橡の木の下で

俳句と共に

「辛夷」平成28年『橡』4月号より

2016-03-27 10:19:01 | 俳句とエッセイ

 辛夷    亜紀子

 

辛夷まづひらく道なり選み行く

嫁ぎきしより好みたるあをさ汁

枯葦の水黒々と春兆す

帰りたげなり白腹も鶫らも

臘梅や四隣明るく住みなせる

春一番朝の予報士知己のごと

辛夷の芽いまかいまかと総立ちに

渡りゆく目白一座に入りたし

春鴉何か告げをり聞き入りぬ

春落葉髪もあるやも梳る

良き声す辛夷の下の蟇

耳慣れぬひと節はさみ囀れる

老いたれば切に春待つ五体かな

午からの日ざし待たるるひゝなの日