山と溪を旅して

丹沢の溪でヤマメと遊び、風と戯れて心を解き放つ。林間の溪で料理を造り、お酒に酔いしれてまったり眠る。それが至福の時間。

大菩薩嶺往復ヘッデン縦走

2018-12-16 16:00:28 | 山歩き.散歩
今年中に小管~大菩薩嶺の縦走をやっておきたかった。
小菅に車を置き、もう一台で上日川峠から入山する計画であったが相棒の都合がつかなくて
仕方なく往復14時間半を日帰りで歩く計画に切替えて、スタ-トとラストはヘッデンを灯しながらの山行となった。
午前5時、小管のワサビ田まで車を乗り入れて往復の歩行時間を1時間半短縮し真っ暗な栃の巨木の登山道を歩きはじめる。




午前7時半、早朝の外気は極度に冷たくて、でもだからこそ尾根から見上げる空は群青色に澄み切ってスカっと晴れ渡っていた。
気温マイナス9度、ハ-ドシェルを纏い、ネックウォ-マ-で鼻と耳まで覆い、フリ-スの手袋で完全防寒しても震えるほどに寒い。

何百年という時を越えてきた端正で不屈のブナの巨木を見上げて
思いっきり腕を広げてブナの巨樹を抱きしめながら祈りを捧げれば少しずつ心が穏やかになっていく。




落葉帰根、人間も樹木も自分の命を精一杯に生きて、それを後世に伝えていく。
この落ち葉たちも誰一人として無駄な命はなく、この一枚一枚がこの森の未来を築く大切な礎となる。




幾年月の風雪に耐えて折れ曲がった逞しいブナの腕が青空に映えて何と美しいことか




午前8時過ぎ、大きく胡坐をかくように根を張ったミズナラの根方に腰を下ろして朝食を摂る。




今日は大菩薩の山小屋でアレが待っているので朝食はカップ麺で簡単に済ませる。
スピ-トを上げるため非常食はパン2個とチョコレ-ト、調理用の熱源もエスビット3個に抑えた。




ザックが軽いと歩きも軽快で石丸峠まで殆ど休みなく写真も撮らずに歩き続けた。
しかし石丸峠から雷岩までの登りが曲者で、霜柱が解けてグチャグチャになった泥が靴底にへばりつき歩き難くて体力を消耗させる。

ひたすら登り続けてきたご褒美か、雷岩からの眺望は絶景で




雪を纏った南アルプスの山並みが紺碧の空に延々とスカイラインを描いている。




こうして眺める富士に心のどこかで安堵し、あの富士に寄せる思いは日本人ならではのことなのでしょうか?




雷岩から10分ほど、大菩薩嶺に向かう登山道は薄い雪に覆われています。




大菩薩嶺は原生林に覆われて眺望はないのですがせっかくなので頂上を踏んでおきましょう。
(午前11時、ここの気温はマイナス10度でした)




さあ下山です、と言いますか、ちょっとだけ寄り道を、、、、




頂上から40分ほど下れば山小屋『福ちゃん荘』です。




食堂に入ると、赤々と燃えるスト-ブが暖ったか~い!




充分に暖をとってから予約しておいた馬刺しでゆっくり時間をかけてビ-ルを味わいます。




〆は山菜盛り蕎麦、もちろん乾麺ですが山小屋でお蕎麦を頂けるならこれで充分でございます。




食堂のおばちゃんたちと話し込んでいたら1時間以上も長居をしてしまいました。
もう午後1時過ぎ、この小屋に泊まろうかという誘惑が一瞬心をよぎりますが忙しいこの時期はそうもいきません。



暖かいスト-ブ、美味しい馬刺し、お世話になりました!
これから5時間ちょい、休みなく黙々と歩き続けて小菅に帰ります。
棚倉小屋跡手前で真っ暗になりヘッデンをふたつ灯しながら歩きなれた道を小菅に向けて1時間半下り続けます。
午後7時に閉まる小菅の湯に辿り着いたのは6時半、結局ビ-ルも食事もとらずに帰路につきました。

やはり山は四周を眺めつつのんびり歩き、写真を撮り、高山植物を愛でる心の余裕と味わいが欲しいですねえ!
コメント (26)
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