橡の木の下で

俳句と共に

「日差し」平成29年「橡」5月号より

2017-04-26 22:28:47 | 俳句とエッセイ

 日差し      亜紀子

 

春足踏みビルの狭間の猿田彦

梅咲いて老いに香煙朦朦と

青鷺の十字のよぎる春の月

芽吹きまへ小啄木鳥一羽の早鼓

夕焼け雲乗せて欅の芽吹きそむ

小箒や路地のさへづりそこかしこ

特設の棚にあふるる春野菜

安倍川が目処よ車窓に春の富士

ふるさとの春も辛夷に始まりし

恋すてふ鴉も詩人榛の花

盛大に音立ててをり芽出し雨

ちらちらとあおじつき来る梅林

ゲートボールルールないよと長閑なり

供花に来て虻も日差しをよろこびぬ

初蝶のやあこんにちはさやうなら