水無月の青蔦の花降りしきる
父さんが吹いて大きなしやぼん玉
亜紀子
守宮出て線香花火の指ひらく 亜紀子
家庭訪問吾が早口のやや暑き
梅雨の野に濡るるものみな素直なる
合歓の花をりをり鳰の水走り
葭切や帰りはいつも雨催ひ
五月 亜紀子
若かりき眠かりき五月ありにけり
橡咲いて宝ジェンヌを追ふ乙女
かほほりがノック連打の音に出づる
山あぢさゐ瑠璃深まれば雨がちに
夜ごと出て守宮もの言ふ厨窓
薔薇盗人夜明けの花を愛でをらむ
鵯の人を怖ぢぬは子なるべし
黄鶲やキャンパスの森深からず
あぢさゐはががんぼ館踊り出て
青蔦を洩るる月あり稿措きて
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