橡の木の下で

俳句と共に

草稿11/30

2015-11-30 09:43:41 | 一日一句

帯なして山かひつなぐ冬の靄

付知峡ともしく低き掛大根

木守柿日に三本のバスが来る

霜晴のこけら落しの木曽の空

地芝居や恵那山頂に雪の衣

仰山な五平餅売る村芝居

駐在と掛け声かかる村芝居

みしみしと板廊冷ゆる芝居小屋

地芝居のいささ温もる二階席

木曽源流をちに雪嶺まぶしかり

亜紀子

 


「若冲羅漢」平成27年「橡」12月号より

2015-11-27 17:31:55 | 俳句とエッセイ

若冲羅漢   亜紀子

 

十二帝陵守る白樫の実の若き

若冲の墓に千草の風渡る

秋の蚊を追へと団扇を出しくるる

五百羅漢小鳥木の実を友がきに

若冲羅漢背に憂ひを秘むる秋

秋霖や無頼鴉も黙しをる

夕映の綿虫湧きてきりもなや

木の葉髪残る芒もさんばらに

常行かぬ小路すゞろに縷紅草

朝な夕な何かれとなくかぼす汁

公開の茶の湯の宝櫨日和

門を出でて小路の果の十三夜

ひと陰りして冬の居る窓辺なり

火打うつ鶲に庭の白みそむ

塵を選る鴉降り来る文化の日