橡の木の下で

俳句と共に

平成23年『橡』12月号より

2011-11-27 10:43:16 | 俳句とエッセイ

  冬始め   亜紀子

 

小鴨らの電車ごつこは波に乗り

青鷺のパントマイムが餌を得たり

曳山の桜紅葉に触れゆけり

路地はさみ受験子の窓灯り合ふ

草かげを出て蟋蟀も月浴びる

渡りゆく野駒の喉の真くれなゐ

見るとなく夜ごとの月の明り窓

真つ新の双眼鏡に小鳥来る

神還る腕落とされし木々の列

風に振る番号に冬始りぬ

生ひそろふ青き穭の湖国なる

観音の小さきひと足秋の声

漂へる白鳥の尻汚れをり

白鳥の首蛇となる羽づくろひ

冠を被きし鳰も水くぐる