ブログ 「ごまめの歯軋り」

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文語訳 旧訳聖書 Ⅰ 律法(モーゼ五書)岩波文庫

2020年03月19日 | 書評
鬼怒川の夕日(v.2) 2019年12月4日 午後4時23分

旧約聖書全39書のうち律法は、モーゼ五書(創世記、出エジプト記、レビ記、民数記、申命記)を収める  第44回

2) 「文語訳旧約聖書 Ⅰ 律法」(岩波文庫2015)

2-5) 申命記  (その7)


第31章: この章では預言者モーゼからヨシュアへ交代することことが述べられている。モーゼすでに120歳を超え、ヨルダン川東の新天地へ移ることが困難となった。エホバがかって述べたように、新指導者ヨシュアが民を率いてヨルダン川を渡ることになった。モーゼはヨシュアに向かって一切のイスラエルの民の前にてこう宣言した。ヨシュアよこの民とともに往け、昔エホバが約束した地に入れ、心を強くしてその地を獲得せよと。モーゼはエホバの契約の函をレビの子孫たる祭司および長老たちに授けた。7年の末年すなわち結茅の節において、イスラエルのすべての民の前でこの律法を読み聞かせよ。エホバはモーゼに告げ、お前の死ぬときは近づいている、集会の幕屋の前にヨシュアと共に立て、彼に命じることがあると。集会の幕屋に立つと雲の柱になかにエホバが顕れ、モーゼに言った。汝は先祖と共に眠るだろう、イスラエルの民は他の神々を慕い、我を棄てて我と結んだ契約を破るだろう。エホバがいう歌を書き記してイスラエルの子孫に伝えよ、歌を口に念じてイスラエルの子孫に向かって我の証しとせよ。(詩歌、お経、御詠歌の類)艱難が汝らに臨むときはこの歌は彼らの証しとなろう。またエホバはヨシュアに命じて言った。イスラエルの子孫を約束の地に導いたので心を強くしてがんばれ、私は汝と共に居る。モーゼはレビ人の祭司に、この律法の言葉を書に漏らさず書いたので契約の箱の横に置いて証しをなす者とする。イスラエルの民はわからずやが多いので私が生きている時も汝らはエホバに反抗した。私が死んだあとはなおさら悪しきことをなし、私が命じた道を踏み外す事だろう。災害が臨んだときそれは汝らがエホバの言ったことに反する行為をしたからである。こうしてモーゼはイスラエルの全会衆にこの歌を語り聞かせた。
第32章: この章はエホバの歌です。全文は結構長い(4頁ほど)。「天よ耳を傾けよ我語らん、地よ我が口の言葉を聞け、我が教えは雨の降るごとし、我が言葉は露のおくがごとし、・・・・エホバその僕の血のために返報をなし、その敵に仇を返し、その地とその民の汚穢れをのぞき給へばなり」 全文は詩歌であるので読んで味わっていただくしかない、モーゼはヨシュアとともにこの歌を民に聞かせた。モーゼは、今日汝らに証しの一切の言葉を汝の心に蔵め、子孫にこの律法の言葉を守り行うことを命じるべし。この言葉は汝らの命なり。ヨルダン川を渡ってその地で汝らの生命を永くすることができる。モーゼはエホバが言う通り、モアブの地アバリム山に登り、ネボ山からカナンの地を見渡した。アロンがホル山でなくなりその民に連なったように、モーゼはアバリム山でなくなった。
第33章: 神の人預言者モーゼはその死ぬ前にイスラエルの子孫を祝う言葉を遺した。エホバはシナイから来たりてパランの山より光を放って現れた。右手には輝ける火があった。モーゼはイスラエルのすべての支派の首領たちに向かって祝福した。ユダ、レビ、ベニヤミン、ヨセフ、エフライム、ゼブルン、イッサカル、ガド、ダン、ナフタリ、アセル、エシユルンの12支派に黙示録のような祝いの預言を与えた。
第34章: モーゼ、モアブの平野よりネボ山に登り、エリコに対するピスガの嶺に至り、ギレアデの全地をダンまで見渡し、ナフタリの全土、エフライムとマセナ、ユダの地を西の海まで見て、南はエリコの谷をゾアンまで見た。そこでエホバは我がアブラハム、イサク、ヤコブに約束した地はこれだ。汝の目には見せたが汝は行くことはできない。こうしてエホバの僕モーゼはモアブの地で亡くなった。モアブの谷に葬られた。時にモーゼ120歳、喪の期間は30日あまりであった。ヌンの子ユシュアは智慧のある者で、モーゼの後継者となった。イスラエルの中には、後モーゼのような預言者は起こらなかった。モーゼは神エホバと面を会わせて知る者であった。

(申命記 終わり)(旧約聖書第1巻 律法 終わり)