神棚に封印

一昨日の日曜日、名古屋ウィメンズマラソンがおこなわれた。
この大会でワンチャンスをものにして、ロンドンオリンピック出場にか
ける一人の女性ランナーがいた。その人こそアテネ五輪金メダリストの
野口みずきだ。
実に４年４ヶ月ぶりに走るレース。スタート直後はものすごい勢いで先
頭に立ったが、１７キロを過ぎた頃から送れはじめ徐々に後退した。
しかし、１５０ｍも離されながら驚異の粘り腰で追いかけ２７キロ付近
で、先頭集団を追い越してふたたびトップに躍り出た。だが３４キロで
ふたたび遅れはじめ、最後は６位に終わった。
悔しさのためか、ゴール後は顔を両手で覆いながら大声で号泣した。
しばらくして野口は「１７キロで遅れはじめた頃は左ひざが抜けるよう
な感じだった。『焦らない、焦らない』と自分に言い聞かせていたら、
足が戻ってくれた。２７キロの追いつくところで足を使ったので勝負ま
でいかなかった。でも、これが引退レースじゃない・・・」
アテネで金メダルを取ったときは２５歳の若さだった。金メダルを取る
には体力が一番必要だが、練習量、精神力、運、当日の体調などすべて
が整わなければできないことだ。あれから８年が過ぎ、現在は３３歳の
ベテランになった。夢だけを大きく膨らませても、現実的には色々な面
で無理があったようだ。夢をふたたびとの思いが強ければ、自分を苦し
めることになるだろう。金メダルのことは神棚に封印して、これからの
マラソン人生、肩の力を抜いておおいに楽しんでもらいたい。

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