ジョエル&イーサン・コーエン監督、『ノーカントリー』、5/5、イオンシネマ佐賀大和にて鑑賞。2008年21本目。
個人的にこういった映画は好きではありません。
暴力的な映画が、という意味でなく、不条理な映画が、という意味ですが。
後味の悪い映画もやはり好きじゃないです。自分にとって映画は基本的に娯楽ですから。後味が悪いのは現実だけで充分です。
それがなぜ今回この映画を観に行ったかというと、ある友人と『ノーカントリー』が公開されたら観に行く、と約束したからです。
自分にとって約束というのはそれだけ重いんですよね。
例え約束を交わした相手が永遠に喪われたとしても。
いや、永遠に喪われてしまったからこそかもしれません。
一言でいうとやっぱり不条理な映画でした。
まず、ハビエル・パルデム演じる殺し屋シガーの行動規範がまったくもってわからない。
雑貨屋のオヤジを言葉で散々いたぶり、自ら雇い主の命令に背いておきながら追っ手を差し向けられるとその雇い主をも殺し、モーテルの管理人を殺し、たまたま標的のそば居合わせた人を殺し、行く先々で自分の思うまま散々人を殺しておきながらなぜ200万ドルに執着するのか。
それだけやりたい放題やってるなら、お金なんて一ドルだって必要ないじゃん、といいたくなります。
また、本作にはストーリーと呼べるものがない。
いや、あるでしょ、麻薬ギャングが銃撃戦の末に共倒れした現場から主人公モスが200万ドルを持ち去り、そのせいで異常な殺し屋シガーから狙われる羽目になり、また保安官ベルはさらなる惨劇を防ごうとして、とか何とかいう人もいるかもしれません。
いやいやいや。
それをストーリーと呼ぶのであれば、モスとシガーの間で何らかの決着がつかなければおかしいし、ベルが結局ボヤくこと以外何もしてないのも問題だし、200万ドルが最終的にどうなったかもきちんと描かれなければならないでしょう。
言い換えれば、本作に置いてストーリーは三流のホラー映画程度にしか存在していない。
何だか散々こき下ろしているようですが、殺し屋シガーの行動規範が理解出来ないのも、ストーリーがおざなり程度にしか存在しないのも、いうまでもなくそれらは狙って、のことなんですよね(そこら辺が三流のホラー映画とは違う。笑。)。
なぜなら現実というものは大概不条理であるから。世界は一見理解出来るようでいて、その実理解不能なものだから。死は突然降りかかってくるものだから。
結局作り手が訴えたかったことはそういうことなのだと思うし、であれば、その狙いは完璧に果たされている、と思います。
映画を単なる娯楽と考える人には到底薦められませんが、そうでない人には本作を鑑賞することは現実の不条理さ、不可解さ、残酷さを再確認する、よい機会かもしれません。
お気に入り度は★★☆、お薦め度は★★★(★は五つで満点、☆は★の半分)です。
次回鑑賞は『ミスト』(5/10公開)の予定です。
個人的にこういった映画は好きではありません。
暴力的な映画が、という意味でなく、不条理な映画が、という意味ですが。
後味の悪い映画もやはり好きじゃないです。自分にとって映画は基本的に娯楽ですから。後味が悪いのは現実だけで充分です。
それがなぜ今回この映画を観に行ったかというと、ある友人と『ノーカントリー』が公開されたら観に行く、と約束したからです。
自分にとって約束というのはそれだけ重いんですよね。
例え約束を交わした相手が永遠に喪われたとしても。
いや、永遠に喪われてしまったからこそかもしれません。
一言でいうとやっぱり不条理な映画でした。
まず、ハビエル・パルデム演じる殺し屋シガーの行動規範がまったくもってわからない。
雑貨屋のオヤジを言葉で散々いたぶり、自ら雇い主の命令に背いておきながら追っ手を差し向けられるとその雇い主をも殺し、モーテルの管理人を殺し、たまたま標的のそば居合わせた人を殺し、行く先々で自分の思うまま散々人を殺しておきながらなぜ200万ドルに執着するのか。
それだけやりたい放題やってるなら、お金なんて一ドルだって必要ないじゃん、といいたくなります。
また、本作にはストーリーと呼べるものがない。
いや、あるでしょ、麻薬ギャングが銃撃戦の末に共倒れした現場から主人公モスが200万ドルを持ち去り、そのせいで異常な殺し屋シガーから狙われる羽目になり、また保安官ベルはさらなる惨劇を防ごうとして、とか何とかいう人もいるかもしれません。
いやいやいや。
それをストーリーと呼ぶのであれば、モスとシガーの間で何らかの決着がつかなければおかしいし、ベルが結局ボヤくこと以外何もしてないのも問題だし、200万ドルが最終的にどうなったかもきちんと描かれなければならないでしょう。
言い換えれば、本作に置いてストーリーは三流のホラー映画程度にしか存在していない。
何だか散々こき下ろしているようですが、殺し屋シガーの行動規範が理解出来ないのも、ストーリーがおざなり程度にしか存在しないのも、いうまでもなくそれらは狙って、のことなんですよね(そこら辺が三流のホラー映画とは違う。笑。)。
なぜなら現実というものは大概不条理であるから。世界は一見理解出来るようでいて、その実理解不能なものだから。死は突然降りかかってくるものだから。
結局作り手が訴えたかったことはそういうことなのだと思うし、であれば、その狙いは完璧に果たされている、と思います。
映画を単なる娯楽と考える人には到底薦められませんが、そうでない人には本作を鑑賞することは現実の不条理さ、不可解さ、残酷さを再確認する、よい機会かもしれません。
お気に入り度は★★☆、お薦め度は★★★(★は五つで満点、☆は★の半分)です。
次回鑑賞は『ミスト』(5/10公開)の予定です。
そうですそうです。
自分もそう思います。
導入部にちょこっとそれらしいものはあっても後はもう物語といえるものはこの作品にはないですよね。
主人公モスと殺し屋シガーとの手に汗握る死闘みたいなものを期待して観ていた人には肩透かしの作品でしょうね。
>なにげない日常が、何の前触れもなく一気に地獄に変わる瞬間って、誰もがいつかは経験することだと思います。
そうかもしれないですねぇ。
あまりそのときのことを想像しても仕方ないので、せいぜい今を精一杯楽しむことにします。
予測できることなんてコレっぽっちもない人生で、その小さなきっかけが生む「死の運命」に翻弄される人々。
人生って、まさにこんなもんだよなーって思いましたね。
なにげない日常が、何の前触れもなく一気に地獄に変わる瞬間って、誰もがいつかは経験することだと思います。
>shit_headさん
現実は不条理で、死は究極の不条理であるというのがこの映画のテーマであるとしたら、それはすごく成功してると思います。
映画紹介などでは殺し屋シガーの異常性ばかりが取り沙汰されているようですが、実際のところ彼も単なる登場人物の一人に過ぎないと思いました。結局彼もまた不条理な最後を迎えますから。
DVDで観なければならない、というのが泣けますね。
この映画を劇場で観れないというのがshit_headさんにとっての最大の不条理ですね。笑。
>Eさん
ご無沙汰しています、Eさん。
ryoddaさんが本作を鑑賞していればもっと気合の入ったレビューを書いていたと思いますが、自分だとどうしても腑抜けたレビューになってしまいます。
それでも自分にはryoddaさんを弔うにはこのやり方しか思いつかないので、腑抜けたレビューだなぁと情けなく思いつつも、それでも精一杯書きました。
夏にはシャマラン監督の『ハプニング』も観に行くつもりです。
「死」がその究極なんだとこの映画は言いたいのでしょうか?
フツーに生活してたら、突然どっかのサイコ野郎にブッコロされて、そんで人生おしまい、チャンチャン。ってな感じで。
だからこそ、もっとこー、肩張らずに、気楽にさー、リラックスして生きましょうって思いますよね。
いつクタばるかわからんのだから、小さいなことにクヨクヨしたってシャーないし。
仮に誰かにブッコロされても、それって基本的に自分のせいじゃないから、そこは気持ち的に楽といえば楽ですよね。
絶対観ますよ。
DVDで。