この世界の憂鬱と気紛れ

タイトルに深い意味はありません。スガシカオの歌に似たようなフレーズがあったかな。日々の雑事と趣味と偏見のブログです。

イケメンではないがタダモノでもない又吉直樹著『第2図書係補佐』。

2012-01-16 22:06:54 | 読書
 某朝のバラエティ番組で、って番組名を伏せることもないんですが、『目覚ましテレビ』の特集コーナーで「雰囲気イケメン」のことが取り上げられてました。
 雰囲気イケメンとは外見ではなく、その雰囲気がイケてる男子のことらしいです。
 ぶっちゃけ、よくわかりませんが。

 その中のインタビューで、「雰囲気イケメン」の芸能人は誰かと聞かれて、ピースの又吉直樹の名前を挙げている女性がいました。
 又吉直樹が雰囲気イケメン?
 んなわけあるか、ボケ!!!
 雰囲気だろうが噴霧器だろうが、イケメンのわけがねぇ!!!!

 と、口を尖らす必要はないんですが。笑。
 又吉直樹が雰囲気イケメンかどうかは定かではありませんが、彼がタダモノではないということがわかるのが彼の初めての著書『第2図書係補佐』です。

 以前、音楽鑑賞が趣味という女の子と話す機会があって、どんなジャンルを聞くのか尋ねたところ、「何でも聴く」と彼女は答えました。
 そっか、何でも聴くんだと思って「北島三郎は聴くの?」と尋ねたところ、「聴かないけど」という答え。「さだまさしは?」「聴かないけど」「美空ひばりは?」「聴かないけど」「○○は?」「聴かない」「△△は?」「聴かない」「XXは?」「聴かない」…。最後には何も答えてくれなくなりましたけどね。笑。
 つまりその子は「何でも聴く」と答えた割には、「何でも聴く」というわけでは全然なかった、ってことです(そりゃそーだ)。

 しかし、この『第2図書係補佐』を読むと、コイツは何でも読むのではないか?と思わずにはいられません。
 この本で取り上げられている本を挙げると、『尾崎放哉全句集』(尾崎放哉著)、『万延元年のフットボール』(大江健三郎著)、『香水 ある人殺しの物語』(パトリック・ジュースキント著)、『イニシエーション・ラブ』(乾くるみ著)、『コインロッカー・ベイビーズ』(村上龍著)、『変身』(フランツ・カフカ著)、『キッチン』(吉本ばなな著)etc。
 ほとんどジャンル分け不可能な、それでいてセンスの良さを感じさせる古今東西の名著が50作、目次にそのタイトルが並んでいます。

 小説が取り上げられているなら、書評なのだな、と思われる方もいるかもしれませんが、それが違うのです。
 書評ではなく、その小説、その作品が、自分の人生の中でどう関わってきたか、というエピソード本なんですよ。
 一つ一つのエピソードが、これがもう、芸能人の著作というレヴェルを遥かに越えて、めちゃめちゃ面白い!!
 それどころか、2012年にこれより面白い本に出会うことは果たしてあるんだろうか?と思えるぐらいに面白い。
 読書が趣味って人は必読の一冊です。
 又吉直樹、タダモノではないです。
 イケメンでもないですけどね!笑。
コメント (4)
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