天の声
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/26/2b/e19fa073938717e777d5537558052339.jpg)
山川秀峰 「汐汲」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1b/5d/63e6b0f7421f5be289090b511011e12f.jpg)
同 「序の舞」
山川秀峰は明治31年京都に生まれ、鏑木清方と池上秀畝に師事。秀畝に花鳥画を、清方に美人画を学んでおり、伊東深水、寺島紫明と共に、清方門下三羽烏と呼ばれた。昭和14年(1939年)、伊東深水たちと共に青衿会を設立、美人画家として活動している。版画の作品は少ないが、気品のある美人画を残した。代表作に「素踊」、「序の舞」、「羽根の禿」などが挙げられる。木版画になったものでは「舞踊シリーズ」があり、そのうち、「さらし女」の構図が卓抜で印象的である。他には「赤い襟」、「東京駅」、「信濃路の女」なども優れている。昭和19年(1944年)12月29日没。47歳。門人に志村立美がいる。「きいちのぬりえ」で有名な蔦谷喜一は山川秀峰に憧れて画家となった。(Wiki)
没後50年経過したので掲載させていただいた。まことに端正な作品を描く画家である。私はこの画家の名前を聞くとすぐ「序の舞」を思い出す。上村松園の「序の舞」と比較して見て、あまりの違いに驚いているのである。どちらも好きな作品ではあるが。日本画の伝統的様式美を素直に感じることができる。
勤務の日、私は、何かに導かれるようにご縁美術館に行きました。あそこで何か出来事が起こっているという予感がしたのです。美術館に入ると、事務員が、ああ、畝本さんお久しぶりですね、と言ってくれて嬉しくなりました。坂本館長も笑顔で迎えてくれました。しかし、何か雰囲気がいつもと違うので、展示室を覗いてみてびっくりしました。舞台衣装がずらりと並んでいたのです。
坂本さん、これは・・・。
ええ、私も作品がたくさん持ち込まれたときは驚きました。全部里見多歌さんの作品です。すごい意欲です。今度の出し物、二人の阿国の物語を衣装で知ることができます。
圧巻ですね。・・・こういう衣装を見ていると、今度の事件が一層悔やまれます。
里見多歌さんも気にしておられるようです。
オーナーもでしょうね。
もちろんだと思います。その点は、三朗君がよく知っていることと思います。
三朗からこの前話を聞きました。全面戦争とか言ってました。
そうなるかも知れませんね。私も不安です。
配役を変えたり、稽古場の警備を厳重にしたりして対応しているみたいだけれど、ほんとに何が起こるか分かりません。
ああ、その件で根上顧問がご縁市場のスタッフを集めて緊急集会を開くとか聞いてますが・・・。
ええ、所長から聞いています。お昼休みのはずです。
何を話されるんでしょうか。
みんな動揺していますから、鎮めるために・・・。
訓話ですか。
いや、根上さんのことだから、すごいことを言いそうな予感がします。・・・そういう話をして私は美術館を出て、事務室に帰りました。所長とともに昼食をとっていました。すると、どこからともなく誰かが話をするような気がしました。事務室には私たち以外はだれもいません。・・・ウラヤス、ウラヤス、ウラヤス、・・・。どなたですか。私は心の中で呼びかけました。返事はありません。突然、私は所長に言いました。
所長、浦安の舞いです!!
えっ、浦安・・・。あっ、あの舞いですね。
そうです、浦安です。戦争ではなく、浦安です。タケミナカタの敗走です。笙子さんにお願いしましょう。戦争ではなく、退却です。・・・私はそう言いながら劇場に行きました。場内は静まり返っていました。まもなく根上顧問が壇上に上がり、スピーチを始めました。
緊急にお集まりいただき、ありがとうございます。ご存知のようにこのご縁市場始まって以来の緊迫した事態に遭遇いたしました。こうなったからには団結してあらゆる方策を講じて事故を未然に防がなくてはいけません。警察は毎日パトロールしています。しかしそれだけではいけません。不審者が入らないように全員が警戒をしなくてはいけません。各部署に於いて交代で警備員を配置してください。私たちは最大限の情報収集に努め、何かを掴んだら即座に伝達します。・・・それからむやみに恐れるのもいけません。お客さんへの対応がぎくしゃくしてはいけません。こういう時だからこそサービス向上に努めていただきたいと思います。万事に於いて冷静に対処していただきたいと思います。それから、本部事務局とオーナー、両劇団の代表者は連日会合を開いて対応策を練っています。ご安心ください。素晴らしい案が出来上がりつつあります。目には目を、ということではなく、劇団の総力を挙げて安らぎの舞台を作り上げます。ここの劇場も加わります。あらゆるメディア、マスコミにも連絡して、放送、報道していただく予定です。その案を申し上げます。・・・浦安の舞いです。京都のすべての神社にも協力していただく予定です。
所長、これです !! 嬉しいです。ウラヤス、ウラヤス、・・・。・・・私は所長の手を握り締めました。
東日本大震災へのクリック募金←クリック募金にご協力ください。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/26/2b/e19fa073938717e777d5537558052339.jpg)
山川秀峰 「汐汲」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1b/5d/63e6b0f7421f5be289090b511011e12f.jpg)
同 「序の舞」
山川秀峰は明治31年京都に生まれ、鏑木清方と池上秀畝に師事。秀畝に花鳥画を、清方に美人画を学んでおり、伊東深水、寺島紫明と共に、清方門下三羽烏と呼ばれた。昭和14年(1939年)、伊東深水たちと共に青衿会を設立、美人画家として活動している。版画の作品は少ないが、気品のある美人画を残した。代表作に「素踊」、「序の舞」、「羽根の禿」などが挙げられる。木版画になったものでは「舞踊シリーズ」があり、そのうち、「さらし女」の構図が卓抜で印象的である。他には「赤い襟」、「東京駅」、「信濃路の女」なども優れている。昭和19年(1944年)12月29日没。47歳。門人に志村立美がいる。「きいちのぬりえ」で有名な蔦谷喜一は山川秀峰に憧れて画家となった。(Wiki)
没後50年経過したので掲載させていただいた。まことに端正な作品を描く画家である。私はこの画家の名前を聞くとすぐ「序の舞」を思い出す。上村松園の「序の舞」と比較して見て、あまりの違いに驚いているのである。どちらも好きな作品ではあるが。日本画の伝統的様式美を素直に感じることができる。
勤務の日、私は、何かに導かれるようにご縁美術館に行きました。あそこで何か出来事が起こっているという予感がしたのです。美術館に入ると、事務員が、ああ、畝本さんお久しぶりですね、と言ってくれて嬉しくなりました。坂本館長も笑顔で迎えてくれました。しかし、何か雰囲気がいつもと違うので、展示室を覗いてみてびっくりしました。舞台衣装がずらりと並んでいたのです。
坂本さん、これは・・・。
ええ、私も作品がたくさん持ち込まれたときは驚きました。全部里見多歌さんの作品です。すごい意欲です。今度の出し物、二人の阿国の物語を衣装で知ることができます。
圧巻ですね。・・・こういう衣装を見ていると、今度の事件が一層悔やまれます。
里見多歌さんも気にしておられるようです。
オーナーもでしょうね。
もちろんだと思います。その点は、三朗君がよく知っていることと思います。
三朗からこの前話を聞きました。全面戦争とか言ってました。
そうなるかも知れませんね。私も不安です。
配役を変えたり、稽古場の警備を厳重にしたりして対応しているみたいだけれど、ほんとに何が起こるか分かりません。
ああ、その件で根上顧問がご縁市場のスタッフを集めて緊急集会を開くとか聞いてますが・・・。
ええ、所長から聞いています。お昼休みのはずです。
何を話されるんでしょうか。
みんな動揺していますから、鎮めるために・・・。
訓話ですか。
いや、根上さんのことだから、すごいことを言いそうな予感がします。・・・そういう話をして私は美術館を出て、事務室に帰りました。所長とともに昼食をとっていました。すると、どこからともなく誰かが話をするような気がしました。事務室には私たち以外はだれもいません。・・・ウラヤス、ウラヤス、ウラヤス、・・・。どなたですか。私は心の中で呼びかけました。返事はありません。突然、私は所長に言いました。
所長、浦安の舞いです!!
えっ、浦安・・・。あっ、あの舞いですね。
そうです、浦安です。戦争ではなく、浦安です。タケミナカタの敗走です。笙子さんにお願いしましょう。戦争ではなく、退却です。・・・私はそう言いながら劇場に行きました。場内は静まり返っていました。まもなく根上顧問が壇上に上がり、スピーチを始めました。
緊急にお集まりいただき、ありがとうございます。ご存知のようにこのご縁市場始まって以来の緊迫した事態に遭遇いたしました。こうなったからには団結してあらゆる方策を講じて事故を未然に防がなくてはいけません。警察は毎日パトロールしています。しかしそれだけではいけません。不審者が入らないように全員が警戒をしなくてはいけません。各部署に於いて交代で警備員を配置してください。私たちは最大限の情報収集に努め、何かを掴んだら即座に伝達します。・・・それからむやみに恐れるのもいけません。お客さんへの対応がぎくしゃくしてはいけません。こういう時だからこそサービス向上に努めていただきたいと思います。万事に於いて冷静に対処していただきたいと思います。それから、本部事務局とオーナー、両劇団の代表者は連日会合を開いて対応策を練っています。ご安心ください。素晴らしい案が出来上がりつつあります。目には目を、ということではなく、劇団の総力を挙げて安らぎの舞台を作り上げます。ここの劇場も加わります。あらゆるメディア、マスコミにも連絡して、放送、報道していただく予定です。その案を申し上げます。・・・浦安の舞いです。京都のすべての神社にも協力していただく予定です。
所長、これです !! 嬉しいです。ウラヤス、ウラヤス、・・・。・・・私は所長の手を握り締めました。
東日本大震災へのクリック募金←クリック募金にご協力ください。