娘らと日日ライン草ひばり
ビルのもと秋の夕影にはかなる
亜紀子
眠るべら 亜紀子
疫ごもり暑ごもりもはや怠け癖
冷房や閉ぢて無音の窓の中
坪庭のしじまに浸る日の盛り
ワクチンの予約ひとつにしとど汗
夕蟬や幼心にもの思ふ
須臾の間が永遠のやう夏休み
はやる瀬に若き実を吊る沢ふたぎ
こしあき蜻蛉雨後の腰帯締めなほし
子を連れて朝の小径を四十雀
短夜をするりと砂に眠るべら
もくづしよい藻屑頭にカーニバル
蟬声も身も沸騰の暑さかな
地異唱へ夜を鳴きとほす蟬ならむ
疫に暑に雨に五輪を開くとは
霍乱やだから中止と言つたじやん