山と溪を旅して

丹沢の溪でヤマメと遊び、風と戯れて心を解き放つ。林間の溪で料理を造り、お酒に酔いしれてまったり眠る。それが至福の時間。

南アルプスの小峪に遊ぶ

2022-09-18 01:31:25 | フライフィッシング
平日3日間の休みをとって釣友寅さんとふたり南アルプスの峪に遊んだ
道の駅で待ち合わせイッパイ飲ってから前泊し、翌朝4時半に寅さんのハイエ-スで送迎バスの駐車場へと向かう
不覚にも僕のミスで予約していた7時半の始発に間に合わず第2便の11時半スタートとのっけから大チョンボをかましてしまった

12時半、さわらじまロッジの個室に不要な荷を置いて近場の峪に向かった
先週のオヤマタン釣行の際の扇沢前泊で患った風邪を引きずったままの歩きがことのほか辛かった

本流に架かる橋をふたつ渡ってからジグザクの急な踏み跡を辿って豁に降りる



雨が少なかったためか前回に比べると峪の流れはかなりの減水状態であった



どんなシチュエ-ションでも快調に釣果を上げる寅さんに先行してもらい、、、



激しい咳で体調不良の僕は後からゆっくり釣りあがる



下流域で遊んでくれるのは型の小さいニッコウイワナばかり

 
 

取水堰堤までの区間は峪もさして険しくもなく歩きやすい



小型ではあるけれど寅さんもコンスタントに竿を曲げていた



最後に僕の竿を曲げた8寸岩魚
完璧ではないけれどヤマトの血が色濃く残っている美しい魚体であった
(二日目の釣果もこの日と似たようなものであった)





これは寅さんが僕の目の前で釣りあげた今日一番の良型岩魚、今日の刺身はこの子に決めましょうかね!



ここをダイニングに決めて寅さんが冷麺の準備を始める



少々のツマミと岩魚の刺身で冷えたビールが旨い!

 

体調不良で食欲不振の僕にとって寅さん提供の冷麺が殊のほか美味しくて食が進んだ、夏の川飯に冷麺もいいなあ!



二日目も寅さんが蕎麦をふるまってくれた、食欲不振でもなぜか麺なら美味しく頂ける
麺のお陰で3日間、難なくエネルギ-チャ-ジができて僕の体力も維持することができたような気がする

 

小屋で体を休めるため午後2時に脱渓しようと橋までの急登を登り始めたところで左太ももがプチッ、軽い肉離れだ
消炎鎮痛剤を塗り、膝のサポ-タ-を外して太ももに強めに装着し、更にマジックテ-プで締め上げて何とか小屋に辿り着けた



その後、寅さんはこの橋の袂から入渓して本流を釣り、ほんの2時間ほどでツ抜けを果たし
しかも完璧に近い泣き尺ヤマトまで釣り上げて小屋に帰ってきて写真を見せてくれた



午後5時過ぎ、レストハウスのテラスで飲る生ビールが旨い
閉店時間を過ぎてしまったために3杯目を呑みそこなった寅さんは
ロッジに戻って更に500mlの缶ビールを煽ってから風呂に浸かった
2日間とも貸し切り状態のお風呂が心地よくて、じっくりと疲れを癒すことができた



2日目は3時間歩いて尺ヤマトの峪に案内する予定であったのに
僕の体調不良のために2日間とも同じ小峪の釣りになってしまった
寅さんにとってはさぞかし消化不良の遠征であったろうに不満ひとつ漏らすことなく
北アとはまるで異なる雰囲気の南アの峪にお付き合い頂いたことに感謝しきりです

さああと2週間、皆様がお気に入りの渓で有終の美を飾り無事にシーズン終焉を迎えられますように!








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1日だけの黒部

2022-09-08 02:46:47 | フライフィッシング
8月上旬、釣友寅さんが黒部オヤマタンから龍王岳への単独でのフィッシュ&ピークをやり遂げた
熊との接近遭遇の恐怖や沢源頭からの急登に耐えての完登後、一の越から黒部平への下山路では大転倒し
大量の鼻血と激痛の末、一週間ほどは味覚も嗅覚も失うという大怪我を負いながらの成果にも関わらず岩魚の釣果は惨敗に終わっている
この惨敗が余程悔しかったのかリベンジを果たしたいというので寅さんのリベンジの見届け人としてオヤマタンに同行することとなった

いつものことながら入山前夜は扇沢で呑んで語り、気が付けば午前2時を過ぎていた

                    

寅さん差し入れの日本酒を相棒のオ-ちゃんと二人で気持ちよく呑み干して午前6時まで爆睡した
アルコ-ルが残るふらつく足取りではあってもチタケを探す目だけは爛々と輝いてチタケの方から僕の目に飛び込んでくる



1時間半のCTを30分オーバ-してオヤマタンに辿り着いた、僕とオ-ちゃんの衰えは隠しようがない



オヤマタンも年々渓相が変化し岩魚の付くポイントが少なくなっている



寅さんは上流へ釣り上がり、オーチャンは下流へと釣り下り、僕はこの辺でのんびりロッドを振ってみた



流れのタルミや巻き返しで岩魚はアタックしてくるもののサイズは7寸程度でキープサイズが出てくれない



ようやく8寸ほどのきれいな岩魚に出会えた



ちょうど12時、寅さんが8寸岩魚を2尾ぶらさげて集合場所に帰ってきた
豁の流れで冷やしたビールが喉に沁みる、寅さんもオ-ちゃんも顔や体がひときわ引き締まっているのが羨ましい!



寅さんが振舞ってくれるお蕎麦の前に急いで3尾のイワナを捌いてタタキにする
今日は忘れ物ばかりでオオバもミョウガも忘れてショウガだけのタタキになってしまった



酒肴は質素でも仲間と語らうことで限りなく豊かな時間を共有できるのが嬉しい!

 

本日の収穫の一部、今日はめんつゆのためのナスも忘れてしまっていた



寅さんに十割蕎麦を2枚も振舞ってもらえた
ナスはないけれどチタケの出汁はそれなりに取れていたような気がする
頂いたお蕎麦のあとの蕎麦湯で今日の釣りも川飯も十分に満足な1日として完結できた



真昼のビールが効いたオ-ちゃんは黒部の風にあたりながら気持ちよさそうに落ちてしまった

 

たった2時間の岩魚釣り、寅さんのリベンジをしかと見届けることができた

 

午後4時に黒部ダムに帰着、台風の影響か強風が吹き始めた
1泊の予定を日帰りに変更して正解だったかも、、、、
たった1日、たった2時間の釣りだったけれど十分に満足して今年の短い黒部の夏は終わりを告げた!
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カラカラのキノコ山

2022-08-21 00:18:55 | キノコ狩り
孫たちとの怒涛の三日間が嵐のように過ぎ去って行きました
午前中は近くの公園や農工大学の構内での蝉とりやトンボとりに興じて昔を懐かしみ
午後は強力な水鉄砲で撃ち合い、100個余りの水風船爆弾を投げ合っての戦争ごっこにへとへとになり
そして夜は静かに涼みながらの花火に興じつつ、年ごとに激しくなる孫たちの遊びに付き合いながら
疲れ果てつつコロナ禍での嬉し楽しい時間を共有できた日々に幸せを感じているじいじとばあばでございます。





さて孫たちが帰った翌日、夏キノコの終焉を見定めようと山を散策してみました



連日の猛暑で山はカラカラに乾いておりましたが

 

それでもブナの森には涼風が吹きわたり下界の暑さを忘れさせてもらえます



今回は往路はニリン草の道を歩き



復路は日向道を併せて2時間半ほど歩いてみたのですが

 

収穫できたのはチタケ4本とヤマドリタケとタマゴタケが1本づつだけの貧果でございました



今回はタマゴタケのソテ-でビールを飲ろうとオリーブオイルと塩コショウとレモン汁を用意したのですが、たった1本だけではねえ、、、

 

仕方なく生のタマゴタケにオリーブオイルと少々の塩とレモン汁をたっぶり振りかけて生ハムと一緒に味わってみました



火を加えたタマゴタケの独特の風味には劣りますが、サラダ感覚のタマゴタケもこれはこれでなかなか乙なものでございます

 

〆はチタケそうめん
今回は冷蔵庫で一週間ほど寝かせた冷え冷えのチタケのめんつゆをナルゲンボトルに詰めて持ってきたものです



数日間寝かせた冷え冷えのチタケのめんつゆで頂く冷たいそうめんが実に美味しゅうございました
真夏にふさわしい一品、是非みなさんもお試しくださいませ。
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夏きのこ

2022-08-07 17:04:25 | キノコ狩り
今年初めての夏キノコの探索に雨後の山を3時間ほどゆっくり歩いてみた
運動療法が効を奏したのか腰の痛みは少し残ってはいるものの足のしびれや痛みは治まっている



予報では雨は午後一時的に1ミリ程度しか降らない筈なのに入山時からしとしと雨が落ちていて山は深い霧に包まれている



小ピーク手前の巻道を進んでいると食べごろのハナビラタケが僕を手招きしている
雨を含んで少々色変わりしているけれど一株持ち帰って頂くことにする



降り続く雨が頭上の葉を叩いているけれど分厚く茂ったブナやミズナラの葉のお陰で雨具を羽織ることもなく快適に歩くことができた



小一時間歩いて登山道から少し山に入ったところでタマゴタケを見つけた
生まれたての卵、卵から孵化したばかりのヒヨコ、よちよち歩きのヒヨコ、大人になり始めたものとタマゴタケの成長過程がよくわかる

 
 

なんて美しい!
これは持ち帰ってホイル焼きとコンソメスープにして美味しく頂こう



更に進んだ登山道脇の落ち葉に食べられない白っぽい雑キノコがたくさん目に入るけれど本命のチタケはどうだろうか?



森の中に分け入っていくと、なんと可愛いヤマドリタケの幼菌を3本見つけた、これも持ち帰ってパスタの具にして頂くことにする



そして本命のチタケがあちこちに顔を出している、あまり期待していなかったので嬉しさもひとしおである



雨のためかこのチタケは色落ちしている



今年は10本のチタケを摘んだ、これだけあれば美味しいめんつゆが作れる



小さめのポリ袋3つがキノコで一杯になった、この日の収穫に満足して下山路のベンチで一服してから山を下ろう



この日の収穫、タマゴタケ5本とチタケ10本



ハナビラタケとヤマドリタケの幼菌3本、ウスラヒラタケも見つけたけれど今回はパスした



林道脇の広めの車止めを見つけて山飯にしよう
先ずはチタケをじっくり炒めてからチタケの出汁をナスにたっぷり吸わせる

 

めんつゆは多めに作ったので家に持ち帰って何度かチタケうどんを味わえる



今回は多めのチタケを使ったので美味しいチタケそうめんになった



ここ何年か不猟続きであまり期待はしていなかった夏キノコ
森に癒されながらこれだけ収穫できれば十分に満足でございます!







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岩魚解禁

2022-07-18 16:50:55 | フライフィッシング
8ヶ月間治まっていた脊柱管狭窄症が再発したようである
今月に入って腰が痛みはじめ、次に右足が痺れはじめて遂に足に痛みが生じてきた
激痛で歩けなくなってしまう前に岩魚と遊んでおきたいと瑞垣の森にやって来た

午前8時半、釣り券を求めて五郎舎に立ち寄ると、今日は朝6時前から沢山の釣り人が立ち寄ったとのこと
本流も枝沢も殆どの車止めに車があって入る沢がない、仕方なく水量が少なくて魚影も薄い最上流部に入ることにした



連日の雨にもかかわらず沢に降り立ってみると水量はご覧のとおりの超渇水状態であった



しばらくロットを振ってみたけれど岩魚の反応は全くなし



諦めて別の沢に移動した、この小渓は釣りにくいためかいつもそこそこ岩魚が残っていてくれる



チビ岩魚をいくつもバラした後でようやく10センチほどの岩魚で片目が開いた、見事にフックが上顎に掛かっている



しばらく遡行すると足が痛みはじめるので岩に腰掛けて小休止、足の痛みが治まるとまた遡行の繰返し



ちょっとサイズアップ、これはフックが下顎に掛かっていて釣り名人に笑われてしまう



ちょっと平坦になったここでまた小休止、一服つけているうちに足の痛みが治まった



あの白泡とヒラキの境から、、、



19センチ弱の鼻の丸い雌岩魚、この小渓では良型の範疇に入る



ここでまた小休止して足の痛みを和らげる、何年か前たまボブさんがここでチビ岩魚を釣りあげたっけ



左側の白泡から14番のテレストリアルを流すと、、、



この日一番の美形の雄岩魚、この小渓で7寸のサイズなら尺上の満足感がある



右側の二つの石の陰から、、、



この小渓の岩魚はおしなべて柿色の腹が見事で美しい



午前11時過ぎに雨が落ちてきた
ひんやりと涼しいこの沢で昼飯を作ろうと食材とビールをザックに詰め込んできたのだけれど
ゲリラ豪雨に遭ったら川飯どころではない、早々に車に戻って頭上を木々の葉に厚く覆われた路肩に移動した



ここなら少々の雨でも濡れることはない
イスとテーブルをセットして心地よい昼寝のための山飯づくりに取り掛かろう
先ずはナスを半分炒めてから刻んだ3個のミョウガと一緒に煮込んでめんつゆを作り氷水に浸けて冷やしておく
残ったナスのショウガ焼き、ウインナとホウレンソウでビールと缶チューハイがイケる
不動滝経由で下山してきた登山者のグル-プが不思議そうにのぞき込んでは話しかけてくる

 

〆は冷やしためんつゆをぶっかけたそうめん、夏の我が家の定番が旨い!



超出遅れの解禁になったけれど涼しい小渓の岩魚は健在で満足の一日にしてもらえた
涼しい木陰でたっぷり午睡のあと、渋滞を避けて午後11時の帰宅となった

帰宅すると注文した本が届いていた



さて脊柱管狭窄症の運動療法、自力で症状を改善できるかどうか試してみようと思います。

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寒晒し蕎麦

2022-07-03 00:15:10 | 蕎麦、うどん、ラーメン
山形村の蕎麦集落には何度も足を運んでいるけれど一番人気の木鶏(もっけい)さんには初めて寄らせて頂いた
長時間並ぶのは辛いので予約の電話を入れると感じの良い若い花番さんの対応がすこぶる心地よくて好感が持てた
訪ねたのは先々週の火曜日、平日だというのに開店時間の11時30分少し前には6名の蕎麦好きが並んでいた



花番さんに案内されてカウンタ-に就くとオープンキッチンになっていて厨房が一望できる
湯がぐらぐら沸き立つ大鍋からあげた蕎麦を店主が体全体を使ってリズミカルに冷水で〆ている

メニュ-の上にさり気なく置かれた達筆な毛書、こんな心遣いがこれから頂くお蕎麦の出来を予感させる



先ずは、とりわさとノンアルコ-ルビ-ルを頂いた



辰野町の山間で飼育されたという『ぎたろう軍鶏」が美しく、とろけるように滑らかな舌触り(わさびは大王わさび農場の生わさび)



ビ-ルがなくなる頃合いを見計らったようなタイミングで緑がかった十割のもり蕎麦が供される
野辺山で収穫された玄蕎麦を寒冷地の野辺山でひと冬保管して追熟させ真空のアルミパックで保存されたものだとか。



先ずは蕎麦だけを啜って香りを楽しみ、ちょいと塩を振ってほのかな甘みを感じ、
利尻昆布と本枯節の濃いめのつゆで残りのお蕎麦を一気に啜るときりりと締った細切りの
洗練された歯ごたえと滑らかな喉越しに思わず感嘆の吐息が漏れてしまう、、、、、旨い!



もり蕎麦を頂いてほんの一呼吸の間をおいて十割の寒晒し蕎麦の大盛りが運ばれてきた
店主が時折カウンタ-の前で客と言葉を交わしながら店内を一瞥していた訳がこれで理解できた



かつて高遠藩が将軍家に献上していたというこのお蕎麦、店主の拘りでより上品に仕上げられている
蕎麦だけを何度か啜り、塩を載せてまた啜っていると如何に味音痴の僕にも香りと甘みが増していることが良くわかる
あとはこのお蕎麦の美味しさに負けて箸が止まらず、1日10食限定の貴重なお蕎麦であることも忘れて一気に手繰ってしまった(ごちそうさまでした)



ことあと、もう一軒訪ねる予定でいたのですが木鶏さんのお蕎麦の余韻を楽しみたくて何処にも寄らずに帰路につくことにした
ならばもう一杯、とろっとろのアレを頂けばよかったのにと後悔しきりでございます
(寒晒し蕎麦については以下の解説をご覧ください)






さて先々週の土曜日、カミさんが駅前の映画館に出かけた昼はこれで缶チューハイをイッパイ
麺つゆと醤油とごま油で一晩漬けこんだ大葉、納豆、冷や汁(きゅうりと大葉とみょうが)がこの季節の我が家の朝食の定番になっています
実はこの大葉が美味しくて食事制限がなければご飯が何杯でもイケちゃうのですが今はぐっと我慢の時でございます



この日はニンニク梅そうめんを作ってみました
つゆはチューブのニンニクと梅、とりがらスープ、ごま油、塩を冷水でよくかき混ぜて、冷水で〆たそうめんにかけるだけ



ごま油の香りとコク、梅の酸味が爽やかで真夏の山飯はこれで決まりでございます!
でも腰の痛みが辛くてしばらく山歩きも釣りもできそうにありません(泣)
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ブナの一生

2022-06-19 17:07:55 | 山歩き.散歩
新緑の山が気持ちよくて腰にコルセットを着けながらリハビリ山歩を続けているのだけれど
道迷いした牛奥ノ鴈ケ腹摺山から帰ってからというものコルセットを外すと腰が痛むようになってきた
今回は無理しないようにと牛の寝通りをゆっくり4時間ほど歩いてブナの森に癒された

登り始めは若いブナやミズナラに繁った若葉が眩い



巨樹の道に入ると樹齢数百年のブナの大木が目につくようになる(この2本はまだ壮年期か?)



この古木は幹に苔が繁茂し、キノコに取り付かれて樹皮から徐々に樹幹へと蝕まれてゆくのだろう



この老木は裏側が侵食されて大きな洞(うろ)ができている



この古木は幹一面に苔が繁茂し初夏にはヒラタケが鈴なりになる



雨宿りができそうなミズナラの大きな洞



鶴寝山の100mほど先にあるブナの老木
毎年鈴なりになるヒラタケに浸食されて幹の半分が枯れている



浸食された側の枝は枯れていて反対側だけが生き残っている
折れ曲がった枝を見ていると風雪に耐えながら長い時を生きてきたブナの人生を見ているような気がする



このブナの倒木はいったい何百年生きてこの山や富士を見つめてきたのだろうか?



そして苔やキノコやバクテイアによって人間の時間を遥かに超える途方もない時をかけて土に帰り次の世代を育む糧となる



その傍らではまた新しい命が産まれて営みが繰り返されてゆく
生きとし生けるものすべてが、それぞれのDNAにインプットされたプログラムに従って命を終えて行く
この森を歩いて若いブナや老木を眺めながら、そんなことを感じた一日でありました



ヒトリシズカの群生の中に珍しい4人静を見つけた
辺りを探してみると3人静や4人静をいくつも見つけることができた

 

6月になると耳障りなほどに鳴くエゾハルゼミ、ここにも短い命の循環が繰り返されているんですねえ

 

帰宅すると孫たちから父の日のプレゼントが届いていた



山登りと魚釣りに連れて行ってねと、嬉しい手紙が添えられていた!
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牛奥の頂きを二度も踏む羽目に。。。の巻

2022-06-07 00:46:01 | 山歩き.散歩
ペンションすずらんの広い駐車場に車を止めて午前5時にザックを背負った
ペンション前の甲州アルプスの標識から山に入り、一度勾配のある林道に出てから迂回路の山道へと進む

 

1時間30分後、迂回路から突然林道に飛び出すと向いに入山口の標識、ここから本格的な登山道が始まる



午前2時起きの身には蓄積疲労も相まって眠くてダルくてとんとペースが上がらない

 

目指すは日本一長い山名の牛奥ノ鴈ケ腹摺山(うしおくのがんがはらすりやま)
牛の名の付くこの山、丑年の昨年は登山者が押し寄せて大盛況だったとペンションの女将さんが話してくれた



変化に富んだ登山道の雰囲気に浸りつつ

 

牛歩の歩みでゆっくりゆっくりと進む

 

パノラマ岩の上から四周の景観を楽しむ(実は眠くてそんな余裕は殆どなかった)

 

更に登り続けてちょっとした岩場を越えると小ピーク、ここから少し下って牛奥のピークへと進む

 

小ピークを下ったポイントから牛奥の方向を望むと曇り空が広がっているというのに



いま来た道を振り返ればスカっと晴れた群青の空、この対比が面白い



この山は小ピークの下りから牛奥の頂上直下まで一面に茂る笹原に立ち枯れの木々が林立する異様な雰囲気を醸している



つづら折れの穏やかな勾配の道を立ち枯れの木々の不思議な雰囲気を眺めながらゆっくりと進む



午前9時、CTの2倍の時間を要してようやく頂きに辿り着いた
先着の登山者数名が荷を下ろしてまどろんでいる、僕は小1時間ほど眠って睡眠不足を補うことにした
ここは山の三叉路になっていて北に進めば小金沢山から大菩薩嶺へ、南は黒岳から湯の沢峠へ、西は僕が辿ったペンションへの道

 
 

午前10時、目が覚めると雲が一瞬だけ切れて南の方向に富士の頂きが少しだけ頭をのぞかせていた
南に進む登山道から富士に向けてシャッタ-を切ったあと、方角を確かめもせずにそのまま下山、これが間違いの始まりであった



南への下山路を進みながら微かな違和感を感じていない訳ではなかった
一直線に下る下山路は往路に比べて遥かに勾配がきつい
しかも下り終えて振り返れば笹原に林立していた筈の立ち枯れの木々が見えない

 

小ピークへの登り返しが往路に比べて長い、小ピークにあった筈の岩場がない
往路になかった筈のミツバツツジの花を疑いもせず喜々としてシャッタ-を切った
道迷いに気づくチャンスは何度もあった、なのに思い込みが強くて違和感をスル-してしまったようである



更に進むと黒岳~湯の沢峠への標識と現在地『川胡桃の頭』の標識、ここで初めて違和感が確信に変わった
冷静になるために一服つけて山地図を広げると南の湯の沢峠への道を辿っていることがはっきりした
元来た道に戻るにはもう一度牛奥のピークに登り返すしかない、自分の愚かさに全身から力が抜けていく
午前11時、時間に余裕があるからいいものの、これが日暮れ時ならどうしたものだろうか?
気力を振り絞って笹原の直登を登り詰めてピークに登り返し、ようやく西への下山路へと踏み込んだ
帰路バノラマ岩から大菩薩湖が見えたときにはほっと安堵のため息がついて出た



午後2時、ペンションに辿り着き、誰もいない清潔なお風呂で汗を流してから個室で3時間ほど仮眠をとった後の夕食
昼食を摂るのも忘れた空腹に強めのクラフトビ-ルが沁みる~!
とりわけ田舎育ちの僕には適度な味付けの山菜の常備菜4品と小かぶの浅漬けが懐かしい
さくっと揚がった山菜の天ぷら、90歳になるオ-ナ-のお母さん手作りの虹鱒の甘露煮も薄味でしっとりほろりと嬉しい
最後に頂いたタラの芽ご飯は仄かに薫るバタ-の風味が口中を撫でる初めての味わいに舌鼓を打った



疲れているときには、布団に入って足を延ばし長い溜息をつく瞬間に一番の幸せを感じる
2本のクラフトビ-ルのお蔭で午後7時から12時間たっぷり熟睡して疲れが癒えて朝食も美味しく頂いた



激しい筋肉痛という代償は払ったけれど道迷いという愚かにして貴重な体験をした牛奥ノ鴈ケ腹摺山の一日でございました
皆さんは、よもやこんなミスを犯すことはないでしょうが山ではくれぐれも慎重に行動したいものでございます
そして万一のビバ-クに備えて軽量のシェルタ-とビビィ、予備の水と食糧と酒は必ず携行したいものでございます。






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山菜シーズン終焉

2022-05-30 00:33:52 | 自然薯 山菜
5月29日大安、締切り期限ぎりぎりの超過密スケジュ-ルの業務がすべて完結した
動悸が起きるほどの緊張の連続から解き放たれると一気に倦怠感に襲われて腑抜け状態に陥る
せめて1日だけでも眠り続ければ疲れが取れるのに山に癒されたい衝動に駆られる山屋の習性が悲しい

午前6時、3週間前に野宿した厳道峠



左に進めばムギチロ~入道丸へ、右に進めば道志の赤鞍ケ岳に至る

 

初っ端から始まる針葉樹林の急登を15分耐えれば尾根道に辿り着く



ここからムギチロまでは広葉樹の穏やかな尾根道に癒されながら快適に進む



3週間も外界と隔絶されていると花や木々の緑が感動するほどに眩しい

 



CTに少し遅れてムギチロ、ここは数年前に綱子峠を経由して歩いたことのある懐かしいポイント
平野峠への道を少し進むと谷底に身を投じるような急降下、帰路の急登を思うと気力が萎えて潔く引き返した

 



午前9時半過ぎ、フライロッドを携えて岩魚を釣りながら山菜を摘もう、同じ山梨でも場所を移すと雰囲気はこんなにも変化する



岩魚の気配むんむんなのに疲労のためか釣欲が湧かず最後までロッドを繋ぐことはなかった



小1時間ほど小渓を遡行しながら山菜を摘んだ、左から時計周りにミツバ、ミズ、シドケ



左上のシドケのお浸しは麺つゆで、右上の三つ葉のお浸しは醤油で(卵と炒めても美味しい)
ミズは葉を取り除き皮を剥いて塩昆布を和えて揉めば15分ほどで美味しい酒肴が出来上がる



今年最後の山菜をツマミにビールが旨い!
〆は韓国風そうめん、暑い日には氷水で割ったキムチ鍋の素に酢を加えた冷たいスープが旨い
トッピングのキムチと煮玉子とスライスしたきゅうりでビールがもう一杯イケちゃう

 

今年は適期を逸して伸びすぎたハリギリに笑われた
代わりに小さな山椒の木を持ち帰って鉢に植えた

 

3週間前に摘んだ山椒の若芽でこしらえてもらったニシンの山椒漬け
沢山作って常備食にすれば酒のアテにご飯の伴に美味しく頂けます



ほんの2時間ほどの山歩きなのに体を動かした疲労感が心地よい
梅雨入り間近、雨はしっかり降って欲しいけれど週末だけは晴れて欲しいものでございます!
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新緑の山

2022-05-08 11:37:43 | 自然薯 山菜
今年のGWは事務所を10日間お休みにしたのだけれど5月は1年のうちで2番目に忙しい
僕はひとり前半の6日間を仕事の時間に充てて5日~6日の2日間を休みにして新緑の山を歩くことができた

午後から秋山村の山に入ってタラの芽を探すも一番芽は殆ど摘まれていた
阿寺沢の最源流に場所を移してひんやりと涼しい細流の斜面を探すと食べごろのタラの芽と独活が残っていた
タラの芽は持ち帰って天ぷらに、たっぷりの山椒の若芽はニシンの山椒漬けにしてもらって珍味の酒肴を楽しめる

 
 

峠道の途中の路肩で早めの夕食にした、あの山の右手に今夜天泊する峠がある



味噌で味わう生の独活も、一味を振ったキンピラも独活独特の香りを楽しみながらの酒が旨い
〆は独活をたっぷり具に加えた大盛りのペペロンチ-ノ、摘みたての独活尽くしの口福感に浸りながらひと眠りした

 


午後7時前、夜の帳が下りた秋山村と道志村を結ぶ厳道峠、今夜はここでテントを張って一夜を過ごそう
芝生を敷き詰めたような峠の緑の平には先着のテントがひと張り、若者がヘッデンを灯して夕食を楽しんでいた



挨拶を交わして若者の隣にテントを張って独活のキンピラと白州の水割りをお裾分けしながら話を聞くと
今日は富岡~阿夫利山~金波美峠~厳道峠を、明日は赤鞍ケ岳~朝日山~菜畑山を縦走して道志に下り紅椿の湯に投宿すると言う
お若いのになぜに地味な山域の縦走をと問いかけると、人の少ない静かな山歩きが好きなのでと僕後好みの嬉しい言葉を返してもらえた




翌朝、若者と別れの挨拶を交わして、さて今日歩く山をどこにしようか?
特に当てはない根無し草の旅だけれどふと新緑のブナの森を歩いてみたくなった



松姫峠を午前8時過ぎに歩き始めて45分も費やして鶴寝山、雪の残る富士を眺めながらの一服が旨い



大菩薩に向かって狩場あたりまで歩いてみようか?



眩いブナの新緑の開放感が実に心地よい、見慣れた風景だけれど来てよかったとつくづく感じさせてもらえた



CTを1時間も遅れて狩場を折り返しここで昼飯にしようか



ビ-ルのアテにと独活を調理していると介山荘に泊まるという同年輩の方が通りかかって『おっ、独活ですな』とのぞき込んできた
独活が大好物だというので残っていた1本をお裾分けすると『なんと天然物ではないですか』と大層喜んでくれて
お返しにと昨日小管で買ったという行者ニンニクを2本、さっそくお浸しにしてビールのアテとラーメンの具にして美味しく頂いた
今回はこんな出会いが二度もあって思わず頬がゆるんでしまう

 

行きも帰りもブナとミズナラの新緑に癒されながらの幸せな時間を過ごすことができた

 

ただし70歳なりの決定的な課題も突き付けられた
松姫峠~狩場までの往復に6時間を費やしてしまった
昨年までなら昼食時間を挟んでも4時間半で歩けたものをと愕然となった
これはもう本気でトレーニングしないと黒部の釣りも長い山旅も夢に終わってしまいそうである(悲)
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