橡の木の下で

俳句と共に

「しやぼん玉」令和元年『橡』5月号より

2019-04-26 10:46:12 | 俳句とエッセイ

 しやぼん玉    亜紀子 

 

野の鳥も鳥屋につきたる静けさよ

縄文の遺構を濡らす芽出し雨

啓蟄の雨すべらかす百日紅

軒寄せて春の花苗並べをり

早春の花こそよけれ地にひらく

まだ寒き風をうかがふクロッカス

日を浴ぶるうなじ恥ぢらふヒヤシンス

秘するものなしと貝母の花ひらく

クリスマスローズ愛なき世に開く

曙の名の春蘭のけさひらく

大根のフレンチカンカン花盛り

しやぼん玉吹かれゆくなり平成も

しやぼん玉ゆくを見てをり平成子

粉はたきめかぶじやきじやき千六本

身のかろし昨日の初音を聞きしより