たいとは思うけど。
ところでM園の下流の通らずは超えなかったの?
あそこの大淵は絶対にドデカイのがいるよね。
一人じゃ怖いから今度二人で潜ってみない?
とにかくアリガトウ。ほっとひと安心です。
大きな岩、大小の変化にとんだ石の間を清き流れその周りは深い緑の原生林には何も言うことなし、黙って雄大な自然に身をまかせる楽しさは何もかも癒される。
それにヤマメに岩魚釣りそして冷えたビール、酒、旨い肴の応援があれば最高、また家内でなく気の合った友がいれば超最高。