くたくたと新聞縛り小鳥くる 亜紀子
福島 亜紀子
台風の辛くも逸るる旅の約
澄みにけり仮設足下の五百川
千本槍絮となりしを示さるる
大寺や田刈りの匂ひ四方に満ち
はろばろと来し夜のうたげ今年米
がまずみの実の明け初むる湯にひとり
秋の蝶風に流るる五色沼
しろがねの楊をわたる秋の風
大田螺出でし秋暑のぬなは池
蜻蛉のぬなは廃るる水を打ち
雀斑を嘆く日にち秋暑き
一町の門扉鳴らして野分過ぐ
朝寒の草引けば根のたよりなき
代る代る見れば尾を振る尉鶲
逝く秋のまなこ小さき蛇いちご