山と溪を旅して

丹沢の溪でヤマメと遊び、風と戯れて心を解き放つ。林間の溪で料理を造り、お酒に酔いしれてまったり眠る。それが至福の時間。

雨の飛騨山脈を歩く

2015-10-01 00:35:09 | 山歩き.散歩
シルバ-ウィ-ク後半に30年ぶりに飛騨山脈を歩いてきました。
今年の計画はことごとく雨に阻まれて中止や延期を強いられたわけですが
最後のチャンスかと日程を短縮して入った飛騨山脈では久方ぶりに新鮮な感動を味あうことができました。

今回の山行は黒部最源流で岩魚を釣ること、30年ぶりに大好きな黒部五郎と雲の平を訪ねること
黒五命の僕は愛車のナンバ-さえも黒部五郎にしている次第でございます。




午前6時、新穂高の登山口のポストに登山計画を投函して林道を進みます。
1日目の行程は双六小屋まで、殆ど登りの登山道を8時間あまり歩きます。




6時間ほど登って鏡平、快晴のこの日は鏡池の前に悠然と槍が聳えます。




山荘でカレ-ライスとかき氷を頂いて大休止
これからまだ急登を控えているので生ビ-ルは双六までお預けです。

 


弓折乗越への途中で眺めた鏡平、いい雰囲気ではありませんか?



 
急登を喘ぎあえぎヘロヘロになりながら弓折乗越へ、なんせここまでに1000mの高度を稼ぐ訳ですからねえ。
眼前には威圧されるような槍の偉容が、左の稜線が西鎌尾根、右が東鎌尾根、19歳で初めて登った僕は槍沢ル-トでした。




弓折乗越を越えても更に登りが続き、ようやく双六小屋が目に入るとほっとするのです。
ここまで抜きつ抜かれつ歩いていた方が何と75歳と79歳の老夫婦、健脚ですねえと話しかけると
年を取っていくワシらは今が一番若いんだから今を楽しまないといかんのですよと、、、、、
年を言い訳にしないで今を存分に楽しまなければと、この老夫婦に教えられた次第です。




午後3時に双六小屋に辿り着くと、先ずは何をおいても生ビ-ルですよねえ一気に2ハイでようやく一息つきました~!
昨日まで布団2組に5人の激混みだった小屋も、この日は12畳の部屋に5人だけ、ゆったり熟睡できそうです。
同部屋の5人と食事の後も、ツマミを出し合って談話室でまた生ビ-ル、結局初日は夕焼けも朝焼けも逃してしまいました。

 





2日目も快晴で気分爽快です。
この日は、三俣蓮華に登り、最源流で岩魚と遊び、雲の平を目指す8時間の行程で殆どが登りです。




2時間ほど歩いて、最後の急登を登り詰めると、、、、、




三俣蓮華から眺める360度の大展望に思わず、すっげ~と何度も叫んでしまいます。




右に槍、大喰、穂高連峰




正面が鷲羽、左の深い峪がこれから釣る黒部最源流、左奥が黒岳(水晶岳)




黒部最源流から左の急登を登り詰めて祖父岳の中腹を巻いてハイマツ帯を下ると
今日の宿泊地になる雲の平の広大な台地が開けています、その左奥が薬師岳。




更に左に目を転じると、僕の大好きな黒部五郎、広大なカ-ルとお花畑は神の遊びし庭園(僕もあそこで神と遊ぶ予定です)




真後ろには笠、カッコイイ!




三俣蓮華を下って行くと大きく羽を広げた鷲羽岳、すっげ~!
その鞍部の平に三俣山荘が、そこから湯俣川へと伊藤新道が続いています。
山荘で話を聞くと、2日前に3人、前日に4人、今日は少なくとも2人の釣り師が源流に入っているとのことでした、、、




山荘から30分ほど下って渡渉点に立って眺めると一人が釣り登り、一人が釣り下っています。
二人ともフライマンで距離は上下流とも2~300m、こりゃもうダメですわ!




渡渉点から5分ほど下って、ロッドをセットして、15分ほど岩に腰かけてボ~っとしながら一服、やる気が湧きません。
岩に腰かけたまま目の前の流れに無造作にフライを流すと、、、なんと岩魚がアタックしてくるではありませんか。
やおら立ち上がって、やる気モ-ド全開で2度3度とフライを打ち込むと、、、、、、




最初に出たのがこの1尾、その後も次々に出てほんの15分で6尾、尺上も1尾、なんですかこれ~?
先行者がすぐそこにいるっていうのに、こんな簡単に釣れちゃっていいのかしら~?
釣れるのは嬉しいけれど、こんなに簡単に釣れるのって面白くないですよねえ、ヤ~メた!




釣りは早々に切り上げて雲の平に向かいます。
谷底の源流から祖父岳の中腹までの急登がめっちゃきついのです、、、その証拠をお見せ致しましょう。

垂直に感じてしまう岩ゴロを20分ほど登ると、、、ほらね、左に槍、右に三俣山荘が突如として姿を現します。




そしてまた10分、、、




また10分、、、




また10分登ると槍がで~ん! わかります?  もうヘロヘロです。




更に祖父岳の中腹を巻くこと2時間、そして更に30分ほど
ハイマツ帯を30分くぐり抜けると、雲の平の向こうの山に滝雲がかかっているのが見えました。




目の前には水晶が、やはり水晶は雲の平から眺めるのが一番ですよねえ!




雲の平の木道を山荘に向かってひたすら歩きます、、、ビ-ル、ビ-ル、ビ-ル、ビ-ル、、、




山荘が見えたぞ~!
もう日本庭園も、スイス庭園も、ギリシャ庭園も後回し




真っ先にビ-ルですわビ-ル!

 


この日も小屋はスッカスカ、ゆったり寝られるのは幸せですねえ!









3日目、今日はちょっと早起きして朝焼けだけでも眺めたい!




4日間は晴天予報だったのに、3日目の今日から雨続きに替わってしまった。




薬師沢で釣ってから太郎平小屋に向かう予定を急きょ変更して鏡平に向かうことにする。




歩き始めて1時間も立たないうちに雨が落ちてきた。








この3日間で、黒部源流の紅葉も一気に鮮やかさを増している。




結局、黒五には登れなかったけれど眺められただけで十分です。




鷲羽も見納めです




帰りもこんな岩ゴロの急登の連続です






雨の中を7時間、ようやく鏡平が見えました




雨の中の鏡平、しっとりといい雰囲気を醸しています。




乾燥室で衣服を乾かしてからビ-ル、今日もぐっすり眠れそうです。







4日目は4時間下るだけ、楽ちんです。




夜半から続いた土砂降りも午前7時半には小降りに変わったので下山開始です。






登山道はどこもかしこも沢状態を呈していますが、山と割り切れば雨の山歩きも乙なものでございます。






左俣も増水して釣りにはなりません。








締めくくりは、平湯の森で湯につかり、筋肉をほぐしてからビ-ル

 



年を言い訳にしないで、一番若い今を存分に楽しもう!

自分の目と五感は、どんな映像をも遥かに凌ぐ、だから壮大な自然を自分の目で見続けよう!

今もし、この星が滅亡するとしたらどうするだろうか?
もし、自分が現代版ノアの箱舟に乗る権利を得られたらどうするだろうか?
ノアの箱舟に乗って宇宙を彷徨い、辿り着いた未知の星で巨大なド-ムの中で生きながらえたいだろうか?
それよりも、この星で、美しいこの国で、旨い酒と食を味わいながら最後を迎えたいと思う。

ありえないことだけれど、そんなことを考えながら歩き、自分なりに覚悟を決めた山旅でもありました!
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36 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
流石! (ヒロキチ)
2015-10-01 09:16:08
懐かしい景色を丹念しながら、先輩夫婦に素敵な言葉を貰い、岩魚にも会えるなんて素晴らしい旅になりましたね!
それにしても景色の雄大さに見惚れてしまいますね。
急登の後の生ビール、想像しただけでも生唾ごっくんです。
山小屋の混雑が苦手ですが、タイミング良く空いていたんですね。
日頃の行ないの良さが出ましたね!
最後の文章にただならぬ覚悟を感じます。

こちらは魚野川源流にて残念な怪我をしてしまいました。
近々日記にします。
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技アリ (へっぽこフライ師)
2015-10-01 09:17:33
出だしでいきなり1本とられちゃったんですね。
私も沢行きで会った若い人との会話で、「いやぁ~僕ももう歳なもので‥」という一言が必ず出てしまいます。
「今が一番若いんだから‥」まったくその通り、ガツンと一発いただきました。

槍のコマ送り‥ナイスでした!
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言葉の重み (バッカス)
2015-10-01 11:05:34
>年を取っていくワシらは今が一番若いんだから今を楽しまないといかんのですよと、、、、、
>年を言い訳にしないで今を存分に楽しまなければと、この老夫婦に教えられた次第です。

いくつになっても、教えられ、感動することが有るのですね。

素敵なフォトと共に、嬉しさがこみ上げてきました。

それにしても、美味しいビール飲んでますねぇ~。
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凄いです。 (トリオ)
2015-10-01 11:44:30
見入ってしまいました。

紅葉かなぁ~~と思ってみていたらやはり美しいですね。
私のシルバーウイークは 孫のこと意外は人ごみに中にいました。
まだまだ こんなに綺麗なところがあるんだと・・・

いつものコメントですが また素敵な景色を楽しみにしています。
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感動しました (へなちょこN)
2015-10-01 11:48:11
遂に実行されたんですね。

この素晴らしく晴れて、綺麗で雄大な景色は苦行によって増幅されると、何倍もの価値を感じるんでしょうね。

今、この記事を読んで、地図とにらめっこして、コースを確認しながら写真と照らし合わせ、イメージを膨らませながら自分も登ったつもりになってました。

それに、老夫婦の名言! これは是非使わせてもらって、常に自分に言い聞かせたいと思います。

またどっか行きたいですね。
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とんとご無沙汰 しております (ホリャ)
2015-10-01 13:26:55
黒部、行かれたのですね!
今年はボウズのまんまだと内心楽しみにしておりました。
ちきしょう。
若いころに訪れた平の小屋の写真など引っ張り出して思わず懐かしがってしまいました。

迫力の山の写真、最高ですね。
自らの足で稼いだ風景はどんな絶景にも負けませんね。
もう紅葉しているのですね。
ホシガラスの写真も最高です。上高地でよく見ることができたなあ。

9656・・・思い入れのあるナンバープレートなのですね。
なんか、いいですね~。
食い物も全部美味しそうだし、高崎さんは遊びのホームラン王です(^o^)

ちなみに、腹ペコの僕の今の気分は・・・4656です。
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なんて懐かしい山! (雲の平)
2015-10-01 16:39:34
繰り返し写真を拝見しました。私は折立から雲の平、
そして双六、鏡平への縦走をしました。前お話した人がセイタカさんと同じところでイワナを釣って下さったのです。
帰りの登山道が、川になって大きい石が流れてきました。
でも本当に懐かしい山々でけして忘れません。
黒部五郎は、その後登ってきました。
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Unknown (ルアーK)
2015-10-02 06:16:09
なんて、綺麗な場所なんでしょう!
天国があるならこういうところなのかと思ってしまいますね。写真が綺麗で、何度も見返してしまいます。小屋泊まりは混雑していると嫌ですが、空いているなら良いですね。私も経験を積んで、連休が取れるようになったら行ってみようと思いました。車のナンバーまで、96-56とは思いもよりませんでした。
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山小屋 (高崎)
2015-10-02 17:40:27
ヒロキチちゃん

シ-ズン終焉はてっきり黒部で迎えると思っていたけれど魚野川源流とは?
しかもケガしたって、ちょっと心配だなあ、早く見たいから急いでアップして下さいね。

山小屋の混雑は嫌ですよねえ。
今回の5連休、誰もが考えるのは5日目のま最終日は休養したい。
ということは、殆どの人たちが4日目には帰途つくだろうということで
4日目から登山を開始したという訳なんですわ。

この予想がドンピシャで山小屋は3日間ともガラガラで快適でした。
来シーズンは小屋どまりで岩魚を釣りながら飛騨山脈を歩いてみませんか?
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負けてられない! (高崎)
2015-10-02 17:44:19
へっぽこフライ師さん

80歳前後で山屋現役の人たちがたくさんいらっしゃるのを目の当たりにすると
我らはまだ若造年代だと思い知らされてチカラが湧いてきますよねえ。

年を言い訳にせずまだまだ現役で自然の中に飛び込んで遊び尽くしましょうね。
ただ、足腰、バランス感覚は確実に衰えているのも事実なのでムリせぬようにということで。

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