橡の木の下で

俳句と共に

「はけの細道」平成26年「橡」10月号より

2014-09-27 10:52:30 | 俳句とエッセイ

 はけの細道  亜紀子

 

吹きのぼるはけの谷風汗涼し

やぶめうがはけの片へに花こぼす

蝉しぐれはけの細道干ぬ間なき

蝶の来てはけに水吸ふひとところ

隣り家の鈴虫に耳澄ましけり

雀蜂退治やぶ蚊に刺されをり

乱れ打つ葎の雨や終戦日

暑さにも不思議なほどに慣れにけり

満開の臭木佳き香をはなちをり

常のごと覚めてけさより虫の庭

老い易く学成り難く休暇果つ

夕立や赤子を囲む雨やどり

日翳れば名残の蝉のすぐ噤む

残る暑に駄句駄句の汗流しける