はたはたの蕗葉の屋根は穴だらけ 亜紀子
はけの細道 亜紀子
吹きのぼるはけの谷風汗涼し
やぶめうがはけの片へに花こぼす
蝉しぐれはけの細道干ぬ間なき
蝶の来てはけに水吸ふひとところ
隣り家の鈴虫に耳澄ましけり
雀蜂退治やぶ蚊に刺されをり
乱れ打つ葎の雨や終戦日
暑さにも不思議なほどに慣れにけり
満開の臭木佳き香をはなちをり
常のごと覚めてけさより虫の庭
老い易く学成り難く休暇果つ
夕立や赤子を囲む雨やどり
日翳れば名残の蝉のすぐ噤む
残る暑に駄句駄句の汗流しける