ブログ 「ごまめの歯軋り」

読書子のための、政治・経済・社会・文化・科学・生命の議論の場

読書ノート 安西祐一郎著 「心と脳-認知科学入門」 岩波新書

2012年07月21日 | 書評
心のはたらきを情報科学の目から見ると 第2回

序(2)
 著者である安西祐一郎氏のプロフィールを紹介する。安西 祐一郎氏は財界及び学会の名門安西家の一族で、親族には慶応義塾関係者が多い。1946年(昭和21年)生まれ、カーネギ・メロン大学から北海道大学を経て、慶應義塾大学理工学部教授、2001-2009年慶應義塾長を2期務める。2011年9月16日、独立行政法人日本学術振興会理事長に内定した。専攻は情報科学・認知科学。主な著書には、『問題解決の心理学 ― 人間の時代への発想』(中公新書、1985年) 、『知識と表象 ? 人工知能と認知心理学への序説』(産業図書、1986年) 、「認知科学と人工知能 計算機科学/ソフトウェア技術講座 17 」共立出版 1987.11 、「認識と学習 岩波講座ソフトウェア科学 16」 岩波書店 1989.2 、『未来を先導する大学 ― 慶應義塾長、世界の学長と語る』(慶應義塾大学出版会、2004) などがある。NHK会長人事をめぐるいきさつが話題となった。2010年12月29日NHK経営委員会は後任の人選を進め、その過程で安西に次期会長就任を打診、安西はこれに内諾したが、安西が会長交際費の有無について照会を行ったことについて、経営委員会内部で安西に対する不信が生じ、2011年1月には経営委員会が打診を撤回し、安西氏はNHKの不明瞭な体質に抗議文を発表した。このいきさつは安西祐一郎オフィシャルブログに発表された。
私は心と脳のはたらきについて、雑多ないろいろな本を読んできた。茂木健一郎氏の著作が多いが、参考までに下に列記する。
養老孟司著 「唯脳論」(ちくま学芸文庫)
養老孟司著 「脳の見方」(ちくま学芸文庫)
茂木健一郎著 「脳と仮想」(ちくま学芸文庫)
茂木健一郎著 「意識とはなにか」 (ちくま学芸文庫)
茂木健一郎著 「脳整理法」(ちくま学芸文庫)
茂木健一郎著 「脳の中の人生」(ちくま学芸文庫)
澤口俊之著 「あぶない脳」(ちくま新書)
酒井邦嘉著 「言語の脳科学」(中公新書)
山鳥重著 「わかるとはどういうことかー認識の脳科学」(ちくま新書)
茂木健一郎著  「脳と創造性ーこの私というクオリアへ」(PHP新書)
茂木健一郎著 「クオリア入門(心が脳を感じるとき)」(ちくま学芸文庫)
有田秀穂著 「セロトニン欠乏脳」(NHK生活人新書)
川島隆太+安達忠夫 「脳と音読」(講談社現代新書)
茂木健一郎著 「すべては音楽から生まれるー脳とシューベルト」(PHP新書)
茂木健一郎著 「欲望する脳」(集英社新書)
(つづく)

環境書評 守田優 著「地下水は語るー見えない資源の危機」 岩波新書

2012年07月21日 | 漢詩・自由詩
地下水の枯渇、地盤沈下の実態を土木工学が解き明かす 第4回

序(4)
 アメリカのグレートプレーンズ(サウスダコダ州からテキサス州にわたる七州に渡る広大な地帯)はかって半乾燥地帯であった、それが1940年代に肥沃な穀倉地帯に変わった。それはスプリンクラー灌漑システムによって地下水を汲み上げて農地に散水することが出来たためである。この地帯の地下にはオガララ帯水層という巨大な地下水脈が存在する。アメリカの全灌漑面積の実に27%に相当した。長年の大量の水の汲み上げにより地下水位が低下し、平均70メートルあったがこの半世紀で地下水は30メートル低下した。アメリカの農業生産を支える地下水の危機は、カルフォニア州の農業生産も同様な運命にある。地下水を過剰に汲み上げると地盤低下が生じる。日本では高度経済成長期の工場用水として大量に利用した結果、1960-1970年代に地盤沈下という典型的な公害問題を引き起こした。世界的な人口増加の圧力は、農業用水の需要を押し上げ、生活用水や工業用水を逼迫させた。日本では農業用水は主として河川水に頼っていたが、都市人口増加による上水道源として、また水利権の制約のない工業用水として地下水に注目が集まり、大量の地下水汲み上げが始まった。地盤低下・海抜0メートル地帯の深刻な事態によって地下水汲み上げは多くの都市で規制された。高度経済成長期のような過剰な地下水汲み上げは過去のものとなったが、2011年度で生活用水と工業用水の25%は地下水に依存している。世界では人口の25%以上が飲料水を地下水に依存している。地下水の枯渇によって、地下水が抜けた地層の地盤縮小は進行しなくなり、地盤低下はほぼ沈静化したように見えるが、地下水位はなお広域的に低下し続けている。さらに地下水の汚染の脅威も消えていない。本書は古典的な地盤低下を歴史的に振り返り、湧水枯渇、そして地下水汚染と地下構造物の問題を取り上げる。そして地下水利用の社会制度として「私水論」と「公共の水論」を議論する。
(つづく)

筑波子 月次絶句集 「雨 乞」

2012年07月21日 | 漢詩・自由詩
赤帝消金日正中     赤帝金を消す 日は正に中なり

旱雲飛火起炎風     旱雲火を飛し 炎風起る

蒼蝿擾擾如雷鼓     蒼蝿擾擾と 雷鼓の如く
 
欲雨農翁祈社公     雨を欲し農翁 社公に祈る


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(韻:一東 七言絶句仄起式  平音は○、仄音は●、韻は◎)
(平仄規則は2・4不同、2・6対、1・3・5不論、4字目孤平不許、下三連不許、同字相侵)