ブログ 「ごまめの歯軋り」

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「文語訳 旧訳聖書 Ⅱ 歴史」 岩波文庫

2020年03月30日 | 書評
筑西市延命寺 垂れ桜

イスラエル民族はカナンの地でダビデ・ソロモンのもと統一国家を形成し、後南北王国に分裂しアッシリアに滅ぼされバビロンの幽囚となる時代の歴史12書

2) 「文語訳旧約聖書 Ⅱ 歴史」(岩波文庫2015年)(その11)

2-3) ルツ記 (その1)

ルツ記は全4章(岩波文庫で7頁)である。ベツレヘムに住んでいたナオミと夫、そして二人の息子は飢饉により異郷のモアブに移住した。息子らはモアブの女性と結婚したが、二人の息子は早く亡くなったので、ナオミは嫁を連れて夫の親戚の家に居候することになりベツレヘムに帰ったが、嫁のうちルツだけが一行に従った。ルツは夫の親戚ポアズの家の麦畑の刈り入れ後の落ち穂拾いで生計を支えた。ボアズは落ち穂を多くするように手配して彼らを助けた。やがてポアズとルツは結婚し男子オベデが生まれ、オベデの子がエッサイ、エッサイの子がダビデである。ダビデの系図に関わる話である。「落穂拾い」による困窮者救済策はレビ記第19章に書かれているように、貧しい人たちのために一部を残すことが述べられている。また申命記第24章でも孤児と寡婦を救済するのは社会福祉の始まりのような話があった。この話を題材にしたミレーの「落穂拾い」が描かれたという。
第1章: 士師の時代に、国に飢饉が起こりべテレへムユダのエフテラ人エリメレクという人べテレムユダを去り、妻ナオミと二人の男子を率きつれモアブの地に寄寓した。二人の息子の名はマロン、キリオンである。そこの地で夫エリメレクはなくなり、ナオミと息子二人とモアブ人の嫁が残された。嫁の名はオルバ、ルツというが、10年間そこに住むうちに二人の息子も亡くなり、ナオミは嫁をモアブに置いて自分だけでユダの地に帰らんとしたが、ルツという嫁だけはナオミについてユダに移住した。二人は麦刈りの季節にべテレへムに入った。
第2章: ナオミは、故人の夫エリメレクの縁者でその地の実力者ボアズという人の家の近くに住んだ。そこでルツは田において麦刈りの人の後ろに従い穂を拾ってナオミの生活を支えた。ポアズはこれを見て刈り取り作業の監督者にあの婦は誰かと問うたところ、監者はナオミの連れてきたモアブの女で、刈る者の後ろに従って田に落ちた穂を拾っていいかと許可を求めたので許したと答えた。その婦は一日中休みなく働いたという。ポアズはルツに言った。他の田にゆかずここにいなさいと、そしてエホバにこの婦に幸いあれと祈った。刈り入れの若者には、婦に恥をかかせてはいけない、穂を故意に落として婦に拾わせるようにしなさいと命じた。
第3章: ナオミはルツに、私はあなたに落ち着く場所を見つけ幸せな生活を送れるようにしたい。ポアズさんは夫の縁者です。今日大麦の脱穀作業後の飲み食いが終るの待ち、衣服を着替えて体に油を塗ってポアズの室に行きなさいと言った。ポアズは驚いた風に、エホバの恩典があなたにありますように、町の人はあなたが賢い人であることを知っている。今夜のことは誰にも話してはいけないと言って、翌朝彼女に大麦6升を与えた。ルツは帰ってナオミに報告した。ナオミはルツに座して待ちなさいといった。
第4章: ポアズが門の前で座って売買人の来るのを待っていると、土地の売買人がやってきたのでポアズは邑の長老10人を招いて裁定を願った。ポアズは,モアブの地から還ってきたナオミが我らの兄弟エリメレクの土地を売るという、汝が買うか私が買った方がいいのかと問うた。売買人は亡くなった人の土地を買うということはその妻ルツをも買うということであり、それはできないのであなたが買うべきであるといった。ポアズは長老に向かって、今日の証人になってください、私がエリメレクの土地を買うということは息子の妻ルツを買い妻としエリメレクの名を残すことです。こうしてポアズはルツを娶りて妻とした。土地の婦人たちはエホバを褒め讃えた。ルツは7人子供を生んだ。ナオミがその長子の養育者となった。その名はオベデ、ダビデの父なるエッサイの父である。その系譜は、ペレズ→ヘズロン→ラム→アミナダブ→ナション→サルモン→ポアズ→オベデ→エッサイ→ダビデとなる。
(つづく)