橡の木の下で

俳句と共に

平成25年『橡』5月号より

2013-04-27 10:00:06 | 俳句とエッセイ

芽出し雨 亜紀子

 

水路閣椿の森へ曲り入る

囀や鼻梁よろしき面打師

連れ舞ひてゆくや湯島の恋雀

大観邸玻璃戸めぐらし春遅き

黙しゆき常の鴉も営巣期

尻切れの鳰の恋笛風光る

弥生富士赤子のやうな山連れて

夕焼けの木蓮並木ただ一路

小道具の揃ひはかどる草むしり

夜に入りしより音立つる芽出し雨

誰となく路傍の花の塵を掃く

天鵞絨の虻の尖兵来てゐたり